カングー ビボップ
▲2010年に発売されたルノー カングー ビボップという3ドア車。買い手を少々選ぶパッケージングではありますが、一部の人には限りなくハマる可能性を秘めているお手頃フランス車です。あまり台数が売られていない車ということで、どことなく「正体不明」な感じもするのが、この車の美点(?)のひとつです

「6つの条件」に当てはまる人はぜひ注目してほしい!

話は「高そうに見えて意外と安い?」というサブタイトルからちょっとズレるかもしれません。が、ある種の人にはぜひオススメしたい1台のフランス車があります。

それは2010年に発売されたルノー カングー ビボップという車です。

この車、「高そうに見える」ということは(たぶん)ないと思われます。しかしなんとも正体不明な希少車であるため、「端からは買値の推測がほぼ不可能(高いんだか安いんだかよくわからない)」というメリット(?)がまずはあります。

それに加えて「もちろんゴキゲンな実用車である」という本質的メリットがあり、さらには「意外と安い」という事実もあるため、ある種の人にぜひオススメしたい次第なのです。

そして「ある種の人」とは、おおむね以下のとおりと考えています。

1. このビジュアルになんとなくグッときた
2. 高速道路とかをかっ飛ばすタイプではない
3. 普段の乗車人数は1名から、最大でも4名
4. 車でも飲食店でも「オープンエア」が好き
5. MT車の運転が苦にならない
6. 車を買う予算は総額100万円台前半ぐらいと考えている

上記の6条件になんとなく当てはまる人は、カングービボップを手に入れると、けっこう幸せになれる可能性が大かもしれません。

独特のサイズ感とセンス良好な内外装が魅力

カングー ビボップ
▲真横からみるとかなり「寸詰まり」な印象を受けるカングー ビボップ。そこが逆に個性なわけですが

ルノー カングー ビボップは、言ってみれば「現行前期型カングーのショート版」です。

5ドア車であるカングーからリアのスライドドアを取っ払い、それと同時に全長とホイールベースをぐぐっと詰めた「3ドアのカングー」が、カングービボップであるといえます。

ボディサイズは全長3870mm x 全幅1830mm x 全高1840mmで、5ドアの現行前期カングーと比べると全長は345mm短く、車重も50kgほど軽い仕上がりになっています。

搭載されるエンジンは1.6Lの直4自然吸気。最高出力105ps/最大トルク15.1kg-mと、数値上はぜんぜん大したことはありません。が、やや小ぶりなこの車を推進させるうえでは十分な働きをしてくれます。

ただしカングーと違ってビボップに組み合わされるトランスミッションは5MTのみですので、もしかしたらここがネックになる人はいるかもしれません。

3タイプが設定されたボディカラーはすべて2トーンタイプで、好みにもよるでしょうが、非常にポップで好印象なカラーリングです。

そして開閉式の「スライディングリアグラスルーフ」と「ワンタッチ開閉テールゲートグラス」をダブルで標準装備しているため、そこを開ければオープンカーさながらの開放感を感じることもできます。

内装のカラーも楽しげな2トーンなのですが、「ポップでありながら落ち着いてもいる」と感じさせるあたりの色使いは「さすがはフランス物!」といったところでしょうか。

そして後席はベンチシートではなく独立型の2座タイプ。どことなく新幹線というか、正確にはフランスのTGV(フランス国鉄の超高速列車)の座席を思わせるデザインと座り心地です(まぁTGVより小ぶりですが)。

希少だが、現在の相場は総額120万~160万円ぐらい

カングー ビボップ
▲ルーフの後ろ1/3が前方にスライドする「スライディングリアグラスルーフ」と、テールゲートのガラスを開閉できる「ワンタッチ開閉テールゲートグラス」。これは開けたままの状態で走行が可能で、高速道路を走っても風の巻き込み量はさほどではない感じです。後部の上方を開け放ってドライブできるリアシートが一番の特等席なのかもしれません

そんなカングー ビボップという車を走らせてみての印象をひと言で言うなら、「いろいろ独特」ということになります。

先ほどの真横からの写真を見ればわかるとおり、車としての縦横比がちょっと変(?)ですので、「高速域でもすっごく安定してる!」みたいなことはありません。そこを目指すのであれば普通のカングーを買った方がいいでしょう。

しかし、常識的な速度で市街地や幹線道路を走る限りは(5MTということもあって)割と活発で楽しい車です。そして高速道路でも90~100km/hぐらいでトコトコ巡航する分にはいい感じです。

そしてそもそも、カングービボップはあまり飛ばす気にならない車です。

「スライディングリアグラスルーフ」と「ワンタッチ開閉テールゲートグラス」は開けたままの状態で走行可能ですので、その半オープン状態にてゆったりと巡航するのがなんとも気持ちいいのです。

できれば大切な人が後席に座り、その人が空を眺めていたならば言うことなしです。ドライバーとしてはどこまでもゆったりと、スムーズな安全運転を続けたくなります。

独立式の後部座席は取り外し可能で、そうすれば後部はフルフラット状態になります。が、シートはけっこう重く、保管場所を探すのもちょっと大変ですので、基本は「付けっぱなし」がいいのではないかと思う次第です。

そうなると荷室は(全長が短い車ゆえ)ちょっと狭いのですが、1~2名乗車であれば荷物は後席にも置けます。決して万人向けの作りではないのですが、「それはそれでウチの場合はフィットするかな?」というご家族やカップルもいらっしゃることでしょう。

そんなこんなのカングービボップは新車時234万8000円+諸費用でしたが、現在の中古車相場は総額120万~160万円ぐらい。ごく一部で地味に人気があるため、大きく下がってはいません。しかし「まあまあお手頃」だとは言えるはずです。

繰り返しになりますが、万人向けの車ではありあません。そしてそもそも、中古車の流通量もかなり少なめです。

でも、これがハマる人は少数ながら確実にいるはず。もしもあなたがその「ハマる人」であるならば……、ここらで1台いかがでしょうか?

カングー ビボップ
▲カングー ビボップの車内はおおむねこのような感じ。独立式のリアシートはなんとなく新幹線っぽいというか、フランスの「TGV」のような雰囲気をもっています(写真は左ハンドルの本国仕様)
カングー ビボップ
▲リアシートを取り外せばこのようなフルフラットに。ただ、「外したシートはどこに置いておくんだ?」という問題はあるかもしれませんが

text/伊達軍曹
photo/ルノー

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▼検索条件
ルノー カングービボップ×総額160万円以下

(提供:カーセンサー