リーダーに決断が求められるのは、ビジネスの場面だけではありません。国を率いる武将や外交官、大統領など「社員」よりももっと数の多い「国民」を率いるリーダーたちも、たびたび決断を求められてきました。ここでは三人の歴史上の人物の言葉を引用しながら、歴史に名を残した人物たちの「決断するリーダー」としての姿を学びましょう。

責任も結果も全て自分で背負いこむ

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(写真=Jirsak/Shutterstock.com)

「独眼竜」の異名を持ち、当時全国第3位の石高を誇った仙台藩の初代藩主となる武将伊達政宗(1567~1636年)。彼は豊臣秀吉や徳川秀忠、徳川家光からの信頼が厚かった人物で、内政面でも貞山掘と呼ばれる運河や北上川水系流域の大規模開発など多くの事業を成功させています。

大事の義は、人に談合せず、一心に究めたるがよし

そんな伊達政宗が遺した言葉の一つがこちらです。すなわち重大な選択を行う際は誰かに相談するのではなく、一人で考え抜くのが良いというのです。重大な選択をする時「間違えてしまわないだろうか」と不安になるもの。しかし、誰かに相談して片棒を担いでもらうのではなく、決断の責任も結果も自分で全て背負いこむ。一見するとただただ孤独で辛い考え方のように思えますが、実はこの姿勢には大きなメリットもあります。

それは自分一人で考え抜いて決めたことで、成功を収めた時により大きな自信が生まれるという点です。片棒を担いでもらえば、成功はその人の功績でもあるため、自信も半減してしまいます。その点、「大事の義は、人に談合せず、一心に究めたるがよし」の姿勢を貫いていれば「自分で決断して成功した」と考えられるので、次に重大な選択を迫られても自信を持って決断できるようになるのです。

優柔不断さは組織を弱体化させる

ニッコロ・マキャヴェッリ(1469〜1527)はイタリアルネサンス期の政治思想家であり、激動の時代にフィレンツェ共和国の外交官として多くの国と君主を自分の目で見ていた人物です。彼は著書『君主論』で歴史上の様々な君主や君主国を分析し、君主としてあり方や君主として権力を維持し続けるためにはどのような能力や振る舞いが必要なのかを説きました。

弱体な国に現れる最も悪い傾向は、何事につけても優柔不断であるということだ。
ゆえにこの種の国家の打ち出す政策は何かの圧力に屈したあげく、やむを得ずなされたものになる。 もしもその中に良策があったとしてもそれは為政者の思慮によるものではなく、あくまで圧力の結果に過ぎないのだ。

そのマキャヴェッリが「政略論」という著作で記したのがこちらの文章です。決断ができない為政者の国は典型的な弱小国であると指摘しています。また、マキャヴェッリは次のような言葉も遺しています。

君主たるもの、他者に左右されるような状態からはできる限り自由であらねばならない。

つまり、マキャヴェッリは組織のリーダーは他者の意見や考えに左右されず、優柔不断にもならず、自分の考えに基づいて決断を下すべきだというのです。多くの君主と君主国を知る彼の言葉は、会社という組織の君主である現代の経営者にもぴったりとあてはまります。

好かれようとすることは結果を諦めることである

イギリス史上初の女性保守党党首・英国首相であり、保守的で強硬な政治姿勢から「鉄の女」の異名をとったマーガレット・サッチャー(1925〜2013)。彼女は「サッチャリズム」と呼ばれる新自由主義政策を敢行し、国営だった水道や電気、ガスに通信、鉄道そして航空などの事業を全て民営化し、その分の政府支出の削減に成功しました。当時国内では大きな批判がありましたが、サッチャーは自身の政治生命を賭けてこの政策を貫いています。

好かれようとしているだけなら、いつでも何でも妥協する用意があり、何も達成しないだろう。

そんな彼女が首相就任10年目の1989年に遺した言葉です。「誰からも尊敬され、愛されるリーダー」は多くのリーダーが思い描く理想像ですが、サッチャーに言わせればそのようなリーダーは単に妥協をしているだけであり、結局何も成し遂げられません。自分の強い意志を貫こうとすれば、大抵の場合疎まれたり嫌われたりするものです。何かを成し遂げたいのであれば、そんなことに構っていてはいけません。

決断できないリーダーは何も成し遂げられない

リーダーが決断しなければ、メンバーは何を基準に行動すればいいのかわからず迷ってしまいます。結果組織のパフォーマンスは下がり、弱体化していきます。会社に置き換えれば決断できない経営者は社員を迷わせ、会社の業績を低下させてしまうのです。リーダーの仕事は何をおいても決断です。歴史上の人物に「決断するリーダー」の姿を学んで、リーダーとしての役割を果たしましょう。(提供:マネジメントオンライン

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