日経平均予想レンジ21,889~22,502円

伊藤嘉洋,株式相場見通し
(画像=PIXTA)

今週はシリア情勢の過度な警戒感が後退する中、良好な米企業決算を背景とした米国株高や為替の落ち着きを好感して、日経平均は2/28以来22,000円台を回復した。注目の日米首脳会談は無難な結果と受け止められて、市場の警戒感が和らぎ、5日続伸から22,360円まで買い進まれた。

海外の焦点

警戒されたシリア情勢はシリアのアサド政権が化学兵器を使用したと判断、米英仏3国で武力攻撃に踏み切った。シリア・ロシアからの反撃もなく、国際的にも容認されやすい軍事行動との見方は強い。

一方、米朝首脳会談が6月初旬までに行われる予定だが、これに先立ちポンペオCIA長官と金正恩委員長が会談したと報じられた。トランプ大統領は両国のハイレベルな直接対話が行われていることを明らかにし、両国間の過度な緊張は後退してきた。世界的な緊張緩和ムードの高まりを受けて、市場では安心感が広がっている。

バンカメの1-3月期決算は純利益が前年同期比29.6%増と大きく伸びた。既に決算発表を終えた金融大手3社も軒並み増益を確保しており、今後発表が相次ぐ米企業業績の期待の高まりにより、株価押し上げが見込まれる。

国内の焦点

注目の日米首脳会談では、トランプ大統領による為替や通商問題で踏み込んだ発言を警戒していたが、会見の内容は引き続き貿易赤字削減の意向を示した一方、為替には言及しなかった。又、FTA、TPPにしても方向性としては自由貿易を目指している内容で、マーケットは好材料と受け止めている。

来週から、2018年3月期の決算発表が本格化する。2019年3月期企業の業績計画は円高を背景に保守的な業績予想で、市場予想の下振れが警戒されるが、世界景気の拡大や、為替の落ち着きなどの前提が見られれば、期中の上方修正期待が膨らむ形となりそうだ。

テクニカル面では、9/13高値21,968円を抜いたことで、3/26安値20,347円の底値が確認された。2/28以来の22,000円台回復で、上昇転換への期待は一段と高まった。上値を試す局面では、2/27高値22,502円や2/5窓埋め22,659円が待ち構える。ここでもたつけば22,000円が目先の下値抵抗線となる。

来週の株式相場

以上、来週は世界的な緊張緩和ムードを背景に、底値確認から上値を試す局面と捉えている。焦点は本格化する国内企業の3月期決算発表に移行する。日経平均のレンジは、上値は2/27高値22,502円が意識され、下値は4/17窓埋め21,889円が目処となろう。

伊藤嘉洋,株式相場見通し
(画像=岡三オンライン証券)

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト