昨日の海外時間では、トランプ大統領がイラン核合意からの離脱を正式に発表するとNYダウが150ドル超下落したため、リスク回避のドル売り円買いが強まり、一時108.834円(当社レート)まで下落する場面が見られました。ただ、前々日安値の108.761円がサポートとして機能するなどその後は押し目買いが強まり、再び109円台での推移が継続しています。
今後の見通し
トランプ大統領がイラン核合意から離脱を表明し、各国要人から遺憾である旨の発言が相次いでいます。ただ、事前予想からある程度織り込まれていたこともあり、声明後のリスク回避の動きの影響は限定的となりました。マーケットが懸念していた実際に離脱が表明された後の円高圧力が回避されたこともあり、一旦は小幅反発というシナリオが見えてきたように思います。また、ムニューシン米財務長官が「イラン制裁には90-180日の猶予期間がある」などと述べたことも、短期的な上昇材料になりそうです。
ドル円はテクニカル的には108.80円付近が目先のサポートになっており、押し目買いを検討するのであれば109円台前半に妙味がありそうです。ただ、110円付近では上値が意識されており、あくまで小幅反発であることを想定し、109.80円付近での利食いを目指します。
小幅反発を想定し、押し目買い戦略に切り替え
109.25円でのドル売り円買いのポジションは、損切りを持ち値の109.25円に引き下げたこともあり、ヒットしてしまいました。上述したように小幅反発を見込み、109.20円での押し目買い戦略とします。損切りは108.80円割れ、利食いは109.80円付近とします。
海外時間からの流れ
欧州時間では、対ユーロを中心にドル買いが優勢となりました。イタリアで連立政権樹立が絶望的となり、再選挙の可能性が高まったと報じられた事から、次第にユーロ売りが強まり、ユーロドルは1.1870ドル台まで下落し、129.95円付近で欧州時間の取引をスタートしたユーロ円も129.239円まで安値を更新しました。
NY時間に入ると、米JOLT求人数が予想を上回り、且つCNNテレビが、「トランプ大統領はイラン向けの新たな制裁を課すものの、核合意離脱はしない見込み」と報道したことからドルが買われ、一時ドル円は109.347円を示現しました。しかし、今度はNYタイムズ紙が、「イラン核合意離脱の意向を仏大統領に伝えた」とのトランプ大統領の発言を報じ、一転してドル売りの流れとなり、ドル円は109円丁度付近まで反落しました。
その後は、トランプ大統領がイラン核合意離脱を正式に発表したものの、既に織り込まれていたことから影響は限定的となりました。本日の東京時間では、リクルートが12億ドルで米グラスドア買収を発表したことなどを手掛かりにドルが買われており、一時109.635円(当社レート)を示現しています。
今日の予定
今日の海外時間には、米・4月生産者物価指数が予定されています。主要な経済指標は発表されないものの、トランプ大統領がイラン核合意からの離脱を正式に発表した直後ということもあり、ヘッドラインには注視する必要がありそうです。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp