共同で投資を行う「コインベストメント(co-investment )」は、投資の世界で長年にわたり行われてきた手法だが、コラボレーションやコワーキングが広範囲な領域で活発化している近年、そのオプションが増えている。

クラウドファンディングを「次世代コインベストメント」と見なす潮流もあり、特にエクイティ・クラウドファンディングは、一般の投資家がエンジェル投資家やベンチャー・キャピタリストと共同投資できるチャンスとなっている。

伝統的なコインベストメントとは?

shutterstock.com
(画像=fizkes / shutterstock.com, ZUU online)

コインベストメントは本来、個人投資家を含む複数の投資家がファンドを通し、複数の事業に投資することを意味する。例えば、2つ以上のファンドグループが共同で、プライベート・エクイティ(未公開株)や不動産への投資を行うといったケースだ。

リスクとコストを分散し、投資の規模や機会を拡大できる点が、コインベストメントの最大の利点である。 近年は、特にプライベート・エクイティ市場へのアクセスを求める投資家間で、コインベストメントが加速している。

投資ファンドにおける、リミテッド・パートナー(LP)とゼネラル・パートナー(GP)によるコインベストメントが一例だ。日本語で「有限責任組合」や「合資会社」と訳されるLPには、投資する資本はあるが、投資の機会を特定するリソースが限定されている場合がある。一方、ファンドの運営者であるGPには、資産投資および管理のノウハウはあるものの、十分な投資資本を有しない場合がある。

そこで、お互いが必要な資本やノウハウを提携しあうことで、双方に利益が生まれるという仕組みだ。 また、同じ目的をもつ投資家のネットワークを構築し、潜在的な投資機会に関する情報などを交換する機会にもなる。

ファミリー・オフィスのコインベストメント対象、トップは不動産

欧米で急増中のファミリー・オフィスの間でも、プライベート・エクイティへのコインベストメントに注目が集まっている。

ファミリー・オフィスとは、超富裕層(3000万ドル以上の投資可能な資産を保有している層)にあたる投資家一族が富を未来の世代へ継承する目的で、資産運用を行うための民間資産管理顧問企業だ。ポンドの空売りで「イングランド銀行を潰した男」の異名をとった投資家ジョージ・ソロス氏や、Amazon創設者であり現在CEOのジェフ・ベゾス氏など、多数の著名人がファミリー・オフィスを設立している。