人生100年時代とは言うものの、40代で未経験、ましてやIT企業への転職などできるのだろうか。AIなどIT技術の進化が加速してシステムの重要性が増す中、40代が今後のキャリアを考えてIT企業へ転職するための戦略について紹介しよう。

40代未経験からIT企業への転職は狭き門

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(画像=nd3000/Shutterstock.com)

企業が転職者を採用する場合、ゼロからの育成を前提とした新卒と違い、教育コストがなるべくかからない、即戦力となる経験者を求める傾向がある

IT系はシステムに関する専門知識が必要だが、開発言語一つとっても数え切れないほど存在し、現在も増え続けている。新しいことを常に追いかけて対応することが求められるため、柔軟さが何よりも重要と言えるだろう。

40代になると、若者に比べて情報をキャッチアップするスピードがどうしても落ちてくる。それでなくとも多くの企業が即戦力を重視する中、未経験でスピード感や柔軟性が劣るとなれば、IT企業への転職は狭き門と言わざるを得ない。

IT企業の募集職種は主に3つ——エンジニア系、マネジメント系、営業・コンサル系

IT企業の募集職種には様々なものがあるが、以下の3つに大別できる。

システム開発や機器の構築を行うエンジニア系

システム開発を行う職種には、システムエンジニア(SE)やプログラマー(PG)がある。

SEは要件定義・設計(基本設計・詳細設計)・実装・テスト・保守などを担当し、PGはSEの設計に従って、プログラムの作成や単体テストなどを行う。同じSEでも、アプリケーションエンジニア・制御系エンジニア・サーバーサイドエンジニア・フロントエンドエンジニアなど、役割によってさらに細かく職種が分かれている。

また、インフラエンジニア・サーバーエンジニア・ネットワークエンジニア・データベースエンジニア・カスタマーエンジニアなど、システムが動作するための機器や環境の構築、保守などに特化した職種もある。

これらの職種は必ずしも明確に区別されているわけではなく、企業によっては1人のエンジニアが複数の役割を担うこともある。

システム開発チームをまとめるマネジメント系

プロジェクト全体の管理を行う職種として、プロジェクトマネージャーがある。SEの上級職という側面もあるが、エンジニア経験のないプロジェクトマネージャーも珍しくない。

ITに関する販売や提案を行う営業・コンサルタント系

ITサービスの提案や販売をする営業や、企業課題を解決するITコンサルタント以外に、ビッグデータやAIによってデータを分析し、新たな価値を提供するデータサイエンティストも今後ニーズが増えてくるだろう。

40代未経験でもIT転職の成功率を上げる3つの戦略

年齢が高くなるほど、未経験のハンデが大きくなる。ハンデを少しでも小さくし、転職の成功率を上げるためには、以下の3つの戦略が考えられる。

自分の使い方をプレゼンする

40代まで築き上げたスキルは、未経験の業界でも必ず役立つことがある。今までのスキルをIT企業でどう応用できるのかイメージし、考え抜くことが大切だ。

面接の際はIT企業に営業をかけるつもりで、相手が自分を採用すると得することや、自分の使い方を提案することができれば、転職の成功率を上げることができるだろう。

IT業界は未経験でも、40代なら社会人としてはベテランだ。自ら提案することで面接というよりも交渉の場にし、成功につなげよう。

IT系資格の取得で知識保有を裏付ける

IT系の資格としては、国家資格である情報処理技術者試験があり、この資格がIT企業への転職条件となっている場合もある。

情報処理技術者試験には、データベーススペシャリストやネットワークスペシャリストなど、専門分野ごとに複数の試験がある。

エンジニア以外の職種を目指す人でも、プロジェクトマネージャーやITストラテジストなどの資格は欲しいところだ。

どれもハイレベルなため、全社会人を対象としているITパスポートや、エンジニアとしての基本的な知識や技能を問う基本情報技術者試験から段階的に取得を目指すのもいいだろう。

エンジニアを狙うならオンラインスクールを活用する

未経験でエンジニアを目指す場合、言語ごとにプログラミングを学習できるオンラインスクールを活用して、スキル向上に役立てることができる。

リアルなスクールほど費用もかからず、好きな時間に学習ができることから、忙しい40代でも低予算で効率的な習得が期待できる。

「これだけで実務は大丈夫」とはとても言えないが、知っているか知らないかでは大きな違いがある。できるだけ多くの技術を学習しておいて損はない。

IT転職の前に40代からのライフプランを考慮する

40代からの転職は家族にも影響があるため、自分の希望だけでなく子供の将来や親のことなど、今後のライフプランも併せて考える必要がある。

家庭の事情によっては、希望どおりにならないこともあるだろう。状況によっては、IT企業以外への転職も考えたほうがいいかもしれない。例えば、社内のIT開発や運用・保守を行う社内SE、AIを扱えるAI人材など、IT企業ではない会社でもIT系の人材を必要としている。

納得のいくキャリアを作るためにも周囲と相談し、柔軟な発想で転職を成功させてほしい。

文・渡邊全美(ITコンサルタント・経営者)/MONEY TIMES

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