PAVONE 50号記念 特別インタビュー
PAVONE も今号で50号という節目を迎える。そして、本年5月には新元号とともに、新しい時代の幕開けがやってくる。大きな変化が訪れるであろうこの年に、日本は、世界はどう変わっていくのだろうか? 各業界でめざましい活躍を続ける賢者たちに、次の時代を切り拓くヒントを伺うべく、経営、リスクマネジメント、資産運用、教育などの分野についてインタビューを行った。
明治維新のような大変革の時代に経営者は意識を転換する必要がある
企業や官公庁の福利厚生業務の運営代行を行うナンバーワン企業のベネフィット・ワン。サービスの流通を整え、ユーザー課金というシステムによって事業を急速に拡大させ、昨年には一部上場も果たしている。このビジネスを立ち上げ、短期間に成長させた白石氏に、平成から次の時代に何が起き、何を準備しなければならないかを伺った。
平成は昭和の延長線だった明治維新以来の激変の時代が来る
平成のスタートとともにビジネスシーンを駆け抜けてきた白石氏。それまで認知度の低かった企業の福利厚生のアウトソーシングをスタート。サービス業界に「流通」という概念を持ち込み、事業を拡大した。そんな白石氏はこの時代の転換点に立ち、どのような事を考えているのかお伺いする。
「経営者という目線で考えると、平成という時代は基本的に昭和の延長線上にあったと思うんですね。特にホワイトカラーのマネジメントはずっと長い時代守られてきたと思います。ところが、戦後70年以上続いたものがここにきてガラッと変わろうとしています。例えるならば、日本は世界のガラパゴスだったと言えるでしょう。バブル以降ずっとデフレの時代が続いていましたが、長く人手余りの時代が続いていました。ところが、日本以外の諸外国のほとんどはインフレで物価は上昇し、人手不足でしたので、デジタルによる効率化、合理化が進んでいます。日本国内では団塊の世代が退職し、少子高齢化などが話題になり、急に人手不足が声高に叫ばれるようになりましたが、オリンピックを控え、これからは明治維新のような激変の時代が来ると考えています。インフレが始まれば、持たざる経営などは時代遅れになります。180度意識を変えないと経営者は痛い目に遭うと思いますね。大変革の時代が来るということを意識すべきですね。」
街の景色が変わる 人も建物も何もかも
「次の年号で日本の景色が大きく変わりますね。まず外国人の数が圧倒的に増える。すでに販売の現場などは外国人だらけですが、これが入管法の改正により、製造業や農業・建築の現場にもより多くの外国人が入ってくる。ガラパゴスからグローバルスタンダードの波に飲み込まれる時代です。本当の意味での21世紀が始まるような気がします。まずは元号の変更とともに大きくデジタル化が進むでしょうね。平成の時代まで、アナログなシステムや考え方は続いていました。我々の会社はその点では他社よりもサイクルが早く、デジタル化や働き方の改革は済み、次の段階へと進んでいます。そして、この後来る開国の時代では外国と日本の差をどうとらえるか、がキーワードになるでしょう。当社ではすでにその差を海外に持ち出すビジネスを展開しています。そしてビジネスやシステムにおける多言語化やデジタル化は必須。でも日本人はそんな時代の変化にキャッチアップが早いですので、デジタル化、キャッシュレス化にもすぐ対応が出来ると思いますね。」
「日本の企業はガバナンスやコンプライアンスに関しても非常に遅れていました。個人の長時間労働の犠牲の元に日本の国際競争力は担保されてきたわけですが、それももう許されません。この時期に新年号に変わり、オリンピックが来るのは偶然ではなく時代の必然。過去の成功例にとらわれている経営者は失敗します。年号が変わることは人々の意識を大きく変え、明治維新の時と同じような大きな変化が起きることと思います。」
パソナグループの社内ベンチャーとして1996年に株式会社ビジネス・コープを設立、
福利厚生のアウトソーシングサービスを開始。
2001年、株式会社ベネフィット・ワンに商号変更。
福利厚生サービスをはじめ、インセンティブ、CRM、BTM(出張支援サービス)、
ヘルスケアなどの事業を展開。
2018年11月より東証一部銘柄に指定される。
豊かな人生を共に歩むパートナーに スイス・プライベートバンクの魅力とは
資産の承継と豊かな人生のサポートを重要視する『クレディ・スイス』のプライベート・バンク。今後、日本の富裕層にとって必要とされるその存在意義をクレディ・スイス プライベート・バンキング日本代表の平尾恒明さんに伺った。
創業から160年を超えるグローバル金融機関
160年余もの歴史を誇り、50か国以上の地域で富裕層向けの資産管理において世界をリードする『クレディ・スイス』のプライベート・バンク。そのサービスの特色と日本における存在意義を伺った。
「『クレディ・スイス』は起業家のための銀行としてお客様より信頼をお寄せいただいており、ビジネスと個人資産、双方の側面においてライフサイクルに応じたさまざまなソリューションを提案しています。一例を挙げますと、あるビジネスモデルで創業したいという方がいます。まず初めに事業内容や戦略についてお伺いし理解した上で、立ち上げの際には資金調達の方法などについてアドバイスいたします。その後はどのように財務を強化すべきかを考える。このように、創業期、成長期、成熟期、転換期と各ステージによってニーズや課題は異なりますよね。それらを分析し、企業価値向上や世代を超えた資産承継のためにタイムリーにカスタマイズしたサポートを行うのが特徴です。もちろん順調にいくときばかりではありません。たとえば、富裕層に特化したビジネスモデルで一気に成長した某企業のケースは、M&Aなどでさらに事業を拡大。しかし子会社の業績が悪化し株価も暴落。そういうときこそ、原因の分析、精査など、調査やサポート力が生きてきます。私たちは起業家と同じ船に乗り、お客様の未来を描くお手伝いをしているのです」。
スイスのプライベート・バンク 『クレディ・スイス』の強味とは
「日本の金融機関では、一般的に2〜3年で担当替えがありますが、私どもはお客様のヒストリーをすべて把握してひとりの担当者が長きに渡りお客様をサポートしています。事業内容から資産、家族構成まであらゆることを熟知しているわけですから、お客様にとっても、懐を開き安心して任せられる存在となります。またグローバルに事業を展開しているため、世界中にネットワークがあるのが強味です。海外進出をご希望のお客様には、その国の富裕層とのつながりを生かし、関係構築や情報提供などの面からもサポートいたします。資産運用に関しては、日本では株式の単品売買が主流です。一方世界では株式、債券、為替などの資産クラスの分散のみならず、地域や時間の分散があたりまえであり、投資の基礎となっています。そういう教育や知識が小さい頃から与えられているのに対し、日本では大学を出ても、株ってどうやって買うの?(笑)そんな方が少なくない。ハイリスク、ハイリターンを求めるのではなく、資産を次世代へ継承する。その目的をサポートするためにプライベート・バンクは大きな役割を担っています」。
人生を共に歩む、彩る 幅広いサポート
資産運用が主たる業務と思われがちだが、お客様に寄り添うサービスは多岐にわたる。「スイスのボーディングスクール(寄宿学校)の情報提供を通じ、ご子弟の教育サポートにも力を注いでいます。多彩なバックグラウンドを持つ世界の富裕層子弟が集まるため、子供時代に育まれたネットワークは、将来彼らが社会に出た時に生きてきます。共に手を組み世界で戦える大きなビジネスへとつながっていくのです。社会貢献も重要です。事業も順調で、資産も十分子供に残した。そうなると、自分がやりきったことに対して、いままで育ててくれた社会へ恩返ししたいという気持ちが表れてくる。心の自己実現、これが人生の仕上げとなります。ヨーロッパではほとんどの方が行っている社会貢献ですが、日本はまだ不慣れな方が多いようです。最近では寄付だけではなく具体的な案件、たとえば子供食堂に興味を示しているお客様に対して、情報提供などでお手伝いすることもあります。世界中には紛争や貧困などで命の危機にさらされている人が大勢います。本当に困っている人々と富裕層の方々をマッチングさせること。それはプライベート・バンクの使命のひとつだと思っています。今後この分野はますます重要になるので、日本にもその精神を根付かせたいですね。また今年は、投資一任型資産運用サービス、『クレディ・スイス マンデート』を日本でも本格的に開始する予定です。当社の調査、投資戦略部門のハウスビュー(独自の投資見解)に基づき、運用は私どもにお任せいただくというサービスです。こちらもぜひ期待していただきたいですね」。
シティグループプライベートバンク、UBS ウェルス・マネジメント超富裕層セグメント営業本部長を経て、
2016年より現職。プライベートでは、国内外でフィランソロピー(社会貢献)活動に関わることをライフワークとしている。
社会が次第に寛容さを失ってきた 企業は外部専門家をフル活用し対処すべし
企業法務全般を専門とし、企業の日常的な法務相談から紛争案件までオールラウンドにこなすTOMA弁護士法人代表弁護士の前岨氏。社長個人の悩みから相続・刑事事件まで幅広く扱っている。近年、企業法務で問題になっている、コンプライアンス・ガバナンス・事業承継などは、問題が発生する前にいかに予防的措置をとるかが重要である、と語っていた。
コンプライアンス違反はもはや企業の存続にも関わる問題
「17年間にわたって企業法務に携わってきた弁護士として、大きく変わったと思うのは企業のコンプライアンス意識が高まったということですね。最近は不祥事やハラスメントが数多く表に出るようになっていますが、そういったことは昔からあったと思うのですが、以前よりも被害者の方が声を上げるようになり、社会もそういう不祥事を許さない風潮になってきていると感じます。そんな法令順守の考え方は今後も後退することはありません。会社としてはコンプライアンス体制の構築が求められます。何か不祥事があれば、レピュテーションリスク(評判リスク)が高くなり、企業の存続すら危うくなることも十分に考えられます。事件が起こってからでは手遅れになることも多いので、それを防ぐために、外部の弁護士や社労士などを活用して予防していくのが良いでしょう。ただ、法律とは、絶対的なものではなくて、社会や時代によって変わっていくものです。背景には人の価値観の変化があり、四角四面にとらえる必要はないと思うのですが、法令順守についても、世の中が必要以上に過敏になっているような状況も感じます。またITの急速な普及によって、日本の社会において人々の生活の孤立化が進み、社会構造が変わってきています。個人やそのコミュニティにおける狭い価値観しか認めない人、偏った個人主義を持つ人が増えているように思います。モンスター・ペアレンツとか、モンスターカスタマーとか、モンスター社員とか。企業の経営者はそういった方たちにも対処しなければなりません。」
事業承継の問題は早めの対処が必要
「政府の推進している働き方改革とは、簡単に言えば仕事の効率化を重視するということ。すると企業は余裕がなくなるので、例えば人材採用の場面では、企業は失敗の可能性の低いであろう、いわゆる高学歴な人しか採らなくなる可能性が出てきます。結果的に貧富の差がより激しくなるでしょう。また入管法改正により、単純労働に外国人が数多く従事することになりますが、AI化によっても、とって代わられる仕事も出てきます。すると仕事に就けない人も増えてくるでしょう。貧しい人はより貧しくなり、リカバリーの可能性も絶たれてしまいます。日本の階級社会における貧富の差が固定化し、より激しくなってしまうように感じます。」
「また今後は、超少子高齢化による社会への影響も大きいでしょう。企業としては、事業承継の問題が増えてきています。カリスマ性のある社長さんが急に亡くなってしまって、その事業を継げる人がいなく、会社そのものが無くなってしまう事態が発生しています。コンプライアンス問題にしても事業承継にしても、将来起こりうる問題点をどこまで前倒しで準備して対処しておけるか、に尽きます。この先、不寛容が蔓延しつつある社会ですが、社会を動かすような地位の方々が、寛容の精神を持ち、少しでも余裕のある、生きやすい社会になるように行動していただきたいと思っています。」
国内中堅規模の法律事務所パートナーを経て、平成28年TOMA 弁護士法人を設立。
企業法務全般、民事、刑事、相続、著作権・商標権などの知的財産権、
インターネット、エンターテイメントビジネス法務関連など幅広く、
講演活動なども積極的に行っている。
近著に「弁護士はBAR にいる」(イーストプレス)「基本からよくわかる知的財産権」(日本能率協会)などがある。
次世代を担う子供たちへ 可能性を広げる新たな教育スタイル
子供たちの可能性を広げ夢を叶える教育基盤を創り上げる若き二人の起業家が、共に手を組み新事業を打ち立てた。将来を見据えた彼らの教育スタイルとは。
グローバル化へ向けた教育スタイルを発信
― 起業の経緯や事業の特色
鈴木(以下S) 「そもそものきっかけは、土地建物の有効活用の一環でしたが、共働きだったこともあり、民間学童保育に着眼しました。『ウィズダムアカデミー』は、指定場所への送迎や学校の宿題サポート、また多くの習い事を同施設内で行えるのが主たる特色です。特にキャリアを持つお母さんは、子供の習い事は土日に集中するケースが多く、せっかくの休日もその付き添いで、せわしなく終わってしまう。だったら効率よく学童保育の時間内ですませて、休日は家族との時間に費やしてもらいたいなと。子供はどこで花開くかわからない。たくさんの学びと体験ができ、可能性を広げられる、そんな理想を形にしました」。
モントゴメリー(以下M) 「教師だった父の背中を見て育ったので、僕も教師を夢見て大学に入りました。でも、ビジネスに興味を持って金融業へ。その後、大手料理教室の社長を経て、父のサポート役も。父は教師そのもので、長期的に支えていくための事業モデルやビジネスを回す知識や経験がない。教育者は技術者なんですよ。だから子供にまっすぐ向き合うことだけに専念してもらって、僕は裏方としてビジネスを担当しました。GLOBAL EDUCATIONAL PARTNERS』はグローバルに活躍できる人材育成を目的とした国際教育に特化した会社。さまざまな事業を展開していますが、オンラインで行う『GLOBAL STEP ACADEMY(以下GSA)』とインターナショナルスクールや学童保育の運営が主軸です」。
― 日本の英語教育の懸念
S 「僕はアメリカの小学校に通っていたためネイティブの英語を学んだけど、日本にいると話す必要性が極端に減るから忘れちゃうんですよ。だから、英語に触れる機会を増やそうと考えたのがスーパーグローバル塾です」。
M 「日本の教育は世界でみてもトップレベル。でも英語に関しては圧倒的に時間が少なく、使えるレベルには到達できないんです。たとえば日本人が留学して数学の授業を受けたとします。数学の内容がわからないのではなく、英語が理解できないために授業についていけないとなる。英語で学んでいないから応用がきかない。英語を学ぶためには英語で学ばないとダメ。スーパーグローバル塾は1日3時間を週3回、英語漬けです。使える英語のレベルに達するには、2000時間が必要と言われていて、子供のときから継続すれば、あっという間ですよね。算数も理科も英語で学ぶ。どれだけ英語と触れる時間が持てるかが重要な特別な塾なのです」。
S 「この間、二人で韓国に行ったんですが、韓国の英語レベルはすごいです。世界に出て行く準備ができています。日本は完全に遅れてて、早く追いつかないとヤバいよねと、危機感を覚えましたね。このスーパー塾もそうですが、本田圭佑さんと連携を組み、サッカーのメソッドを活用しながらインターナショナル教育を合わせて行う事業も幕張で展開しています。スポーツやアートといった技能を通して海外へ出て行く。子供たちの夢に近づく、可能性が広がる機会をどんどん増やしていきたいですね」。
―親御さんへ教育選びのポイントを
M 「教育って、単純に次の世代へ残すための、生きていくための基礎、基盤なんです。20年後、30年後を考えないと教育は作れない。これから先、経済も人口もますますグローバライゼーションし、国境はなくなる。いろいろな血が混じって新しい文化が生まれる中で、人と人が向き合って言葉を交わして生きていくわけです。共通言語も英語だけではなくなるかもしれない。だから、お子さんがどういう環境で生きていくのか、そのためにどういう教育を提供すべきなのか、そういうビジョンと探究心を持てば答えが見えてくると思います」。
関西学院大学総合政策学部卒業。
住宅、医療業界を経て、みずほ証券、メリルリンチ日本証券、
三菱UFJ メリルリンチPB 証券でプライベート・バンキング業務に従事した後、独立。
2010年、民間学童保育ウィズダムアカデミーを設立し、現職。
アメリカのバブソン大学卒業。
メリルリンチ日本証券でM&A 業務に従事した後、
『ABC Cooking Studio』の代表取締役社長を任される。
2014年に旧(株)GLOBAL DUCATIONAL PARTNERSを買収し、現職。
Information
ウィズダムアカデミー https://wisdom-academy.com/
GSA グループ https://www.gsacademy.com/
スーパーグローバル塾 https://www.super-global.com/
(提供:PAVONE)