(本記事は、サチン・チョードリー氏の著書『「運がいい人」になるための小さな習慣 世界の成功者が実践するたった1分のルール』=アスコム出版、2019年6月3日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
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ホテルのラウンジでミーティングをする
どこにお金をかけるかというのは、人それぞれです。
高い家賃を払っていい家に住む代わりに、食事はいつも質素でお酒も飲まない。
高級な外車に乗る代わりに、洋服はファストファッションで我慢する。
かぎられた収入をどう振り分けるか。あなたも趣味や嗜好によって、お金の使い方を日頃から考えていることでしょう。つまり消費の優先順位の問題です。
じつは、こうした消費の傾向にも、成功する人とそうでない人との差が表れます。
仕事のミーティングを行う際、どんな場所を選ぶかというのもそのひとつ。成功する人は、街のコーヒーショップではなく、ホテルのラウンジを選びます。
当然、かかるコストは段違いで、街のコーヒーショップなら1杯250円程度の店もあるのに対し、ホテルのラウンジでは1000円以上するのが当たり前。豆の品種や品質に差があるとしても、どちらも同じコーヒーなのですから、4倍も5倍もお金を費やすことに抵抗感を持つ人もいるでしょう。
しかしこのお金は、「コーヒーを飲む」という体験を買っているのではなく、心地よくミーティングができる「環境」を買っているのです。
お金に好かれ、お金が集まってくる人というのは、総じてリッチな体験を買うことに出費を惜しみません。価値があると判断したことには、たとえ高額であっても積極的にお金を使うのが、成功者の消費パターンなのです。
得られる成果の費用対効果で考える
もう少しグレードを上げて、飛行機でたとえてみましょう。
私は海外に行く長時間のフライトでは、必ずビジネスクラスを利用しています。
当然、エコノミークラスと比べれば足元もゆったり。シートの質がいいので腰が痛くなることもありませんし、寝心地も良好。食事やお酒も上質なものが提供され、十数時間におよぶ移動時間をとても快適に過ごすことができます。
もちろん、エアチケット代はエコノミークラスの比ではありません。その分を旅先の食事やホテル代に使ったほうがいいという考え方もあるでしょう。
しかし私は、快適性だけにお金を払っているわけではありません。
移動における疲労が軽減されれば、到着してすぐに動き始めることができ、現地滞在中の時間を有効に使うことができます。
もしエコノミークラスを利用していたら、移動疲れでぐったり。まずはチェックインしてホテルで一休みしよう、なんてことになりかねません。
つまり私がビジネスクラスにお金を払うのは、移動の心地よさだけでなく、現地での〝可処分時間〟を買っているに等しいわけです。
先ほどのホテルのラウンジの例も同じです。
高いお金を出して良質の環境を買うことで、いつもより柔軟な発想が生まれたり、思いがけない閃 ひらめきが降りてくるかもしれません。
もし、それがのちに成功するビジネスにつながったとしたら、ほんの1000円の違いで絶大な費用対効果が得られたことになりますよね。
成功している人たちの行動パターンには、こうした「成功するための環境づくり」に通じているものが少なくありません。
私が「成功したいなら、成功している人たちと積極的に付き合うべき」と常々話しているのも、そうしたセオリーをぜひ学んでほしいからなのです。
この習慣のまとめ
成功者たちは成功への環境づくりにお金を惜しまない
自分が憧れ、目指す人物をランチに誘う
憧れというのは大切な情熱の源です。
「あの人みたいになりたい!」そう思える人物が身近にいるなら、これはひとつのチャンスです。 ぜひ、積極的に交流を試みるようにしてください。
もしあなたが、会社での営業成績が振るわず悩んでいるのであれば、成績トップの同僚や先輩をランチに誘ってみるといいでしょう。
あまり親しくないからと及び腰では、現状は何も変わりません。断られてもともとなのですから、勇気を出して声をかけてみるべきです。
また、いい企画が出せずに苦しんでいるなら、ヒット作品を多数送り出したプロデューサーやディレクターに、SNSなどでアタックしてみるのもいいでしょう。駄目もとでお願いすることにコストはかかりません。
万が一にも「いいですよ、お会いしましょう」と言ってもらえるようなことがあったら、とてつもないリターンが得られます。
もちろん仕事だけではありません。
語学の上達を目指すなら、やはり語学に長けた先輩に声をかけてみましょう。どのような勉強法が最も効率的であったか、実体験にもとづいた具体的なアドバイスを聞くことができるはずです。
プライベートを充実させたいのであれば趣味を謳歌している友人と、結婚したいのであれば既婚者の友人たちと付き合うようにするのです。
自分が目標に掲げることをすでに叶えている人なのですから、自分には思いもよらなかった視点やノウハウを、たくさん持っているに違いありません。きっと有意義なアドバイスがもらえるでしょう。
ところがおかしなことに、日本人の多くは自分と同じレベルの人とばかりつながっています。
人は背伸びをしただけ成長するというのが私の持論です。だから、あらゆる面で自分よりも高いレベルにいる人に囲まれていれば、自分もいつかそのレベルに到達できるはずです。
大切なのは、自分と同じレベルのコミュニティから一歩踏み出す勇気。
求める分野ですでに実績を持っている人の話や体験には、あなたにとって多くの知見が含まれています。
ネガティブな人には近寄らない
逆に、自分にマイナスな影響をもたらす人を見極め、なるべく関わらないようにすることも必要です。
運の流れというのは、意識の持ち方によっていいほうにも悪いほうにも変わります。物事を悪いほうにばかり考えていると、運気はどんどん下がってしまいます。
みなさんのまわりにも、ネガティブな想像を巡らせて、余計な心配ばかりしている人はいませんか?
残念ながらそういう人にいい話が舞い込むことはありませんし、次第に周囲から人が去っていってしまうものです。その人物のそばにいることで、あなたまで同類に見られてしまっては元も子もありません。
ネガティブな人には近寄らないことが、運気を下げない秘訣。
とりわけ愚痴っぽい人は要注意で、仕事の愚痴、家庭の愚痴、世の中への愚痴ばかり語る人との交流は、できるだけシャットアウトしてください。
これは第1章で述べた「ネガティブの断捨離」に通ずる考え方といえるでしょう。
それよりも、あなたの友人知人のなかから、「この人は前向きな性格だ」と思える人をリストアップしてみてください。思い浮かべるだけでパワーをもらえるような人が、周りにも何人かいるはずです。
そして、1カ月だけでいいので、すべてのオフや余暇はその人たちとだけお付き合いするように心がけるのです。
きっとその1カ月で、あなたの心や精神状態も大きくリフレッシュされるはずです。同時に、人がいかに周囲との交流から影響を受けているか、身をもって知ることになるでしょう。
いい運を保つ環境は、自分で整えなければなりません。
この習慣のまとめ
目指す世界との交流がそのステージへ自分を引き上げてくれる
自分の強みを誰かに聞く
成功している人たちとの交流と並行して、ぜひ実践してほしいことがあります。それは、周囲の誰かにあなた自身の「強み」を聞いてみることです。
どれほど頭のいい人でも、自分自身を100%客観視することは不可能です。もし、「自分の長所はここだ」と思っていても、他人がそう思っていなければ、それはただの勘違いということになります。
自分の手持ちの武器を自覚することは重要で、せっかく備えている強みに気づいていなければ、まさしく宝の持ち腐れです。
では、自分の武器とは何かというと、それはいつも近くであなたを見ている第三者が教えてくれるのです。
たとえば、私がこうして本を出版するようになったのも、ある尊敬する先輩経営者の助言がきっかけでした。
「君の場合、こうして成功したプロセスそのものにじつは大きな価値がある。とくにビジネスパーソンにとっては、たくさんのヒントが詰まっているはずだから、ぜひコンテンツ化したほうがいい」
そう言ってもらえるまで、まさかインド人である自分が日本で本を出すことになるとは夢にも思っていませんでした。
また、講演やセミナーを定期的に催すようになったのは、友人の助言でした。
「あなたはおしゃべりが得意だから、スピーキングビジネスに向いているんじゃない?」
いまとなっては誰にも信じてもらえませんが、私はもともと人前で話すことが得意ではないと思い込んでいたので、これも思いもよらないアイデアでした。
実際、こうして出版もセミナーも軌道に乗っていることを思えば、彼らの意見がいかに的確であったかがわかります。
つまり、他人から見える自分の姿こそが、本当の自分であるということが往々にしてあるわけです。
私だって自分のことをいまでもちゃんと理解しきれずにいます。だからこそ、いつでも周囲からのアドバイスを大切にしているのです。
そのうち私が「もう自分のことはすべて把握しました」と言い出すようなことがあったなら、そのときはもう、私の本を読む必要はありません。
あなたをよく知る第三者を大切にする
ここで大切なのは、「あなたから見て、私の強みはどこだと思いますか?」と、本音で聞ける人を、常に身近に持っておくことです。
人は環境や経験によって絶えず変化、成長しているもの。 年前の私の武器と、現在の私の武器は、少し質や内容が変わってきているかもしれません。
そこで、久しぶりにやってみました。
複数のビジネスを一緒に行っているパートナーや、これまで何冊も著作を出した出版社の担当編集者に、私がなぜこうしてビジネスで成功することができたのか、私の武器とは何か、忌憚のない意見を求めたのです。
すると面白いことに、彼らはそろって同じポイントを指摘してくれました。
「サチンさんはとにかく行動が早いんですよ。何か閃いたら、その場で関係者にすぐ電話をしますよね」
「サチンさんの最大の武器は熱量ですよ。〝これを実現したい!〟という気持ちが前面に出ているから、いろいろな相手を巻き込むことができるんです」
「一緒に仕事をしていると、バランス感覚のよさを感じます。自分とパートナーとお客さん、三方よしの構図をつくるのがうまいですよね」
彼らはまるで口裏を合わせたかのように、この3点を挙げてくれました。
ということはつまり、スピード、情熱、バランス感覚の3つこそが私の武器なのでしょう。じつに勉強になります。
こんな私でも、「ちょっと強引すぎるかも?」とか、「さすがに時期尚早だっただろうか」などと、自分の行動に迷いが生じることがあります。
しかし、このヒアリングによって、スピードや情熱が自分の武器であることが実感できました。しかも、その行動には他人から見てバランスが担保されているのだから安心です。
おかげで私はこれからも、自信を持って信じた方向に邁進できるでしょう。
あなたもぜひ、近い関係者に自分の強みを聞いてみてください。
この習慣のまとめ
自分を一番知らないのは自分近しい人に聞いた自分の強みが武器となる
SNSを使って相手の感情を知り効果的なタイミングでメッセージ
この章の最後に、SNSを使って運気のDCAPを整える方法をお伝えしましょう。
ツイッターやフェイスブック、インスタグラムなどに否定的な人も少なくありませんが、これらはお金をかけずにセルフアピールに使える便利なツールです。
多くの人がすでに活用しているこれらのツールをやみくもに否定することは、時代の流れを否定するのと同義であり、運を遠ざけてしまうので要注意です。
SNSの最大の利点は、協力者をどんどん増やしていけることです。
一度顔を合わせた人には、積極的に友達申請をすることを私はおすすめします。友達リストを断捨離する一方で、新たに出会った人とは、ひとまず、いつでもスムーズに連絡できるルートを押さえておくことに意味があります。
SNSは、エモーションリーディングに効果的
これだけインターネットが発展しているのですから、SNSによるネットワークは十分な武器になります。とくにフェイスブックの友達リストは、あなたにとっての協力者予備軍。まさにインターネットのなかの「成功環境」です。
そこで次に必要なのは、その人たちにどうアプローチしていくか、でしょう。
フェイスブックやツイッターなどの素晴らしい点は、相手の最新の状況やいまの気分が把握できること。
気になる相手がハッピーな投稿をしていたら、すかさずメッセージや電話をかけて、距離を縮めてしまいましょう。逆に、明らかに多忙な時期であることが推測できるなら、いまは「待ち」のタイミングです。
あなたも、妻や夫、あるいは上司や先輩の顔色を見て「いまは機嫌が悪そうだからやめておこう」と思ったことがあるでしょう。
しかしSNSを使えば、顔の見えない相手の感情を読み取ること、つまりエモーションリーディングができるのです。
私はつい最近も、さほど深い関係を築けていなかった経営者が、自社のファンドをつくって成功しているという投稿を見て、すぐに電話をかけました。
「おめでとうございます。私も自分のことのように嬉しいです。今度ぜひお祝いさせてください」
そう伝えると、相手も大喜びしてくれました。のちにあらためて会食が実現し、その社長とはいまも有意義なパートナーシップを結んでいます。
彼はいまでも事あるごとにこう言います。
「あのとき、サチンさんが真っ先にお祝いの電話をくれたんだよね」
たった一本の電話が、絶大な効果を生んだことがよくわかるエピソードといえるでしょう。
なお、最近はセレブと呼ばれる人たちの日常が、インスタグラムなどで垣間見られるようになりました。ラグジュアリーな場所で仲間たちと楽しそうにパーティーをしている1カットを、みなさんも目にしたことがあるでしょう。
そんな彼らの様子を見て、「お金持ちは気楽でいいな」というやっかみで済ませてはいけません。一見すると、単なるリア充アピールにしか見えないパーティーの風景も、じつはそこには、彼らがいつでも楽しい気持ちでいられる仲間を集め、ポジティブな環境をつくる意識を持っていることが見て取れます。
そうした環境づくりに徹しているからこそ、楽しい仲間、成功している仲間が次々に集まってくるスパイラルが生まれる。彼らはまさにそれを実演して見せてくれているのです。
この習慣のまとめ
SNSは最高の成功環境友達リストは自分の「協力者予備軍」
サチン・チョードリー
法人/個人向けの経営コンサルティング、講演・セミナー事業を行うAVS株式会社代表取締役会長。鳥取県の地域活性化をミッションとする株式会社ITTR代表取締役社長など、複数の会社を経営。上場企業を含む複数の企業コンサルタント、アドバイザーとして経営に参画。幼少時に外交官の父親に連れられて初来日、バブル期の東京で過ごす。帰国後も当時のきらびやかな印象が忘れられず、1996年に再来日。いまでは母国インドはもちろん、日本、アジアでも数多くの事業を成功に導く実業家。