• 2019年第2四半期(4-6月期)決算:8月14日寄付き前
  • 予想売上高:135億1000万ドル
  • 予想EPS:0.32ドル

2018年のテンセント・ホールディングス(OTC:TCEHY)は、不振にあえいでいた。

昨年、同社のゲーム事業は中国政府の規制を受けた。また、マクロ環境と企業支出の悪化を受けて、広告事業も不振に陥った。同社の回復をサポートする要因は依然として何もないままである。

米中貿易戦争により中国の経済成長は鈍化し、多国籍企業は支出を控えている。

Tencent Weekly 2016-2019
(画像=investing.com)

ゲーム事業の復活

2019年第1四半期(1-3月期)決算において、テンセントは2004年の上場以来で最も軟調な売上高の増加を見せた。しかし、全く希望がないわけではない。同社売上高の40%以上を占めるゲーム事業は回復基調にある。同社の株価は昨年、中国当局からのゲームの承認が9か月遅れたことを受けて大きく落ち込んだ。しかし、今年は中国当局がゲームの承認を再開しており、再びゲーム事業が同社の利益を下支えすると見られている。モバイルゲームの「Game for Peace」は5月の配信開始後、中国において爆発的な人気を博している。このゲームは「Peacekeeper Elite」として知られており、「PlayerUnknown’s Battlegrounds(PUBG)」の改良版である。中国当局からの承認を得るために、同社は暴力的な描写を削り、愛国的な要素を加えた。配信開始から60日以内で、「Game for Peace」は2億4100万ドルの売上を達成した。ゲーム事業の復活は、テンセントがWeChatから更に収益を生むことが出来ることを意味する。ウィーチャットを通じて、ゲーム内アイテムの販売や広告を約10億人の潜在的な顧客に打つことができる。同社はゲーム事業に加えて、ウィーチャットペイやクラウドコンピューティング、ウェルスマネジメントなど、事業の多角化に取り組んでいる。第1四半期決算では、決済サービスやクラウド・サービスなどを含む「フィンテックおよびビジネス・サービス」の売上高は44%増となった。

総括

現在、テンセントは良い投資先ではないように思える。同株は年初来でたったの9%高であり、他のテック銘柄や株式市場全体をアンダーパフォームしている。

しかし、我々の考えではテンセントは可能性を秘めた銘柄である。米中貿易摩擦による逆風はあるものの、長期的には同社株価は上昇するだろう。

テンセントのゲーム事業は強力であり、収益基盤は拡大していくだろう。同社のビジネスモデルはそう簡単には揺らがないと考えられる。(提供:Investing.comより)

著者: ハリス アンワル