先週の「マーケット展望」で、<日経平均は決算発表のピークで改めて好業績を好感して2万2000円台後半を固める動きだろう>と述べた通りの展開となった。2月5日と6日の窓埋めや1月高値からの下げ幅に対するフィボナッチの61.8%戻しに当たる2万2600円台後半が重要な節目とも述べたが、その水準を超えてきた。一時110円台をつけた円安や米国株の上昇など外部要因も追い風となった。日経平均は次の節目である2万3000円台奪回を目指す流れだが、さすがに一気には行かず、その前に一服か。今週は小休止で引き続き2万2000円台後半を固める動きが続くだろう。
今週はゼネコンやメガバンクの決算発表が残っているが、決算発表のピークは過ぎた。日経新聞が1面で「企業業績予想足踏み 円安一服、逆風に」という見出しで、上場企業の業績が3期ぶり減益になりそうだと報じたその日に、日経平均が2万2500円の膠着から上放れてきたのが象徴的であるが、市場は今期の業績を織り込んだ。すなわち、為替レートひとつとっても保守的な見通しで、それでも営業利益ベースでは増益を維持する。この先、上方修正の余地がじゅうぶんあるということが市場のコンセンサスとなっただろう。そう考えれば今の予想ベースで13倍台のバリュエーションはいかにも安い。
今週の基本シナリオは上述の通り2万2000円台後半を固める動き継続だが、鍵を握るのが米国株市場の動きである。結局、ダウ平均は200日移動平均を終値では一度も下回らずに推移している。ザラバの下ヒゲが200日線にタッチすると切り返すのだ。25日線も上向きに転じ、日経平均に続いてゴールデン・クロス目前。2万5000ドルの大台回復となれば一目均衡表の雲の上に出る。そうなれば市場のセンチメントもかなり好転するだろう。無論、日本株の再度高値トライの追い風になる。
日本では16日に1-3月期のGDPが発表される。9四半期ぶりのマイナス成長が予想されているが天候要因などの影響もあり、1-3月期に景気が弱かったのは過去の話と織り込み済みだろう。18日に4月のCPIの発表。先行指標となる4月の東京都区部コアCPIは市場予想を下回る弱めの結果となった。CPI下振れは円安要因だが、デフレ脱却が遠のく印象も与え不動産株等にはマイナスか。米国では15日に4月小売売上高が発表されるが、それより17日のフィラデルフィア連銀製造業景気指数に注目。同指数は振れやすいので警戒したい。市場予想は前回から低下を見込んでいる。
今週のレンジは2万2500~2万3000円としたい。
広木隆(ひろき・たかし)
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト
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