ここ最近、ビットコインに関するニュースを目にする機会が増えてきました。それも「ビットコインの価格が急上昇している」、「ビットコインが分裂する」など、その内容もポジティブなものからネガティブなものまでさまざまです。
ビットコイン、あるいはそれに関連する仮想通貨と聞くと、ニュースにはなるものの、まだまだなじみの薄い人が多いことでしょう。実際、「ビットコインや仮想通貨って怪しい!」と思っている人もいるはずです。しかし、仮想通貨は今後さらに普及が進み、暮らしで役立つ場面が増えることが予想されます。そこで、今回は仮想通貨の代表格であるビットコインについて紹介しましょう。
ビットコインが注目される3つのワケ
そもそも、ビットコインはなぜ注目されるのでしょうか。価格が上昇しているからでしょうか。実は、ビットコインが話題になるワケはそれだけではありません。人々がビットコインを使うことに何らかのメリットがあるからです。さまざまな見方もありますが、まとめると3つのメリットがあると考えられます。
●メリット1 国をまたいだ送金・決済が簡単にできる
ビットコインは、国や地域に関係なく利用できることが特徴です。通常、異なる国や地域で決済するためには、持っているお金を両替する必要があります。また、送金するためには、銀行での審査など余計な時間がかかってしまいます。
しかし、ビットコインであれば、このような手間は発生しません。異なる国や地域への送金・決済も、お金を受ける側から指定されたアドレスを入力すれば、スマートフォンなどから簡単に手続きすることができます。
●メリット2 送金・決済手数料が安い
ビットコインは送金・決済の手続きが簡単なだけでなく、それにかかるコストもこれまでより安いのが特徴です。
送金するには高額な手数料がかかります。海外送金であればなおさらでしょう。決済についても、店舗がクレジットカード会社へ支払う手数料は、ビットコインの手数料より高いのが一般的です。しかし、ビットコインを利用すれば、決済にかかるコスト削減が実現します。利用者にとって利便性が高まるほか、店側もより良いサービスや製品を提供できるようになるかもしれないのです。
●メリット3 偽の通貨が発行されるリスクが低い
日本人にはピンとこないかもしれませんが、海外では偽札の存在に悩まされている国もあります。偽造された紙幣や通貨が悪用されるリスクや、インドのように偽札対策の一つとして、高額紙幣の使用が停止になることもあります。
その点でいうなら、ビットコインなどの仮想通貨は偽造される可能性が低いといえます。耐改ざん性に強く、発行される通貨の量が決まっていることもあり、価値そのものが担保されているといわれています。これにより、通貨そのものの信用が上がり、安心して利用できるというメリットがあります。
とはいえ、いいことばかりではないビットコイン
これまでビットコインのメリットをあげてきましたが、それにはリスクもあります。ここでは、2つのデメリットを紹介します。
●デメリット1 処理能力が限界に達しつつある
ビットコインは、処理できる取引量がすでに限界を超えつつあります。いわゆる「スケーラビリティ」と呼ばれている問題です。ビットコインは、取引データを「ブロック」にまとめて管理して、10分ごとに取引が認証されます。ただし、このブロックへ書き込める容量には、1MBという制限が設けられています。そのため、そこに書き込めないデータは、次のブロックへ書き込まれることになり、認証されるのが遅くなります。そして、これが積もりに積もると、データ処理の遅延が発生するのです。
ビットコインの開発者の間では、この問題を解決しようと議論を進めています。しかし、これがまとまらないため、次に紹介するようなリスクが生じます。
●デメリット2 ビットコインの信用が落ちる可能性がある
2017年、ビットコインは「ビットコインキャッシュ」と「ビットコインゴールド」という2種類の通貨となりました。ビットコインの処理能力をどのように向上させるかの議論がもの別れとなり、このような事態が起こったといわれています。
もし、同じようなことが今後、頻繁に発生するとなれば、ビットコイン自体の信用が落ちてしまう可能性があります。ビットコインへの投資を考えている人は、前述のようなリスクがあることを常に念頭に置いておく必要があるでしょう。
メリット、デメリットがありつつもビットコインの利用は着実に進む
ビットコインにはメリットとデメリットがあるほか、ビットコインをはじめ、仮想通貨というものをどうすれば低いリスクで扱えるのかは、いまだわかっていません。しかしそんな中でも、仮想通貨をリアル店舗の決済で使えるようにする動きも出てきています。日本では、大型家電量販店や全国でチェーン展開をするメガネ専門店で決済利用できるようになっており、今後、利用が進むかが注目されています。このように、ビットコインは少しずつ世の中に普及していくことが予想されます。これからもっとメディアを賑わし、目に触れる機会が増えるかもしれません。
(提供:フィデリティ投信)