シンカー: イタリア経済のファンダメンタルズは、現在のところは、家計、事業法人とも、所得、負債、バランスシートいずれも良い状況にあるように見える。引続き強い個人消費や設備投資回復を原動力に、イタリアの2018年GDP成長率は1.7%となり、2017年の1.5%から少し加速するだろう。しかし、持続的な生産性の向上を阻む構造問題が残っていることも事実だ。構造問題を抱えながらの堅調な成長は、インフレが強くなることで、景気の減速やリスク回避志向への逆戻りするリスクが強くなる。米国も、関税引き上げや貿易報復措置によって懸念される景気下振れリスクをよそに、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨は、減税効果もあり、景気に対するポジティブな見通しを示した。3月の米消費者物価指数(CPI)は総合、コアいずれも前年同月比2%を上回る高い伸びを記録したが、依然として物価の目先の見通しに対して慎重な姿勢を崩していない。インフレが安定している間は、金融引き締めも強くならず、景気の減速やリスク回避志向への逆戻りするリスクも小さい。関税引き上げや貿易報復措置、そして好況の下の減税はインフレを中期的にインフレを高騰させるリスクとなる。グローバルな景気・マーケット動向は、インフレ動向に左右されていると言える。
最新のSGグローバル・レポートと要約
イタリア経済(4/17):政権成立を待つ中で経済ファンダメンタルズを確認
政権成立に向けた交渉が行われ、2018年初めには景気モメンタムが弱まったとみられる中で、弊社は今回、イタリア経済のファンダメンタルズを詳しく確認した。すると、家計、事業法人とも、所得、負債、バランスシートいずれも良い状況だとみられる。このため弊社は、引続き強い個人消費や設備投資回復を原動力に、イタリアの2018年GDP成長率は1.7%となり、2017年の1.5%から少し加速すると見込んでいる。とはいえ構造問題が残っているため、イタリア経済は今後も、国外景気の減速やリスク回避志向への逆戻りに左右され易くなるとみられる。
外国債券(4/16): 米国の利上げ、2018年は4回目もあり得る
関税引き上げや貿易報復措置によって懸念される景気下振れリスクをよそに、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨は、経済成長や物価動向に対するポジティブな見通しを示した。3月の米消費者物価指数(CPI)は総合、コアいずれも前年同月比2%を上回る高い伸びを記録したが、世界の中央銀行は依然として物価の先行きへの慎重な姿勢を崩していない。世界の債券利回りは最近のレンジの下限付近で推移しており、通商協議をめぐるポジティブ・サプライズが利回り上昇のきっかけをもたらす可能性がある。そのため、我々は世界の債券市場においてデュレーション・ショートの投資スタンスを維持している。
米国経済(4/12): CPIの力強さは一時的とみられる
米国の3月コアCPI上昇率(前月比)は 0.176%(弊社見込みは0.171%だった)となり、これは妥当な水準にみえる。しかし詳細をみると、全体的には減速がさらに進んでいる。実際にも、3月のコアCPI上昇の大部分(約70%)は、住宅価格の異例なほどの上昇でもたらされていた。3 カ月および6カ月年率を力強さの証左に挙げる向きもあるだろうが、前者は4月の急減速、後者は年央の減速が見込まれる。
いずれにせよ、3月のコアCPI上昇率(前年同月比)は弊社予測通りに2月の 1.8%から2.1%に加速した。総合CPI上昇率の前月比はマイナス0.1%で、横ばいという弊社見込みよりも少し弱かった。また3月の総合CPI原指数(季節調整前)は249.554だった(弊社予測は249.571)。最後に総合CPIの前年同月比上昇率は、弊社見込み通り2.4%となっていた。もちろん、まずは合意に達してEUサイドがそれを批准する必要もある。このため弊社も現時点では、上述のように「円滑なブレグジットの可能性が高くなる」とまでしか言えない。
過去の翻訳レポートを弊社のリサーチサイト( https://insight.sgmarkets.com/#/page/japanese )に掲載しています。
また、原文の英語レポートもご覧いただけます。
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ソシエテ・ジェネラル証券株式会社 調査部
チーフエコノミスト
会田卓司