本の内容を「ひと言」で説明してみよう
難解な文章は、言葉の意味が難しいだけでなく、「文の構造」が複雑であることも少なくありません。重文と複文、修飾語などが入り乱れているからです。
例えば、「私は、私が検討する難問の一つひとつを、できるだけ多くの、しかも問題をよりよく解くために必要なだけの小部分に分割する」という一文。
こうした文章は、主語と述語と目的語に注目して読むだけで、シンプルな構造になります。
主語は「私は」、述語は「分割する」、目的語は「難問の一つひとつを」です。つなげると、「私は難問の一つひとつを分解する」という一文になります。
難しい文章に出合ったら、いったん「要素」に分解してできるだけシンプルにする。文の構造に注目すれば、本当に伝えたいメッセージが見えてきます。
こうした読み方を身につけると、各項目、節、章で「何が言いたいのか」をひと言で表現できるようになります。すると、本全体についても、ひと言で説明できるようになるのです。
例えば、「『方法序説』は、それまで一緒くたにされていた精神(神)と物質(自然現象)を分けて考えることで、真理を探求する新しい方法を提案した本である」と説明できます。
全体をひと言で表現する訓練を積むと、言葉の意味が「腹落ち」するので、本を読んだときの理解度がまったく違ってきます。「なるほど」「わかった!」という読書体験が、さらに難しい本を読むモチベーションになるので、ぜひ実践してください