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樋口龍(RYO HIGUCHI)
GA technologies代表取締役社長。1982年、東京生まれ。ジェフユナイテッド市原に育成選手として所属。24歳のときにビジネスマンへ転身し、不動産会社に勤務。2013年に株式会社GA technologiesを設立し、代表取締役に就任。創業時から中古不動産の流通事業を展開。現在はテクノロジーを活用したエンド・ツー・エンドの不動産流通プラットフォームの構築を中心に、データドリブンでユーザー利便性の高い不動産取引を目指す。(画像=NET MONEY)

小学生のころから世界で活躍することを目指す

雨宮:上場おめでとうございます。上場後に変化はありましたか?

樋口:上場企業として信用が増したように思うと同時に、責任の重さも感じています。社員もそのあたりを実感しているのではないでしょうか。

雨宮:ビジネスを立ち上げる前はサッカー選手で、Jリーグのジェフユナイテッド市原に育成選手として所属されていたんですよね?

樋口:小学生のころから世界で活躍することを目指していました。ジェフには5年間所属しましたが、育成選手は正確にはプロではないので給料がもらえません。18年間続けたサッカーでしたが、結局24歳のときに断念しました。

雨宮:ビジネスへの転向を後押ししたものはありましたか?

樋口:ソフトバンクグループの孫正義さんの評伝『志高く』(実業之日本社)という本を読んで、ビジネスでも世界で戦う人がいることを知って衝撃を受けました。サッカーでは挫折しましたけど、その代わりに世界的なビジネスマンになろうと思ったんです。

雨宮:起業のカリスマともいわれる孫正義さんに刺激されたんですね。どの業界でもIT(情報技術)は不可欠ですが、不動産に着目した理由は何でしょうか?

樋口:それまでサッカー一筋だった自分が、すんなり受け入れられるほどビジネスの世界は甘くありません。比較的、学歴不問である業界といえば、アパレル、食品、建設、不動産など。その中の不動産業界に飛び込みました。

雨宮:そこでノウハウを蓄積したんですね。

樋口:不動産は相対的にIT化が遅れている分野なので、リアルエステート(不動産)とテクノロジーを掛け合わせたリテック(不動産テック)なら世界を目指せると思い、2013年に創業しました。

雨宮:リテックといえば、米国が先行していますが、その主戦場は中古不動産市場といわれています。

樋口:当社は在庫を持たなくていい中古物件の物流にテクノロジーを導入しました。中古不動産の物流は、書類やFAXなどが中心で、IT化すれば劇的に変わると判断しました。雨宮:不動産流通プラットフォームの『リノシー』を訪ねると、販売、管理、投資、リノベーションと不動産に関して何でもそろっています。