京大理系人気教授が実践する「背伸び読書」

難解な本,鎌田浩毅
(画像=THE21オンライン)

「仕事に必要な会計の本を読む」「プログラミングを学びたい」「哲学書を読んで教養を深めたい」など、硬派で難解な専門書や学術書を読んで学びたい人は多いだろう。そうした本を読破するのは易しくないが、「自分の能力を超えた本でも必ず深く理解できるようになる」と指摘するのは、火山学が専門でありながら、様々なジャンルに精通している鎌田浩毅氏だ。一体どうすれば、自力で難しい本を読めるようになるのだろうか。そのノウハウをうかがった。

わかりにくい本は著者のせいにしていい!

難しい本に背伸びして挑戦し、挫折した経験はないでしょうか。京大生にも、そうした学生がたくさんいます。

専門書や学術書などは、なぜ理解できないまま挫折してしまいがちなのでしょうか。私は三つの原因があると考えています。

一つ目は、言葉が難解であること。著者にとっては当たり前の用語でも、読者にとって馴染みの薄い言葉が多いのです。専門用語の知識なしに本を読んでも、内容を理解できません。

二つ目は、概念のバリア。専門家である著者と読者の間には、考え方や思考パターンに大きな差があります。にもかかわらず、著者が論理を一方的に展開するため、読者がついていけなくなってしまうのです。

三つ目は、国や時代背景が違うこと。バックグラウンドが違えば、常識も異なるため、たとえ言葉や概念を理解できたとしても、本の内容がしっくりこないのです。

ただ、本来は専門的な内容をわかりやすく解説するのが著者の仕事であるはずです。どんなに優れた内容であっても、わかりにくい表現で書かれた書籍は、著者の怠慢と言えるでしょう。

しかし、真面目な読者は「読解力が足りないから、理解できない」と思い込んでしまいます。「わからない自分はバカだ」と劣等感を抱き続けると、読書自体が嫌いになりかねません。

そうではなく、「わかりにくい本は著者が悪い。理解できなくても自分は正しい」と、まず肯定してみましょう。これで、難しい本を読む「心理的ハードル」が一気に下がるはずです。