先週は様々な世界経済への懸念が再浮上し、回復基調だった米国市場は打撃を受けていた。

米中間の貿易戦争への懸念、ユーロ圏経済の低迷、ブレクジットによる下げ圧力などがある中で S&P 500は年初来で週次で最大の下げ幅だった。

これらの短期的に影響する悪材料があっても、昨年末以来の回復を陰らせているわけではない。S&P 500はリーマンショック後2009年3月9日の安値以来、一般消費財セクターやテクノロジーセクターに牽引され300%の上昇である。

マクロ環境は短期的には不明瞭である中で、今週に決算などがあり値動きをみせそうな3銘柄を以下にあげる。

1.ブロードコム

この決算シーズンで最後の半導体企業の決算となるのはブロードコム(NASDAQ:AVGO) だ。2019年第1四半期決算は3月14日(木曜日)の市場終了後に発表される(現地時間)。市場予想では、EPS5.24 ドル、57億4000万ドルとみられている。

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(画像=Investing.com)

最近の半導体業界の低迷にも関わらず、Broadcomはうまく乗り越えているようだ。金曜日の終値では264.19ドルとなり、半年で約10%の上昇である。一方、 半導体全体では同時期に4%以上の下落である。

実際に、ブロードコムの2019年の売上高と利益の見通しは好調である。昨年10月の同社の予想では、2019年度ではEPS21.50ドルとの予想だったが、現在ではEPS23.04ドルになるとみられている。

アップルが売上の大部分を占める半導体企業は、iPhoneの売上鈍化に伴い苦戦している一方で、ブロードコムの売上高は好調である。Bank of Americaメリルリンチの調査によると、ブロードコムのアップルへの供給は縮小しており、25%から15-20%となっている。

同社は昨年ニューヨークに本拠を置くソフトウェア企業CA Technologiesを買収した。 メリルリンチのVivek Arya氏は、Broadcomの売上の80%以上が「より安定した、持続可能な、クラウド、ネットワーキング、ソフトウェア、およびストレージ分野などから見込める」と述べている。

2.アドビ

今週に投資家の注目を集めそうなテクノロジー株は、アドビシステム(NASDAQ:ADBE)である。2019年の第1四半期決算を3月14日の市場終了後に発表する予定である。

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(画像=Investing.com)

アドビシステムの12月のカンファレンスコールで、シャンタヌ・ナラヤンCEOは2019年の見通しとして米国企業からの強い需要や新興国からの20%の売上成長の見通しを述べていた。第1四半期においては、市場予想では売上高は23%増加し25億5000万ドル、EPSは昨年の1.55ドルから1.62ドルになるとみられている。

アドビは、中核となるクリエイティブソフトウェア事業を強化している一方で、セールスフォース(Salesforce.com) (NYSE:CRM)のようなマーケティングやeコマーステクノロジーなど多角化を加速している。アドビはアクロバット(Acrobat)のようなPDFファイル形式のソフトウェアを開発し普及させたことで有名であるが、最近ではクラウドベースのサブスクリプションビジネスに移行してきている。

同社は、デジタルエクスペリエンス、マーケティング分析、データ管理ソフトウェアなどの分野で25%の成長を予想している。先週の終値は245.74ドルであり、アドビ株は過去1年で18%の上昇である。

3.テンセント

中国最大のテクノロジー株であるテンセント・ホールディングス (OTC:TCEHY)は、今後数週間で売り圧力にさらされると考えられる。

先週金曜日では、中国人民保険集団(PICC)の上海上場株(A株)において中信証券國際有限公司(CITIC)が投資判断を異例の「セル」と格下げし、同社の株は値幅制限の10%安になった。これをきっかけに、中国・香港市場では大幅株安となった。

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(画像=Investing.com)

中国のフェイスブック(NASDAQ: FB)とされるテンセントは、中国市場で新しくライセンスを取得したことなどに後押しされ、昨年の10月以来約50%上昇している。

今週も中国株の売り圧力が続いた場合、テンセントは投資家による信用をテストすることになるだろう。テンセント株は、金曜日1.85%下落し、先週の終値は43.63だった。

ビデオブログ、メッセージアプリ、決済アプリが一つのプラットフォームに融合されており、テンセントは10億以上の中国ユーザーのエコシステムを造り上げている。テンセントのWeChatに加えて、同社はクラウドコンピューティングや、オンライン決済などの領域に事業投資している。同社の2018年第4四半期決算は、3月20日の市場開始前に控えている。(提供:Investing.comより)

著者:ハリス アンワル