3月決算企業の第3四半期決算発表も2月中旬に終了しそれから1カ月半程度が経過しました。そのため2月に入って決算を発表した銘柄でもアナリストによる業績や目標株価の見直しが随分と進んだと思われます。そこで今回は2月12日と13日に決算を発表したTOPIX500採用の3月期決算銘柄を対象に決算後に複数の目標株価の引き上げがみられるもの(足元の株価を上回るもののみ対象)をピックアップしてみました。

投資のヒント
(画像=PIXTA)

そのなかでも目標株価の引き上げが目立ったのが国際石油開発帝石(1605)で、通期の営業利益の見通しは下方修正されたものの第3四半期の営業利益が2割を超す増益となったこともあって決算発表後に4社が目標株価を引き上げています。また、第3四半期の営業利益が小幅な増益となった太平洋セメント(5233)でも決算発表後に3社が目標株価を引き上げています。

決算発表後に2社以上が目標株価を引き上げた銘柄
(画像=マネックス証券)

決算メモ

●しまむら(8227)‐大幅増益予想ながら信頼性低い会社計画‐

しまむらが1日に発表した2019年2月期の決算は売上高が前期比3.4%減の5460億円、営業利益が同40.7%減の255億円と減収減益となりました。売上高は、記念セールや記念催事などで客数を伸ばそうとしたものの、支持を得られず客数と客単価がともに減少し、しまむらの既存店売上高が前年比6.8%減と大きく落ち込んだことで減収となりました。

営業利益は、売上高が伸び悩み過剰在庫を抱えるなか値下げを行った結果、粗利益率が前期比で1.7ポイント低下したことに加え、減収となるなかで経費がコントロールしきれず販管費比率が1.2ポイント上昇したことから大幅な減益となりました。この結果、2期連続で二桁の減益となった営業利益は2017年2月の最高益(488億円)の5割強の水準まで落ち込んでいます。

2020年2月の会社計画は、売上高が前期比3.1%増の5630億円、営業利益が同36.5%増の347億円となっています。過剰在庫がほぼ解消されたうえ、売れ筋の商品を短期サイクルで発注できる体制を整えたことで大幅増益の計画達成は可能というのが会社側の説明です。しかし、過去2年に渡って下方修正を繰り返してきただけに会社計画に対する信頼性は大きく低下しています。

金山敏之(かなやま・としゆき)
マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト

【関連リンク マネックス証券より】
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