投資アドバイザーを選ぶ際に固定手数料を選ぶべきか、成功報酬タイプを選ぶべきかはそう簡単に判断できる事ではない。だが、投資アドバイザー自身は、顧客が固定手数料を好む事を望んでいる。実際に、投資家の65%は固定手数料を好むと言う調査結果がある。(チェルリ調べ)この調査は投資アドバイザーに頼らない投資家を含んでいるので、このタイプの投資家を除けばさらに固定手数料を好む投資家の傾向は高まるだろう。 ただ、投資家の傾向はここ7年で大きく変わってきた。2011年には、27%の投資家が運用資産比例手数料を選び、44%が成功報酬タイプを選んだ。(その他の29%は時間給又は固定手数料であった。)これが、2018第3四半期には、36%の投資家が運用資産比例手数料を選ぶようになり、成功報酬形式を選ぶ顧客は38%に減った。 さらに、顧客動向以上に変わったのは手数料構造である。2011年には、10%の顧客しか固定手数料形式の存在を知らなかったが(18%の顧客が成功報酬タイプの存在を知らなかって)、2018年には34%顧客が固定手数料形式のサービスを知るようになり、22%の顧客が報酬タイプのサービスも知るようになった。 もちろん、個々の投資家たちの考えには大きな違いがある。特に、特定の分野以外は自分自身で判断を出来る投資家と固定手数料の投資アドバイザーを好む投資家の違いは大きい。 さらに、最近のトレンドでは、固定手数料ベースの投資アドバイザーの伸びは顕著である。この流れは、投資アドバイザーを短期的利益を目指させるより、長期的利益を長いタームで確保させるアドバイザーを目指す方向に向かわせる方向に変えてきている。 フェニックスマーケッティングインターナショナルと取引をしている1万人の調査では、更に2008年の26%から2018年第3四半期では45%まで固定手数料ベースの顧客の伸び、その大きな伸びが明らかになった。最も、顧客数ではなく、手数料総額では、成功報酬ベースの方が大きい。実際に成功報酬ベースの運用資産は2008年に7.5兆ドル、同時期に固定手数料ベースの運用資産は2.6兆ドルと3倍の差があったのが、2018年には成功報酬ベースの運用資産が11.2兆ドルに対して、固定手数料ベースの運用資産は9兆ドルとなり、かなり差はちじまったが、そうはいっても実額での差は大きい。 さらに、固定手数料ベースの投資サービスで顕在化した問題は、投資環境に応じた臨機応変なアドバイスの不足である。チェリル社によると成功報酬ベースの契約であれば、そうした危機的状況に応じたアドバイスを可能にするというのである。固定手数料ベースでは、そういった状況で、収入に影響のないアドバイスをするインセンティブが働きにくいというのである。 これに対して、新規顧客の獲得を運用担当者に連動させるという実験をした結果、メチルリンチは固定手数料の運用担当者が、株式市場の伸びに応じて大幅な伸びを示すという、上記に若干反する調査結果を得た。 チェリル社によると、固定手数料を払う顧客は契約条件に関心があるのではなく、幅広い選択肢の中から最も高い利益を得る事を望んでいるというのである。そして、投資アドバイザーに頼らない投資家は、当然ながら、投資アドバイザーに利益を分配することは望んでいない。 固定手数料ベースの手数料を払う顧客(65%)は、時間ベースの手数料を払う顧客が多く(固定手数料ベースの顧客の74%)そして最大限の利益を得ることを望んでいる。そして、成功報酬ベースの手数料を払う34%の顧客は自分の契約した投資アドバイザーを信用していない。 このような流れの中、トップの投資アドバイザーを選ぶ顧客は2011年の61%から2018年には84%までに高まった。そして、チェリル社によると投資専門家に対する顧客の信頼は2011年の11%から33%までに高まってきている。