国税不服審判所が公表した平成28年12月2日裁決において、上場株式等の譲渡損失の繰越控除の特例について、譲渡損失の発生年分以降、確定申告書が時系列的に連続して提出されていることが適用要件の1つとなると判断されました。

株式譲渡損失の繰越控除
(画像=チェスターNEWS)

今回公表された事例について、納税者の行った一連の確定申告書等の提出の時系列は下記の通りです。

平成26年3月12日、平成25年分の所得税等の確定申告書に計算明細書等を添付せずに提出。

平成27年3月5日、平成25年中に生じた譲渡損失を平成26年以降に繰り越し、これを平成26年分の株式等に係る譲渡所得等の金額及び上場株式等に係る配当所得の金額から控除して平成26年分の所得税等の確定申告書を提出。

平成27年3月9日、平成25年分の所得税等について、平成25年分の譲渡所得等の金額の計算明細書、平成25年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表を添付して平成25年に生じた損失の繰越金額を平成26年以降に繰り越す旨の更正の請求を提出。

これに対し審判所は、上記③の更正の請求に対し、平成25年中に生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額を平成26年以降に繰り越すためには、平成26年分の確定申告書の提出前に計算明細書等を添付し平成25年分の所得税等の更正の請求を行う必要があったところ、平成26年分の確定申告書の提出後に平成25年分の更正の請求書は提出されているため、措置法第37条の12の2第8項に規定する「その後において連続して確定申告書を提出している場合」に該当しないと判断し、平成25年に発生した譲渡損失の繰越を認めないこととしました。

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