この記事は2026年2月13日に「きんざいOnline:週刊金融財政事情」で公開された「26年度年金額は4年連続の増額、1.9%増に」を一部編集し、転載したものです。
(厚生労働省「令和8年度の年金額改定について」)
毎年1月になると翌年度の年金額が公表される。2026年度は4年連続の増額改定となった。国民年金を40年納付した時の老齢基礎年金額は、月額7万608円(前年度比1,300円増、1956年4月1日以前生まれの人は7万408円(同1,300円増))で決定された(図表)。
老齢基礎年金(満額、年額)は、受給者が原則65歳から亡くなるまで「78万900円×改定率」の支給を受けられるが、その金額は2段階のプロセスで決定される。1段階目では、67歳到達年度以前の新規裁定者は現役を引退してから間もないので「名目手取り賃金変動率」をベースに年金額が計算される。68歳到達年度以後の既裁定者は「名目手取り賃金変動率」か「物価変動率」のいずれか低い方を基準に年金額が計算される。26年度の年金額の計算に使われる二つの指標は、名目手取り賃金変動率が2.1%、物価変動率が3.2%だったので、前年度改定率に乗じる率は2.1%で決定された。
2段階目では「マクロ経済スライド」という仕組みによって、少子高齢化の影響が年金額に反映される。一般にマクロ経済スライドは、賃金や物価が大きく上昇する景気拡大期にはそのまま適用される。賃金や物価の上昇がそれほど大きくない景気後退期には調整を部分的にとどめ(未調整部分はキャリーオーバー)、年金額の伸びが抑制される仕組みだ。
26年度のマクロ経済スライドによる調整率は「公的年金被保険者数変動率0.1%+平均余命の延び率を勘案した率▲0.3%」で計算され、最終的に▲0.2%となった。その結果、26年度の老齢基礎年金額(新規裁定者、月額)は「6万9,308円×1.019」と計算される。
老齢厚生年金については、老齢基礎年金のように「改定率」を使うのではなく、会社員であった期間に受け取った給与と賞与を年度ごとに計算する際に使われる「再評価率」によって年金額が決まる。この再評価率は、老齢基礎年金の改定率と同じように賃金や物価の変動率をもとにマクロ経済スライドによる調整も行われる。
26年度の老齢厚生年金(月額)のモデル世帯(会社員の夫、専業主婦の妻)について決定された年金額は、夫が平均標準報酬(賞与を含む月額換算)45万5,000万円で40年間就業した場合、夫の老齢厚生年金と夫婦の老齢基礎年金(満額)を合計して月額23万7,279円(前年度比4,495円増)となった。今後も、名目手取り賃金変動率や物価上昇率はプラスで推移すると予想されるが、年金額は物価変動率をやや下回る水準で増加していくとみられる。
アセットマネジメントOne 未来をはぐくむ研究所 主席研究員/花村 泰廣
週刊金融財政事情 2026年2月17日号