結果の概要:名目個人所得、個人消費支出ともに市場予想に一致

米国,個人所得・消費支出
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7月31日、米商務省の経済分析局(BEA)は6月の個人所得・消費支出統計を公表した。個人所得(名目値)は前月比+0.4%(前月値:+0.4%)となり前月、市場予想(Bloomberg集計の中央値、以下同様)の+0.4%に一致した。個人消費支出(名目値)は前月比+0.4%(前月改定値:+0.5%)と、こちらは+0.2%から上方修正された前月から伸びが鈍化したものの、市場予想(+0.4%)には一致した(図表1)。価格変動の影響を除いた実質個人消費支出は前月比+0.3%(前月改定値:+0.3%)と、こちらは前月比横這いから上方修正された前月に一致したものの、+市場予想(+0.4%)は下回った(図表5)。貯蓄率1は6.8%(前月:6.8%)と前月から横這いとなった。

価格指数は、総合指数が前月比+0.1%(前月:+0.2%)と前月から低下、市場予想(+0.1%)に一致した。また、変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数も、前月比+0.1%(前月値:+0.2%)と、前月から低下したものの、市場予想(+0.1%)に一致した(図表6)。前年同月比では、総合指数が+2.2%(前月改定値:+2.2%)と、+2.3%から下方修正された前月、市場予想(+2.2%)に一致した。コア指数は+1.9%(前月改定値:+1.9%)と、こちらも+2.0%から下方修正された前月値、市場予想(+1.9%)に一致した(図表7)。

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(1)可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。

結果の評価:包括改定に伴い、貯蓄率が大幅に上方修正され消費余力が拡大

名目個人消費(前月比)は、4月の+0.6%から2ヵ月連続で伸びが鈍化しているものの、6月は+0.4%と依然として底堅い伸びを維持している。

一方、5年毎に行われる包括改定により、過去の自営業者所得および配当所得などが大幅に上方修正された。

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具体的には、17年の年次データで自営業者所得は+1,149億ドル、利子・配当所得は+1,892億ドル上方修正され、可処分所得+4,159億ドルの大幅な上方修正となったほか、個人貯蓄額が+4,994億ドル引き上げられた。この結果、貯蓄率は改定前の3.4%から6.7%に+3.3%ポイントの大幅な上方修正となった。このため、改定によって個人消費の消費余力が当初想定されたよりも大きいことが明らかになった。

一方、物価は総合指数(前年同月比)、コア指数(同)ともに前月から加速はみられなかったものの、総合指数がFRBの物価目標(2%)を4ヵ月連続で上回ったほか、コア指数も目標水準の一歩手前まで上昇していることから、物価は金融政策の引き上げ継続を後押しする内容であったと言える。

所得動向:賃金・給与、利息・配当ともに堅調な伸びを維持

個人所得の内訳をみると賃金・給与が前月比+0.4%(前月:+0.3%)と前月から伸びが加速したほか、利息・配当収入が+0.7%(前月:+0.7%)と、2ヵ月連続で高い伸びを維持した(図表2)。移転所得も+0.3%(前月:+0.1%)と前月から伸びが加速した。

一方、個人所得から税負担などを除いた可処分所得(前月比)は+0.4%(前月:+0.4%)と、前月並みの伸びとなった(図表3)。価格変動の影響を除いた実質ベースでは前月比+0.3%(前月:+0.2%)と、こちらは前月から伸びが加速した。

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消費動向:財消費は減少も、サービス消費は堅調に増加

名目個人消費(前月比)は、財消費が▲0.1%(前月:+0.9%)と大幅に増加した前月の反動もあって、小幅ながら減少に転じた。一方、サービス消費は+0.6%(前月:+0.3%)と、こちらは前月から伸びが加速した(図表4)。

財消費では、耐久財が前月比横這い(前月:+0.4%)と伸びが鈍化したほか、非耐久財が▲0.1%(前月:+1.1%)と4ヵ月ぶりに減少に転じた。

耐久財では、家具・家電が+0.4%(前月:+0.6%)、娯楽財・スポーツカーが+0.2%(前月:+0.3%と前月から伸びが鈍化したほか、自動車・自動車部品が▲0.2%(前月:+0.6%)と減少に転じた。

非耐久財では、ガソリン・エネルギーが+0.1%(前月:+2.4%)と前月から大幅に伸びが鈍化したほか、食料・飲料が▲0.1%(前月:+0.6%)、衣料・靴が▲1.3%(前月:+2.3%)と前月から減少に転じた。

サービス消費では、金融・保険が+0.3%(前月:+0.5%)、外食・宿泊が+1.3%(前月:+1.9%)と前月から伸びが鈍化した一方、娯楽が+0.8%(前月:▲0.1%)、住宅・公共料金が+0.5%(前月▲0.5%)と前月から増加に転じた。

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価格指数:前年同月比でエネルギー価格は2ヵ月連続2桁の上昇

価格指数(前月比)の内訳をみると、エネルギー価格指数が▲0.2%(前月:+0.9%)と3ヵ月ぶりにマイナスに転じた(図表6)。一方、食料品価格指数は+0.2%(前月:▲0.2%)と、こちらは前月からプラスに転じた。

前年同月比では、エネルギー価格指数が+13.1%(前月:+12.2%)と2ヵ月連続で2桁の伸びとなった(図表7)。エネルギー価格は16年11月以降、物価を押上げる状況が持続している。最後に食料品価格指数は+0.6%(前月:+0.3%)と、こちらも12ヵ月連続のプラスとなっており、物価を押上げている。

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(画像=ニッセイ基礎研究所)

窪谷浩(くぼたに ひろし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員

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