ボーナスの季節がやってきました。いろいろと使い道を考えている方も多いかと思います。また、「堅実に貯蓄を」と考えている方も少なくないと考えられます。しかし、中には「少しでも財産を増やしたい」との思いから、株式投資を検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の「日本株投資戦略」では、株式投資初心者の方にとって手掛けやすいと考えられる最低投資単位10万円以下の銘柄をご紹介したいと思います。企業の規模や業績面、配当の面も考慮し、中長期的な視点からの投資に適した銘柄を抽出すべく、スクリーニングを行ってみました。
ひとつの投資アイデアとして、ご参考いただければと思います。
10万円で買える好業績・好配当銘柄はコレ!?
それでは、さっそくスクリーニングにより、銘柄抽出を試みてみたいと思います。
(1)東証1部上場銘柄であること(証券は除く)
(2)最低投資単位での売買金額(諸コストを除く)が10万円以下であること
(3)時価総額が1千億円以上の銘柄であること
(4)今期・来期ともに市場予想純利益の増加が見込まれていること
(5)今期予想配当利回り(市場予想)が2%超と見込まれていること
(6)ROE(前期実績)が8%超の銘柄であること
上記の全条件を満たす銘柄を株価の低い順に並べたものが表1となります。なお、同一業種の銘柄があった場合は、株価の低い方を優先しました。
スクリーニングの対象とする母集団は東証1部で、時価総額は1千億円以上としました。これらの条件を入れることにより、抽出される銘柄が市場(取引所)から一定の信任を得た銘柄に絞られるようになっています。初心者の方のみならず、投資家にとっては回避したい「倒産リスク」を大きく引き下げられる条件であると考えられます。
最低投資単位はほとんどの銘柄が100株単位で、少なくとも表1の銘柄はすべて100株単位です。したがって、「最低投資単位での売買金額(諸コストを除く)」は株価に100を掛けた金額になります。日本軽金属ホールディングス <5703> であれば、最低23,800円から投資することができます。
最低投資単位での売買金額が低いということは、これらの銘柄に仮に複数投資しても、少ない投資金額で済むことを意味しています。ちなみに、表1の銘柄をすべて100株ずつ投資した場合の合計金額は349,000円です。約35万円投資すれば、6つの業種の6銘柄に分散投資することができます。
その他、スクリーニング条件として、アナリストが好業績、好配当を見込んでいることや、実績ベースで高い資本効率を有していることを加えています。個々の銘柄として、投資する上での「一定の魅力」を備えていることに加え、低コストでリスクを分散することが可能となるのが表1の銘柄であると、「日本株投資戦略」では考えています。
表1:10万円で買える好業績・好配当銘柄はコレ!?
コード / 銘柄名 / 株価(6/22)(円) / 今後2年累計予想純増益率 / 今期予想一株配当(円) / 今期予想配当利回り / ROE
<5703> / 日本軽金属ホールディングス / 245 / 15.8% / 8.3 / 3.40% / 10.8%
<8410> / セブン銀行 / 343 / 16.9% / 10.6 / 3.09% / 12.3%
<2768> / 双日 / 403 / 18.2% / 15.4 / 3.83% / 10.0%
<1893> / 五洋建設 / 719 / 18.6% / 17.6 / 2.45% / 17.1%
<7211> / 三菱自動車工業 / 891 / 16.4% / 20.8 / 2.33% / 14.7%
<9069> / センコーグループホールディングス / 912 / 27.5% / 26.4 / 2.89% / 8.9%
※Bloombergデータおよび会社公表データをもとにSBI証券が作成。純利益や配当の予想はBloomberg集計の市場コンセンサス
スクリーニング銘柄の投資ポイント
ここでは、表1でご紹介した銘柄について、投資ポイントをご紹介します。
日本軽金属 <5703> はアルミ製品を幅広く製造・販売しています。原材料のアルミ地金は輸入しており、製品の8割は国内向けとなっています。
株価は昨年10月以降3割程度下げています。連続増益の後、2018年3月期に営業減益となったことが響いていると考えられます。米国の「鉄鋼・アルミ関税」に関し、当社を関連銘柄として分析した記事もあり、その影響を受けている可能性もあります。
実際には米国への輸出はほとんどなく、関税の影響はほとんどないとみられます。今期は7%の営業増益を見込みます(会社予想)。EV(電気自動車)向け冷却プレートや半導体製造装置向け厚板などが順調に拡大するか否かがポイントになりそうです。売られ過ぎからの反転に期待したい所です。
セブン銀行 <8410> はATMネットワークを収益の柱とする独自のビジネスモデルを有しています。セブン・イレブンにとどまらず、駅やコンビニなど、日本国内で24,392台(2017年度末)のATMを稼働させています。収益の9割は提携する銀行等(600社)からのサービス対価となっています。
リスク要因は仮想通貨の普及やキャッシュレス社会の進展等かもしれません。一方、既存の銀行にとって1ヵ月に30万円前後と言われるATMの管理コストが重く、経営体力に乏しい地銀等と当社の提携が増加する余地は大きいとみられます。予想PERも15倍程度まで下落しており、割安感が強まりつつあるようです。
双日 <2768> は総合商社です。2003年に日商岩井とニチメンが統合して誕生しました。
5月に中期経営計画を発表し、3年間で約3,000億円の投融資を計画しています。純利益は2018年3月期の568億円に対し、2021年3月期には750億円を見込んでいますが、投融資した「現場に入り込み事業を伸ばす経営力」を武器に、その達成を狙います。
配当性向を30%(前期実績は24.2%)に引き上げており、中期経営計画通りに増益が進めば、増配基調も続くと期待されます。
五洋建設 <1893> は総合建設会社です。完成工事高の62%が国内(建設・土木・開発)で、38%が海外となっています。ただ、営業利益の8割は国内で、海外の利益率は低く、その施工効率化に取り組んでいるようです。
期初の繰越工事高は8,753億円で前年度比23.8%となっており、手持ち工事量は豊富です。海外工事が35%増加し、けん引役となっています。
内需中心の建設会社は「五輪以降」の仕事確保が大きな課題となりそうですが、海外に成長の軸足を置く当社は独自の評価を獲得できる可能性がありそうです。
三菱自動車 <7211> は自動車メーカーです。今年度の販売計画(台数)で日本は8.4%、北米14.7%、欧州16.8%、アジア40.3%となっています。日産・ルノーの傘下として再生が加速しているようです。
センコーグループホールディングス <9069> は企業物流大手で、旭化成や積水化学などが大株主になっています。前期に最高純益を更新しましたが、料金値上げ等が進み、最高益更新が期待されています。
※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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鈴木英之
SBI証券 投資調査部
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