このコーナーでは毎週原則木曜日に実施しているMarket Talk(動画セミナー)のサマリをお届けします。
2018年2月22日(木)Market TalkのSummary
来期は多くの企業は減益なのか?為替による業績下方修正は来期に関しては憂慮しなくてよいのか?それとも105円程度だと下方修正されるのか?
来期の増益率はアナリストのコンセンサス予想で10%を少し下回るくらい。為替レートや原油価格によって修正されるが、ドル円が105円くらいであれば概ねどの企業も増益を達成できると思う。また全ての企業で円高が下方修正に働く訳ではない。ニトリ、良品計画、ソニー、TDKなど円高がプラスになる企業はたくさんある。そんなに憂慮しなくてもよいと思う。
日本株の3万円到達シナリオの前提となるドル円の範囲は?
株が崩れているので投機的なドル売り、日本株売りがあるのかもしれないが、行き着くところはファンダメンタルズに回帰するだろう。105円~115円ぐらいまでをドル円の範囲と考える。
ドル円が107円台に戻りましたが、ドル円は底を打ったとみてよいのでしょうか。また、株価の上値が重いですが、やはりお彼岸くらいまで続くのでしょうか。
ドル円は底を打ったと思うが、3月発表の雇用統計にマーケットがポジティブに反応するかどうか。急落の元になった2月発表の雇用統計の賃金上昇加速が、3月は打ち消される格好で雇用統計に出てくると思うが、そうなるとインフレ懸念はそんなに高まっていないので金利が逆に急低下する。2月の米国株の急落の原因が雇用統計にびっくりして売られた、ということであればそこで戻すだろう。そこからFedも慎重なスタンスになり、そのあたりで底が入ってくるのではないかと思う。
上昇トレンドから下降トレンドに転換するときのサインを教えてください。
複合的な環境から判断するしかないが、チャートだけに頼るのはやめた方がよいと思う。過去の値動きだけで判断できることはない。
米国の長期金利が3%を突破した場合、米国の株式市場は調整局面に入る可能性が高いといわれていますが。
アメリカの金利は昨年9月からずっと上昇している。日本株、米国株が上がり始めたのもその頃からでつまりアメリカの金利上昇とともに上がってきた。金利が2.7%まで上がっても大丈夫だったが、2月発表の雇用統計の時に2.8%に上がったとたんにくずれた。その後2.95%まで上昇したが米国株は半値戻しまで戻している。2.95%と3%は印象が違うというだけで、ほぼ実体としては2.95%も3%も同じではないか。要は慣れるかどうか。金利が3%の場合、株式はPER20倍だとその逆数は5%で、イールドスプレッドが2%しかないわけだがリーマンショック前がその位であった。ITバブルのときは株は金利を下回るようなイールドしかなかった。これは完全なバブルの状態で調整されたわけだが、今はそういう水準ではない。アメリカの企業業績もこれから伸びていくし、株のイールドは6%以上あるので、金利が3%になってもまだ3%のスプレッドが株の方にのっかっている。であれば調整する必要はないということになる。
広木隆(ひろき・たかし)
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト
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