大手損害保険各社が自動車保険の保険料の値上げを発表した。値上げ幅は約3%で消費税増税や修理費の上昇に伴う措置だという。値上げは家計に悪影響であると同時に、自動車保険の見直しのチャンスでもあるのだ。

自動車保険の保険料に消費税はかからないが……

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(画像=everydayplus/Shutterstock.com)

損害保険ジャパン日本興亜、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の大手3社は、2020年1月に自動車保険の保険料を平均3%値上げし、東京海上日動火災保険も3%ほどの値上げで調整中とのことだ。(※2019年8月時点)

保険料の値上げの理由は3つある。

2019年10月からの消費増税

2019年10月の消費増税で、8%だった税率が10%に引き上げられること。自動車保険の保険料に消費税はそもそもかからないが、損保会社が負担する修理費や部品代は消費税が増税されると高くつくので、その分を保険料に転嫁することでカバーしようという流れだ。

高額な部品が増えている

最近増えつつある自動ブレーキの運転支援システムなどは単価が高く、修理費を押し上げる原因となっている。部品のモジュール化により、限られた部分の故障でも関連する部品すべての交換が必要になったことも修理費がかさむ原因だ。

民法の改正

人身事故の保険金額を算出する際に使用される法定利率が変更され、賠償金額が増える見通しとなっている。自動車保険会社としては支払う保険料が増え利益を圧迫するため、保険料に反映する判断に至ったというわけだ。

自動車保険料の値上げによる家計への影響

大手損害保険会社によると自家用自動車(普通自動車3ナンバー)の現在の平均的な自動車保険料は年間7万5,000円だそうだ。そのため3%の値上げ後は7万7,250円となる。年間2,250円の違いだが、事故を起こしたわけではないのに保険料がアップするのには納得できない人もいるだろう。

小型自動車(5ナンバー)では年間6万円ほどで、軽自動車は年間約5万円が平均的な保険料となっている。車種や運転者の属性によって保険料は変わるため、平均ではなく自身の保険料を確認することが大事だ。以下に年齢と車種、運転者ごとの例を挙げて解説しよう。

保険料が3%値上げになった場合(三井ダイレクト損保)

・54歳男性、トヨタアルファード、家族全員が運転
保険料年額……(値上げ前)7万9,000円(値上げ後)8万1,370円

・45歳男性、ニッサンセレナ、夫婦ともに運転
保険料年額……(値上げ前)4万8,350円(値上げ後)4万9,800円

・32歳男性、トヨタプリウス、夫婦ともに運転
保険料年額……(値上げ前)3万1,860円(値上げ後)3万2,820円

当然だが現在の保険料が高い契約者ほど負担が増える。また、年収が高い人はグレードの高い車に乗りそれに応じた手厚い自動車保険を付ける傾向があるため、値上げを機に契約内容を見直してみてもいいだろう。

自動車保険の保険料が高くなる5つの理由

保険料は年齢や車種、使用目的やドライバーの範囲、年間走行距離や使用目的などによって算出されているため、価格交渉をして安くしてもらえるものではない。そのため保険料が高くなる理由を自身で分析する必要がある。

自動車保険の保険料が高くなる理由には以下の5つが挙げられる。

1)ノンフリート等級が低い
2)運転者の年齢が若い
3)型式別料率クラスが高い
4)代理店型の自動車保険と契約している
5)不必要な補償を付けている

このうち⑴⑵についてはすぐに自身でどうにかできるものではない。

⑶は車種や型式によって保険料のランクが変わり、過去のデータから保険金の支払いが多いものについては料率クラスが高くなり保険料が高めに設定される。

損害保険料率算出機構のホームページではメーカーと社名で該当車種の料率クラスを検索できる。ただし損害保険会社が使用しているものとは異なる場合があるのであくまでの参考にとどめたい。

⑷については自動車ディーラーでは損害保険会社の代理店を兼ねている場合が多く、自動車保険に加入することで車の下取り価格を割り増しするなどの営業トークも珍しくない。

自動車は高い買い物だけに自動車保険は「ついで」のように契約しがちだが、長期に保険料を支払うことを考えると車同様に検討が必要である。

代理店型の自動車保険はダイレクト型や通販型と呼ばれる自動車保険に比べて保険料が高い。代理店型は担当者と面談で相談できるなどのメリットはあるが、コールセンターで事足りると考えるのであれば不要だろう。

⑸について、自動車保険でまず手を付けたいのが不必要な補償をはずすことだ。本人しか運転しないのに運転者限定を付けていないといった見落としはないだろうか。

また、他の保険との重複も確認したい。家族で車を複数台所有している場合は、人身傷害の一般タイプの補償はどれか1つの自動車保険に入っていればカバーできる。

車両保険をかけている場合には、さほど高い車ではない、もしくは時価額が下がっている車に対して車ほんとうに両保険が必要かどうかも見直してみよう。

自動車保険の各種割引制度を活用

2020年から自動車保険の保険料が3%値上げとなるのはほぼ確実とみられる。月額にすると少額だが長期となると結構な額になるので、この際、保険内容の見直しをしてみてはどうだろうか。

また、インターネット割引、証券ペーパーレス割引、本人・配偶者限定割引、ゴールド免許割引、新車割引、ASV割引、無事故割引など各種割引制度もうまく活用していきたい。

文・篠田わかな(フリーライター、ファイナンシャル・プランナー)/MONEY TIMES

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