シンカー:1月の鉱工業生産指数は前月比-6.6%と大幅に低下した。12月が同+2.7%、2月の誤差調整後の経済産業省予測指数は同+4.7%と極めて強い。その狭間である1月は輸送機械と耐久消費財を中心とする生産のタイミングのずれ、そして大雪を含む天候不順が原因だろう。1月に大幅に落ち込んだところが、2月の予測のリバウンドの中心となっており、テクニカルな調整だろう。2月が誤差修正後の予測指数通りで、3月も同-2.7%の予測指数通りであると仮定すると、1-3月期は前期比+1.0%となり、8四半期連続の上昇が継続すると予想される。生産の増勢は、外需から内需を中心に裾野が広がってきているとみられる。好調な内外需を背景に、生産の増加トレンドは引き続きしっかりとしているとみてよいだろう。
1月の鉱工業生産指数は前月比-6.6%と大幅に低下した。
12月が同+2.7%、2月の誤差調整後の経済産業省予測指数は同+4.7%と極めて強い。
その狭間である1月は輸送機械と耐久消費財を中心とする生産のタイミングのずれ、そして大雪を含む天候不順が原因だろう。
1月に大幅に落ち込んだところが、2月の予測のリバウンドの中心となっており、テクニカルな調整だろう。
2月が誤差修正後の予測指数通りで、3月も同-2.7%の予測指数通りであると仮定すると、1-3月期は前期比+1.0%となり、8四半期連続の上昇が継続すると予想される。
1月は大幅に低下し、経済産業省は生産の判断を「緩やかな持ち直し」へ「持ち直し」から若干下方修正しているが、鉱工業生産指数のしっかりとした上昇トレンドは維持されていると考える。
これまでIT関連財を中心とする生産・在庫循環のグローバルな強い好転に支えられていたが、さすがに一服感が出てくる可能性がある。
一方、IoT・AI・ロボティクス・ビッグデータなどの産業変化もあり、データセンターや車載向けの部品などは増加を続けている。
更に、日本が比較優位を持つ資本財が堅調な伸びをみせるとともに、競争力の改善を反映して世界貿易に対する日本のシェアも上昇しているとみられる。
1月の実質輸出は前月比+2.2%となり、前期比+2.4%と強かった10-12月期の後でも増加トレンドを維持している。
1月の月例経済報告では、政府は個人消費の判断を「持ち直している」へ上方修正した。
外需に加え、雇用と冬のボーナスを含む賃金の拡大、株価上昇などによる消費者心理の向上もあり、トレンドとしては個人消費にも勢いが出てきた(大雪と生鮮食品価格の高騰により一時的には下押しがある)。
総選挙による連立与党の勝利を経て、政府は2020年までの3年間を「生産性革命・集中投資期間」として「大胆な税制、予算、規制改革などあらゆる施策を総動員する」方針となり、投資活動を促進すると考えられる。
人手不足は深刻であり、需要の増加に対する供給の対応を整え収益機会を逸失しないため、企業は生産性を向上させることが急務となっている。
そして、新製品の投入などでの売上高の増加のため、設備投資と研究開発が拡大し始めている。
生産の増勢は、外需から内需を中心に裾野が広がってきているとみられる。
好調な内外需を背景に、生産の増加トレンドは引き続きしっかりとしているとみてよいだろう。
ソシエテ・ジェネラル証券株式会社 調査部
チーフエコノミスト
会田卓司