基本は「円」「棒」「折れ線」の3つだけ!

永山嘉昭,資料,効果的,グラフのルール
(画像=The 21 online)

作ったグラフがわかりにくい、ごちゃごちゃしている……。グラフは、使いこなせば情報をわかりやすく伝える強力なツールとなるが、それだけに使い方を間違えるとかえって混乱を招く原因に。グラフを自在に使いこなし、わかりやすい資料を作るための基本ルールを、ビジネスコミュニケーションの専門家である永山嘉昭氏にうかがった。

図を使うことでかえってわかりにくく!?

図表やグラフは、文章では伝えにくい複雑な内容をビジュアルで直感的に伝えられるため、ビジネスシーンで幅広く使われています。しかし、中には図表やグラフを使うことで、かえってわかりにくくなっている資料や、誤解を招くような資料が散見されます。「図を使え」と言われても、その正しい使い方を習ったことのある人は意外と少ないもの。結果、自己流で間違った使い方をしている人が多いのでしょう。

たとえば、下図を見てください。消費量の多い魚はどれかを伝えるための表ですが、そもそも、ここで「表」を使うのは適切なのでしょうか。魚の種類とその消費量が列挙されているだけでは、読み手はどこを見ればいいのかわかりません。忙しいビジネスパーソンにとって、こうしたムダな作業ほどイライラすることはありません。

では、どうすればいいのか。このように、それぞれの消費量の多寡を比較したい場合は、棒グラフを使用するのが正解。数字をグラフ化することで、ただ眺めていただけでは気づかなかった全体の傾向や特徴、異常値などが一目でわかるようになるのです。

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覚えるべきは3つのグラフ

伝えたい情報を、読み手が頭を使わなくても理解できるようになる。それがグラフの効能なのです。

とはいえ、グラフには数多くの種類があり、どのように使いこなせばいいか迷う人もいることでしょう。確かに、世の中には数多くのグラフがありますが、私たちが正確に理解しておきたいのは次の3種類のみ。「円グラフ」「棒グラフ」「折れ線グラフ」です。この3種類を用途に応じて適切に使い分ければ、グラフで情報を伝えるほとんどの場合に対応できます。

ただし、それぞれの用途を間違えてしまうと、むしろわかりにくくなってしまうので注意。たとえば、「推移を示す」折れ線グラフを、何かの量を比較する際に使ってしまったりするケースです。

それぞれ3種類のグラフの特性、適切な使い方とありがちな間違い、そしてより効果的に情報を伝えるコツを解説していきます。ぜひ、参考にしてみてください。

「割合」を示す円グラフ

全体に対する個々の割合を直感的に示したいときは、円グラフが適している。たとえば、収入に対する消費の内訳や市場の構成比などを表わすことで、自分が一番お金を費やしているモノや競合のシェアなどを直感的に把握することができるのだ。

基本ルール

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大きさ・量の「比較」をする棒グラフ

個々の値を比較したいときには、大きさや量を表わす棒グラフが適している。たとえば、部門別の売上げ金額の比較や、ある商品の販売部数の変動などを棒グラフで表わせば、その差や変化が一目で把握できるのだ。

基本ルール

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「数値の推移・変化」を示す折れ線グラフ

時間の経過による推移や変化を示したいときには、折れ線グラフを使用するとよい。たとえば、商品ごとの価格の変動や、住宅ローン金利の推移といったものだ。折れ線グラフ化することで、変化の傾向を直感的に理解できる。

基本ルール

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永山嘉昭(ながやま・よしあき)ビジネスコミュニケーション専門家
横河電機㈱、横河グラフィックアーツ㈱を経て、2003年にビジネスコミュニケーションスキル研究所を設立。図解やグラフ、文章といったビジネスに欠かせないテクニカルなコミュニケーション分野を研究し、とくにビジュアルコミュニケーション分野の研究を専門としている。著書に、『伝わる! 図表のつくり方が身につく本』(高橋書店)など多数。(取材・構成:THE21編集部)(『The 21 online』2017年11月号より)

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