40代以降は20代、30代と比べ、仕事が安定して収入は増えるが、マイホームの購入や子どもの教育費など支出も増える。老後のための貯蓄について、より真剣に考え始めるのもこの時期だろう。家計の負担にならないように「無駄なく使いながら賢く増やす」投資戦略を心掛けたい。

株式に比重を置いた資産配分で「増やす投資」

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(画像=Rido/Shutterstock.com)

株式や好きな時に解約可能なオープンエンド型投資信託(ETF)は、債券や短期投資より高リターンが期待できる。そのため、増やすことに積極的な40代には株式やETFに比重を置いた投資スタイルを勧める専門家が多い。ただし「20~30代よりも若干守りに入る」ことがポイントだ。

一般的な資産配分の目安である「100-年齢=株式保有率」という算出法に従うと、40代にとってベストな比率は株式60%。無理のない範囲で投資し、最大限に増やすことが重要だが、経済状況や投資経験、貯蓄目標によってベストな比率は変わる。自分に合った比率を見極めることが成功のカギをにぎっている。

米資産運用企業ブライトワース(Brightworth)のウェルスアドバイザー、リサ・ブラウン氏 は、20~30代は資産配分の最大80%を株式に当て、40~50代は最大70%、60~70代は40~60%に減らすことを提案している。

34歳で早期リタイアを実現したファイナンシャルライター、サム・ドージェン氏 は、投資に対する興味も知識も薄く、資産運用が苦手な人には「従来の資産配分モデル(株式60:債券40)」、積極的な資産運用は苦手だが、老後の貯蓄で快適な老後を送りたい人には「新生活資産配分モデル(80:20)」、ボラリティなど株式投資のリスクが心配だが、老後の収入源を確保していないという人には「サバイバル資産配分モデル(50:50)」を勧めている。

中~高リターンを狙う40代向きのポートフォリオ

具体的にはどのようなポートフォリオが40代向きなのか。

SEI プライベート・ウェルス・マネージメントのディレクター、マイケル・ファレル氏は 、株式の3分の2は米国株、3分の1は国際分散させるという配分を提案。米国株は日本株に比べて高配当なものが多いうえに為替差益も狙える反面、為替差損リスクが常に潜んでいる。

中~高レベルのリターンを狙うのであれば、為替変動のリスクもとりつつ、先進国株式を中心に先進国REIT、国内株式、国内REITを組み合わせたポートフォリオを検討するのも一案だ。

債券では、「安全資産」とされる国債に重みを置き、高利回り狙いのハイイールド債や新興国債の比率を低くする。例えば株式60%、債券40%という資産配分であれば、5%を新興国債、10%をハイイールド債に割り当て、25%は国内債券という比率にすることで、リスクを抑えながらもある程度のリターンが期待できる。

40代はたとえ多少投資に失敗しても、定年退職までに時間がある。試行錯誤を繰り返しながらも、将来的には理想のゴールを目指すチャンスにあふれている。経済的に余裕がある人は、40代から不動産や仮想通貨などのオルタナティブ投資や起業などに投資の幅を広げることで、将来的な収入源のチャンスを得ることができるだろう。

60代からは「守り」の戦略に

ブラウン氏いわく、40代を過ぎ、50代になって経済的な安定を達成したからといって、株式投資の割合を大幅に削減すべきではない。少なくとも株式の比率を50~70%程度で維持していない限り、退職後の生活水準を落とすことになりかねない。

しかし60代からは株式・債券・現金などをバランスよく取り入れた「守り」の戦略に本格的に切り替えるべきだ。60~70代は老後の貯蓄から支出を補う必要があるため、5~10年分の生活費に相当する金額を、現金や債券といった、株式よりもリスクの低い商品に投資していることが理想的だ。「ポートフォリオを100%株式で構成している」という高齢の投資家は、かなりの資産家が多いという。

前述した通り、ベストな投資戦略は一人ひとり違う。老後の貯蓄を考慮した投資戦略を立てる際は、退職時期や目標金額を明確にし、定期的にポートフォリオのリバランスを行いつつ、長期的なプランをもつべきだ。

文・アレン・琴子(英国在住のフリーライター)/MONEY TIMES

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