ウォール街では今、米シェアオフィス大手のウィーワークが話題となっている。IPOブームに沸く米国でユニコーン企業の一つとしてもてはやされた同社が大混乱に陥っているためだ。企業統治や業績回復への疑念を払しょく出来ず、9月中と見られていたIPOは延期、さらに奇行が伝えられていたアダム・ニューマンCEO(最高経営責任者)は辞任する事態となっている。

今回は、渦中のウィーワークの話題をお届けしたい。

企業統治への不信、IPO延期、CEOは事実上の更迭?

ウィーワーク,上場
(画像=shutterstock, ZUU online)

9月16日、ウィーワークの親会社ウィーカンパニーは9月中と見られていたIPOを少なくとも10月以降に延期すると発表した。同社はわずか3日前(9月13日)に上場先はナスダック、銘柄コードは「WE」になると発表したばかりであった。16日の発表時点でウォール街の市場関係者からは年内のIPOに望みをつなぐ声も聞かれたが、翌週24日に事態はさらに悪化する。前述の通り、共同創業者の1人でCEOのアダム・ニューマン氏の辞任が発表されたのだ。ニューマン氏は会長職にとどまるものの、経営執行権はなく、ウォール街では「事実上の更迭」(アナリスト)との声も聞かれる。

同社は8月14日にSEC(米証券取引委員会)にIPOを申請したが、提出した目論見書で企業統治やビジネスモデル、将来の黒字転換の見込みを巡って懐疑的な見方が広がり、一気に雲行きが怪しくなった。たとえばニューマン氏が、自身の所有する不動産を会社にリースバックしていることや、保有株を担保に多額の借り入れをしていたことなどが明るみとなり、企業統治への懸念が強まった。

さらにニューマン氏が株式売却などを通じて7億ドル(約750億円)以上を手に入れていたことが、関係者らの話で明らかとなった。目論見書では売却に一切触れておらず、投資家の猜疑心が一気に膨らんだのである。

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