相続対策と聞くと、つい「どのようにして相続に備えればいいのか?」「どうすれば正しい手順で相続を行えるのだろうか?」などと考えてしまいがちです。しかし、相続対策において重要なのは、相続前や相続時のことだけではありません。相続対策は、相続“後”の資産運用もまた重要となるのです。そのような認識をもっていないと、後で困ることになりかねません。
では、なぜ相続後が重要となるのでしょうか。その理由は、まとまったお金が残るのは相続後だからです。相続前や相続時に相続税対策をしておくと、相続税はお得になるかもしれませんが、相続したお金を適切に運用できるとは限りません。むしろ、無計画に使ってしまうことにより、せっかくの資産を早期に失ってしまうケースも少なくないのです。
高額な資産を引き継いだらどうすればいいのか?
そこで、相続によって高額な資産を引き継いだときには、まず、その資産を将来にわたってどのように活用するべきなのかを考えてみましょう。つまり、資産計画を立案してみるのです。具体的には、将来的に必要となる資金を計算し、それに応じた資産の使い方を検討してみるのです。そうすれば、相続したお金をむやみに使ってしまうこともなくなります。
そのうえで、相続した資産をどのように運用していくべきかについても考えてみてください。現代のように金利が低い時代においては、お金を銀行に預けておくだけではほとんど資産は増えていきません。それでは、いたずらにお金を眠らせておくだけです。そうではなく、適切な方法によって資産運用していくことが、将来の資産形成をより確かなものにしてくれるはずです。
相続後に考えるべき資産運用の基本
次に、相続後に考えるべき資産運用の基本について見ていきましょう。考え方として重要なのは、「リスクの分散」「ライフスタイルとの兼ね合い」「次の相続への備え」の3つです。これらをベースに、どのようにして資産を運用していくのか考えてみてください。
・リスクの分散
資産運用において、最も重要なのは「リスクの分散」です。とくに高額な資産を相続した場合には、どうすればリスクを分散しつつ資産を運用できるのかを考えるようにしてください。リスクの分散を無視して投資を行っていると、手元の資金をすべて失うことにもなりかねません。「卵をひとつのカゴに盛るな」という格言もあるように、リスクの分散は資産運用においては基本なのです。
・ライフスタイルとの兼ね合い
自らのライフスタイルについても考えておきましょう。投資は、投資する人の生き方や価値観に大きく左右されるものです。どのような人生を歩んでいきたいのかをふまえて、投資方法や投資先を検討してみましょう。自らのライフスタイルを熟知していれば、今後の人生でどのくらいの資金が必要となるかがわかり、運用方針も明確になるはずです。
・次の相続への備え
忘れてはならないのが「次の相続」です。相続は、一代だけで終わるものではありません。親から子どもへ、子どもから孫へと、行われていくものです。つまり、各世代が相続対策をきちんと行っておくことが、世代間を考慮した相続対策に欠かせないこととなります。相続後には、相続人から被相続人になることを自覚し、早めの対策を準備しておきましょう。
専門家への相談も視野に入れて
相続対策はもちろんのこと、資産運用に関して自分たちだけで決めてしまうのは危険です。資産運用のプロに相談しつつ、より望ましい運用方法を検討していくといいでしょう。その際には、ぜひ本稿で紹介している「リスクの分散」「ライフスタイルとの兼ね合い」「次の相続への備え」という3つのポイントをベースに、相談を進めていくことをおすすめします。(提供:相続MEMO)
【オススメ記事 相続MEMO】
・必ずしも相続する必要はない。相続放棄とは?
・相続税。遺産を相続できるのはどんな人?どんな割合?
・相続税対策としての贈与を上手に活用しよう
・相続対策にも有効!等価交換のメリットとは
・遺言書があったらどうなる??その効力と扱い時の注意とは