このコーナーでは毎週原則木曜日に実施しているMarket Talk(動画セミナー)のサマリをお届けします。

2018年6月21日(木)Market TalkのSummary

今回も2万3000円直前で失速した日経平均ですが、このままだとWトップの天井となり、下げ相場入りのサインとなってしまいます

日経平均は昨日から切り返してきている。25日線を抜けてしまったものの次の75日線できれいに切り返し今もそれがサポートになっている。米国株をみると相場全体のS&P500はきれいな右肩上がりのトレンドで、200日線、75日線はおろか25日線も割っていない。ほとんど高値圏での揉み合いで今回の貿易摩擦をやりすごしている。当事者である米国株が崩れていない。日本株は振り回されすぎだ。Wトップの天井を突き抜けていくと思う。

武田薬品が上昇してますが、何か良い材料が出ましたか?

特に材料は出ていないが、外資系証券が格上げレポートを出したのがきっかけではないか。そもそもこれだけ下げて配当利回りも良い。今は金利が低いので資本のコストを考えたときエクイティのコストの方が高い。だとするともっと負債を活用してキャピタルストラクチャー(資本構成)を入れ替えていくという戦略が必要なので、いつまでたっても「巨額の負債で財務不安」というような時代ではないと考える。このような面で評価が進んでいけばよいと思う。

日経平均22,000円割れはあるでしょうか?

ショック的に割れることはあるかもしれないが、この間のイタリア不安のときに22,000円割れがあってそこで75日移動平均線できれいに切り返してきている。今もまだこのトレンドがキープされているので、22,000円割れは目先はないと考えてよいのではないか。

村田製作所はどうでしょうか?

やっと評価されてきたという感じだ。以前から述べているが、これからの時代、Iot、AI、自動運転など何をやるにしても高性能の電子部品が必須のものとなる。今まで村田、アルプス電気、日東電工などはスマホ関連銘柄という位置づけで、スマホの販売が落ちると売られてきた。しかしこれからはスマホだけではない。あと今回はコンデンサーの値上げが評価されているのだろう。ようやく切り返してきたというところだ。

為替はこれから円安にいきますか?

そろそろアメリカの利上げの打ち止めが見え始めてくるころだ。そうなるとドルの頭も重くなる。 マーケットは今から「今まで米国は金融政策の正常化ということで利上げをしてきたがそろそろどこかで終わるだろう」というように見始めるので、終わりが見え出すと皆がそれを意識するようになる。もちろん一本調子には動かないので、ときには足元の利上げを好感して素直に上がったりすることもあるだろうが、それほど円安にはいかないだろう。

古河電工の今後は?

決算発表のときにコンセンサスから3割下の弱気見通しを出して売りが止まらなくなってしまったのだが、会社が言っているのは、これは将来のための成長投資をしているということだ。今後特にアジアのデータインフラにおいて海底ケーブルなどに非常にニーズが高まってくる。海底ケーブルが敷ける電線メーカーはそうはない。他にIot時代に備えての光ファイバーの投資や、コネクティッドカーや自動運転等電気自動車の分野での投資など、将来のための投資で今期の業績が犠牲になるというだけの話で、今は将来花開くための踊り場であろう。投資家が短期の果実を求めるところで現在はマーケットと完全にすれ違っているが、ROEが13%近く、PER11倍台、PBR1.1倍 ‐ 2ケタのROEを稼ぐ会社のPBRが1.1倍というのは評価が低すぎるだろう。買ってすぐ儲かるような銘柄ではないが、バリューで買える銘柄だと思う。

広木隆(ひろき・たかし)
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト

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