最も価値ある国際ブランドを選ぶ「ブランド・ファイナンス・グローバル500」が発表され、日本からはトヨタとNTTグループの2ブランドがトップ20入りした。しかしトヨタは2017年から4つ、NTTグループは5つ順位を下げた。

Googleに代わって首位に輝いたのはAmazonだ。Appleは2位を維持し、Googleは3位に後退した。

トップ30の3分の1を中国ブランドが占めているが、中国移動通信以外は飛躍的に順位やブランド価値を上げている。米国からは12ブランド、ドイツからは4ブランド、韓国とオランダは各1ブランドが選ばれた。

ランキングは英コンサルティング企業ブランド・ファイナンスが、「競争力(資力・パフォーマンスを含む持続的な成長の可能性)」「売上高」「ロイヤリティー率」に基づき、世界500ブランドを評価したもの。

「最も価値ある国際ブランド」トップ30

ブランド,企業,価値
(画像=Amazonサイトより)

30位(昨年48位) 中国平安保険(中国)
29位(29位) バンク・オブ・アメリカ(米国)
28位(40位) フォルクスワーゲン(ドイツ)
27位(30位) ザ・ホーム・デポ(米国)
26位(33位) 中国農業銀行(中国)
25位(29位) 華為技術(中国)
24位(24位) チェース(米国)
23位(17位) シェル(オランダ)
22位(18位) T-モバイル (ドイツ)
21位(47位) 騰訊(中国)

20位(15位) NTTグループ(日本)
19位(初登場) 国家電網(中国)
18位(28位) 中国銀行(中国)
17位(16位) BMW(ドイツ)
16位(12位) トヨタ(日本)
15位(20位) メルセデスベンツ(ドイツ)
14位(13位) ウェルズ・ファーゴ(米国)
13位(11位) 中国移動通信(中国)
12位(22位) 阿里巴巴集団(中国)
11位(14位) 中国建設銀行(中国)

10位(10位) 中国工商銀行(中国)
9位(8位) ウォルマート(米国)
8位(7位) ベライゾン・コミュニケーションズ(米国)
7位(5位) Microsoft(米国)
6位(4位) AT&T(米国)
5位(9位) Facebook(米国)
4位(6位) サムスン(韓国)
3位(1位) Google(米国)
2位(2位) Apple(米国)
1位(3位) Amazon(米国)

米国―― Facebookのブランド価値は1年で48%増

圧倒的な強さを維持した米ブランド。1位のAmazonの企業価値は2017年から42%増し、1508億ドルを上回った。2位のAppleは1463億ドル(37%増)、3位のGoogleは1209億ドル(10%増)だ。

最もブランド価値が上がった米ブランドは、Microsoftに代わってトップ5入りしたFacebookで897億ドル(48%増)。AT&Tとベライゾン・コミュニケーションズは各5%減、ウォルマートは1%減となった。トップ500に入った米ブランドの価値は総額2.5兆ドルで、全体の43%を占める。

日本――ブランド価値は米国の6分の1、中国の2分の1

日本のトップ・ブランドはいずれも順位を下げるという残念な結果に。トヨタのブランド価値は437億ドル(6%減)、NTTグループは408億ドル(1%増)。ほかに三菱グループ(45位)、ホンダ(52位)、日産(62位)、ソフトバンク(73位)、au(91位)がトップ100にランクインしたが、1つ順位を上げたホンダ以外はいずれも後退。特に日産は27も順位を下げ、ブランド価値は22%も下がった。

トップ500に入った日本のブランドの価値は4070億ドルと、中国の半分以下、米国の6分の1しかない。

2008年には米国に次ぐ第2のブランド大国だったが、現在はドイツと中国に追い抜かされ、全体を占める割合は9%から7%へ縮小した。

中国――トップ500ブランドの総価値が10年間で10倍に

跳躍を見せたのは中国のブランドで、騰訊が26ランクアップ、83%増を記録。ブランド価値は408億ドルとなった。阿里巴巴集団(58%増)、華為技術(51%増)、中国平安保険(46%増)が続く。

日本とは対照的に10年前には全体を占める割合がわずか3%だったにも関わらず、現在は15%に拡大している。全ブランドの価値は920億ドルから9115億ドルと、ほぼ10倍に成長した。

韓国――サムスンがアジアトップのブランドに

ランクインしたブランド数は少ないものの、韓国からはサムスンがアジア圏で唯一トップ10入りした。サムスンのブランド価値は923億ドル(39%増)。2017年第2四半期は「Galaxy S8」「S8 Plus」「Note 8」の人気が追い風となり、96億ドルという過去最高の純利益を記録(ブルームバーグ2017年7月26日付記事) 。第3四半期も好調ぶりが続き、売上高が19.3%増となった。

現代自動車は36ランクダウンの79位。LGグループは23ランクアップの88位。

ドイツ――フォルクスワーゲンは13ランクアップ

メルセデスベンツ、BMW、フォルクスワーゲンと自動車ブランドが強いドイツ。メルセデスベンツは439億ドル(24%増)、BMWは418億ドル(9%増)、フォルクスワーゲンは337億ドル(37%増)。フォルクスワーゲンは13も順位を上げており、排気ガス不正スキャンダルで地に落ちた信頼を着実に回復しつつあることが分かる。

T-モバイルはドイツテレコムの子会社で、欧州・北米でモバイルサービスを提供している。

オランダのトップブランド、シェルは6つ順位を下げたが、ブランド価値自体は10%増えて402億ドルに。

ブランド価値が最も高いセクターは1.3兆ドルのITで、全体の23%を占める。次いで銀行が8398億ドル、テレコムが6206億ドル、小売が3538億ドル、自動車が3475億ドル、石油・ガスが2890億ドル、その他が2108億ドルという結果だ。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)