結果の概要:住宅着工、許可件数ともに市場予想を下回る
7月18日、米国センサス局は6月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は117.3万件(前月改定値:133.7万件)と、135.0万件から下方修正された前月値から低下、市場予想の132.0万件(Bloomberg集計の中央値)を大幅に下回った(図表1、図表3)。
一方、住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は127.3万件(前月値:130.1万件)と、こちらも前月、および市場予想の133.0万件を下回った(図表2、図表5)。
結果の評価:住宅着工の回復モメンタムは低下。建設資材の高騰が影響している可能性
住宅着工件数の伸びは、前月比▲12.3%(前月:+4.8%)と16年11月以来となる2桁のマイナスとなった(図表3)。戸建てが▲9.1%(前月:+5.1%)と3ヵ月ぶりにマイナスに転じたほか、集合住宅も▲19.8%(前月:+4.0%)と2桁の大幅な落ち込みとなった(図表4)。
一方、前年同月比も▲4.2%(前月:+19.2%)と、17年12月以来のマイナスとなった。集合住宅が▲13.7%(前月:+18.7%)と4ヵ月ぶりにマイナスに転じたほか、戸建ても▲0.2%(前月:+8.0%)と、小幅ながら16年8月以来のマイナスに転じた。
地域別寄与度(前月比)は、北東部が▲0.5%ポイント(前月:+0.5%ポイント)、中西部が▲6.5%ポイント(前月:+6.5%ポイント)と前月からマイナスに転じたほか、南部が▲4.5%ポイント(前月:▲0.6%ポイント)、西部が▲0.7%ポイント(前月:▲1.6%)と、前月に続いてマイナスとなり、すべての地域で減少する結果となった。
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比▲2.2%(前月:▲4.6%)と3ヵ月連続でマイナスとなるなど回復の兆しはみられない(図表5)。戸建てが+0.8%(前月:▲2.3%)と小幅ながらプラスに転じたが、集合住宅が▲7.6%(前期:▲8.6%)と3ヵ月連続のマイナスとなった(図表6)。
前年同月比も、▲3.0%(前月:+8.0%)と17年9月以来のマイナスに転じた。戸建てが+4.6%(前月:+7.5%)と14年5月以降プラスを維持している一方、集合住宅が▲15.2%(前月:+8.8%)と5ヵ月ぶりにマイナスに転じたほか、17年9月以来の2桁の落ち込みとなったことが大きい。
全米建設業協会(NAHB)は、最近のプレスリリースで住宅需要は強いものの、建設業者にとって建設資材価格の高騰が重荷となっていることに言及しており、これらの価格上昇が住宅市場の回復モメンタムを低下させている可能性が考えられる。
一方、GDPにおける住宅投資は、18年1-3月期が前期比年率▲1.1%とマイナス成長であった(図表7)。
来週末には4-6月期の数値が発表になるが、6月の住宅着工件数(3ヵ月移動平均、3ヵ月前比)は▲15.7%(3月:+19.6%)と2桁の落ち込みとなっており、住宅市場の回復は鈍いことから、GDPにおける住宅投資は前期比に引き続き軟調な結果となろう。
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窪谷浩(くぼたに ひろし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員
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