1月29日~2月2日の東京株式市場は続落した。円高や米長期金利の上昇が嫌気され、売りが優勢となった。日経平均株価は1月31日まで6営業日続落となり、一時は大発会の水準まで下落した。2月2日の終値は前週末比357円35銭安の2万3274円53銭だった。
FRB(米連邦準備制度理事会)議長にパウエル氏が就任し、新体制が発足した。パウエル氏はハト派でイエレン前議長の路線を踏襲すると見られるが、その一方で理事会メンバーは完全雇用状態での物価上昇を警戒するタカ派が増えた。利上げを容認する傾向が強まり、米長期金利が今後も断続的に上昇するようであれば、米国株はもとより日本株の上値を押さえる可能性もありそうだ。
東証マザーズ「1月の値上がり率」ランキング
それでは、今回は東証マザーズ市場の「1月の値上がり率」ランキングをみていこう。
(1)フィル・カンパニー <3267> 8580円 +117.22%
(2)ハイアス・アンド・カンパニー <6192> 2210円 +75.26%
(3)ロードスターキャピタル <3482> 2601円 +73.28%
(4)カナミックネットワーク <3939> 5550円 +66.42%
(5)ナノキャリア <4571> 1030円 +59.69%
(6)ティーケーピー <3479> 4305円 +56.77%
(7)グローバル・リンク・マネジメント <3486> 1万0100円 +51.88%
(8)メディアシーク <4824> 654円 +45.98%
(9)ファイズ <9325> 3050円 +43.33%
(10)HANATOUR JAPAN <6561> 2862円 +41.12%
※銘柄、証券コード、株価(2日終値)、月間上昇率の順。
1月最終週の新興株式市場は軟調に推移した。日経平均株価が連日の下落となったことから、さすがに上値警戒ムードが強まり利益確定の売りが先行した。月間ベースでは東証マザーズ指数、日経ジャスダック平均株価ともに前月末比でプラスとなったものの、米長期金利の動向など不透明感が広がっている点には引き続き注意が必要だろう。
フィル・カンパニー、東証1部昇格への期待で急上昇
さて、今回は上記ランキングからフィル・カンパニー、ハイアス・アンド・カンパニー、カナミックネットワークを取りあげる。
フィル・カンパニーは駐車場を活用した空中店舗の開発事業を行う建設会社。有効な土地活用法を検討したい土地所有者に、新たな資産活用法を提供している。
フィル・カンパニー株は昨年11月に+103.77%の上昇率を記録し、同月の「値上がり率」ランキングで第1位となった。12月は上げ一服ムードが広がったものの、年が明けると好調な決算を背景に一段高となり、今回のランキングで再び1位となった。
1月12日、フィル・カンパニーが発表した2017年11月期の連結決算は、営業利益が前期比43.6%増の2億9600万円となった。2018年11月期の連結営業利益予想は72.1%増の5億1000万円。決算発表と同時に公表した決算補足資料で「東証1部(市場変更)への形式基準の一つである経常利益2期合計5億円及び純資産10億円を当連結会計年度末時点でクリア。今期の東証1部(市場変更)を目指す」と明記し、株主層が拡大するとの期待が高まった。
ハイアス・アンド・カンパニー、1対3の株式分割を好感
ハイアス・アンド・カンパニーは住宅関連に特化したコンサルティング会社である。「住宅取得が個人の資産形成に直結する社会の実現」をテーマとした事業を展開し、ビジネスモデルや経営効率化のノウハウを、工務店や不動産会社で構成する会員企業に販売している。
1月19日、ハイアス・アンド・カンパニー株は2月末の株主を対象に1対3の株式分割を実施すると発表した。個人投資家を中心に分割による株価浮揚効果を期待した買いを集め、一時ストップ高を記録した。その後も株価は高値圏で推移し、ランキング2位となった。
なお、今回のランキングではロードスターキャピタル、ティーケーピー、グローバル・リンク・マネジメントの不動産業3社に、上記のフィル・カンパニー(建設業)、ハイアス・アンド・カンパニー(住宅関連コンサル)を加えた「不動産関連」5社がランクインしている。
カナミックネットワーク、クラウドサービス拡大に期待広がる
カナミックネットワークは、介護事業者向けにクラウド型の情報システムを提供する企業。2016年9月に東証マザーズに上場した。
カナミックネットワーク株は昨年12月から上昇基調にあった。同社のクラウドサービスを首都圏最大級の在宅医療機関「悠翔会グループ」が採用したと発表。投資家には、さらなるクラウドサービス拡大による業績向上への期待が広がっているようだ。
なお、同社の2018年9月期の業績予想では、売上高が前期比16.1%増の15億円、営業利益が9.0%増の3億6000万円が見込まれている。(ZUU online 編集部)