生活雑貨店大手の「無印良品」を展開する良品計画は、このほど2020年2月期第2四半期の決算を発表した。第1~2半期の累計で利益が3割近く減少したが、無印良品そのものの販売力や商品力は低下しているのだろうか。決算内容から同社の現状を探る。

純利益は前年同期比26.7%減の132億円に

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(画像=Hendrick W/Shutterstock.com)

良品計画の2020年2月期第2四半期の連結業績(2019年3~8月)によると営業収益は前年同期比7.5%増の2,164億5,100万円、営業利益は同12.6%減の205億9,600万円。経常利益は同16.1%減の197億3,500万円で純利益は同26.7%減の132億7,000万円と増収減益になった。

セグメントごとの業績として、「国内事業」における営業収益は1,328億4,700万円(前年同期比6.6%増)、営業利益は132億9,600万円(同8.0%減)とこちらも増収減益という形だ。

海外事業では「東アジア事業」の利益が同5.6%減の86億7,600万円だった。「欧米事業」の損失は前年同期より倍以上となる18億5,800万円。「西南アジア・オセアニア事業」の損失は前年同期より半分以下に縮小し4,500万円となっている。

ちなみに全セグメント合計の2020年2月期通期連結業績予測(2019年3月~2020年2月)は下方修正された。営業収益は前期比11.2%増の4,554億5,100万円、営業利益は同1.2%増の452億9,600万円、経常利益は同2.9%減の445億3,500万円。純利益に関しては同12.9%減の294億7,000万円という数字を掲げた。

売上は好調、10期連続の増収という結果

純利益が前年同期比で26.7%減となった良品計画の最新決算。上期において減益となるのは9期ぶりのことだ。良品計画は、前年同期に有価証券売却による特別利益を計上しており、その反動が出た格好だが、物流コストや人件費のコスト増などが影響していることも見過ごせない。ただ売上自体は伸びており、2019年度上期は計画に対しては未達だったものの、10期連続で増収となる結果を残している。

実際に「前年同期比7.5%増」という数字を下支えしたのは、国内既存店における好調な売れ行きだ。国内事業では、衣服部門における紳士ウェアと婦人ウェアがともに好調に推移したほか、生活雑貨では敷パッドやタオルなどが売上をけん引した形となった。食品部門では以前から人気の「カレーシリーズ」が相変わらずの好調ぶりで、新たに開発・投入した冷凍食品や「発酵ぬかどこ」なども話題になった。

国内事業の店舗数は前期末から16店舗増えて474店舗。出店経費がかさんだことにより、セグメント利益自体は減益となったものの、良品計画の商品力と販売力は健在な印象で、今後の国内業績には大きく期待したいところだ。

物流部門の効率化などで経費抑制へ

良品計画の営業収益は右肩上がりの状態が続いており、経常利益と純利益もこれまでは同じく増加傾向にある。確固たるブランドを築いていることで売上が安定的に伸びているほか、食品部門などにおける挑戦が新たなファン獲得にも寄与しているといえよう。

今後は物流部門の効率化などで経費を抑制し利益をさらに増やすことにも努める。具体的には運営人員の適正化や夜間作業の見直しなどに取り組む予定だ。

海外事業では苦戦を強いられている国もある。例えば今期大きく損失を増やした北米だ。良品計画は北米事業で経営再建に着手しており、物流の正常化や店舗オペレーションの改善の進捗が今後も重要になる。海外事業はそれぞれの国・地域できめ細やかな事業戦略の策定が不可欠だ。

日本本社側からも丁寧な目配せが必要になってくるだろう。良品計画の第3四半期決算では、特に海外事業の業績推移にも注目したいところだ。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)/MONEY TIMES

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