ドル円は米中貿易摩擦懸念や米利上げ鈍化観測などにより、12月に入った後にやや下落し、足元では112円台後半で推移している。

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今後は円高に警戒が必要な時間帯に入る。2016年以降は、毎年年初に円高が進行してきた(1)。中国経済減速や原油安、トランプ政権の保護主義など毎年様々な懸念が高まり、リスクオフの円買いが発生したためだ。2019年年初についても、米利上げ鈍化観測が強まるなかで、米中貿易摩擦や英EU離脱問題などが山場を迎えることから、リスクオフの円買いが入りやすいだろう。米国経済の相対的な強さを背景として大幅な円高ドル安の進行は避けられるものの、一時的に110円を試す場面も想定される。一方、春にはリスクオフ一服に伴ってドルの持ち直しが期待できる。最近の市場は米景気への懸念から利上げ鈍化を織り込み過ぎていると考えられるため、利上げ観測の持ち直しに伴って、3ヵ月後は1ドル113円前後に戻ると予想している。

ユーロ円は、欧州の政治不安(英国のEU離脱問題、イタリアの財政問題など)や冴えない経済指標を受けて低迷し、足元は128円台前半で推移。今後、英国のEU離脱問題が山場を迎えることから、当面はユーロ安に振れやすいだろう。イタリア問題も展開次第ではユーロ安圧力になる。ただし、時間の経過とともに先行きの不透明感が緩和し、引き締めに向かうECBの金融政策が意識されることで、ユーロの買戻しが見込まれる。3ヵ月後の水準は131円程度と予想している。

長期金利は、不安定な株価動向や米金利低下を受けて低下し、足元では0.0%台前半に低下している。当面、世界経済の下振れリスクが警戒され、安全資産としての国債需要が金利の抑制に働くだろう。ただし、足元の米金利は過度の利上げ鈍化を織り込んで下がりすぎており、いずれ修正されるはずだ。また、日銀の国債買入れ減額も金利上昇に働く。3ヵ月後の水準は0.1%程度と予想している。

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(1)年初からの2ヵ月間に、2016年は約7円、2017円は約4円、2018年は約6円の円高ドル安が進行した。

(執筆時点:2018/12/18)

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上野剛志(うえのつよし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 シニアエコノミスト

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