国土交通省の調査によると、2017年の国内クルーズ人口は過去最高の31.5万人に達しました。定年退職して時間に余裕ができたシニア層や長期休暇中の学生、新婚旅行のカップルなど、多くの方に愛されています。特に近年では格安でカジュアルなクルーズ旅を提案するパックツアーも増え、成長が更に期待できる新たな市場となっています。

海外船会社も参入。市場は拡大傾向

地中海クルーズ
(画像=Olga Gavrilova_shutterstock)

日本のクルーズ人口31.5万人のうち、外国への周遊を含む外航クルーズ参加者は2017年だけで4.2万人も増加して19.7万人になりました。その理由の1つは豪華客船が人気の大手外国船社が日本市場に参入し、日本発着の外航クルーズを増やしているからです。

2018年からは南極やアマゾンなど極地への探検型クルーズを手掛ける仏系大手船社本格参入するなど、日本のクルーズ市場は外国の大手船会社にとっても魅力的な存在です。むろん、日本一の豪華客船「飛鳥Ⅱ」も大人気。国産クルーズの最高峰だけあって、和のおもてなしが好評です。また、クルーズ専門トラベル雑誌の読者投票でも、2017年時点で26年連続1位を獲得しています。

訪日外国人のクルーズ訪問も増加中

一方、クルーズ船を利用して日本を訪問する外国人も250万人を越え、過去最高となっています。訪れる外国人の大半は中国人で、寄港地は博多港、長崎港、那覇港など九州地方が中心です。復興支援事業としてクルーズ船誘致に積極的な宮城県石巻港にも国内の人気客船が訪れ、来年には英系大手船社の初寄港が予定されるなど、クルーズ船来航によるインバウンド需要の高まりが、国内寄港地の経済振興におおいに貢献している点も見逃せません。

憧れの地中海クルーズのお値段は?

豪華客船といえばタイタニック号の昔から欧米が本場で、クルーズ船の利用客も圧倒的多数が欧米の富裕層です。アジアだけでなく、世界のクルーズ人口は2,320万人(2015年)で、この10年で1.7倍に成長しました。中でも、世界最大の客船が就航する憧れのカリブ海クルーズや地中海クルーズが人気です。

2018年4月にはクルーズ旅行専門のネット予約会社が東証マザーズに上場。日本発着の自社企画クルーズやベニス、マイアミ発着の地中海、カリブ海クルーズのパッケージツアーを販売し、業績を伸ばしています。

同社が提供するイタリア発7泊8日の地中海クルーズの参加費は2名で約30万~40万円台。現地までの航空運賃や宿泊代を入れると少し高額な出費になりますが、お金と時間に余裕がある人なら一生に1度といわず、何度もリピート可能な料金で憧れの地中海やカリブ海を巡ることができます。

一方、国内最高峰のクルーズのアジアグランドクルーズ33日間の料金は最低120万円、最高800万円。有名歌手の船上ライブやカリスマシェフのスペシャルディナーも楽しめて、とくに富裕層シニアに大人気です。

日常では味わえないラグジュアリーな時間を船上で優雅に過ごす富裕層はもちろん、今はSNSでリッチな時間を楽しんでいることを発信したいヤング層にも注目されています。こういった背景も、今後の日本におけるクルーズ市場急成長の原動力となっているといえるのかもしれません。

(提供:フィデリティ投信