家族がいる人は、万が一のときのために生命保険へ加入している人が多いのではないでしょうか。必要な保障額や保障内容は、その時点の家族構成や現状加入している保険などによって変わります。「生命保険は一度契約すれば一生変更しなくてもよい」という性質の商品ではありません。なぜならさまざまなライフイベントを経て世帯の必要保障額は変動していくことが一般的だからです。

そのため定期的に生命保険などの見直しを行い、ライフイベントごとに最適な必要保障額の確認ができれば保険料の節約になるでしょう。ここでは保険の見直しする際に検討しておきたい「マンション経営」について解説します。

生命保険の種類

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(写真=fizkes/Shutterstock.com)

保険は大きく分けて「人の生死にかかる生命保険」「自動車や家など物にかかる損害保険」「医療や介護などの第3分野の保険」の3種類があります。このうち生命保険はさらに以下の4つに細分化可能です。

・終身保険
・定期保険
・生存保険
・特殊な保険

終身保険

保障が一生涯続くタイプの保険で保険料の払い込みは「一括」「定期」「一生涯」などさまざまです。解約しない限り基本的に必ず保険金が支払われるので貯蓄性がある点が人気です。その代わり亡くなった場合の保障額は、それほど大きくはありません。生命保険の基盤として加入することが多い保険といえます。

定期保険

保障は契約時に定めた期間のみに行われます。例えば加入者が35~54歳までの契約だとすると55歳の誕生日以降に亡くなっても保険金は支払われません。いわゆる掛け捨て保険になるため、保険料は終身保険よりも低くなるのが特徴です。一括で給付されるタイプのほか、毎月20万円など定期的に保険金が支払われる収入保障保険もあります。(収入保障保険は一括で受け取ることも可能)

生存保険

終身保険や定期保険など亡くなったときに支払われるタイプは死亡保険と呼ばれますが一定の時点で生きている場合に支払われるタイプが生存保険です。一般的に生存保険として知られているものとして学資保険や個人年金保険などがあります。死亡保障と組み合わせた生死混合保険として活用するのが一般的です。

特殊な保険

限られた条件下で加入できる特殊な保険もあります。最たる例は住宅ローンにつける団体信用生命保険です。ローンの契約者が亡くなったり高度障害になったりするとローン残高が保険で相殺されるため、以降の返済が免除されます。保険料は金利に含まれるのが一般的です。近年は3大疾病、8大疾病など死亡や高度障害だけでなく特定の病気になった場合に適用される団信もあります。

必要な保障額の考え方

死亡保険の保障額は「自分が死んだとき、どれくらいのお金を残したいか」を基準に考えます。万が一の際に生活に困るのは誰なのかを考えてみるとわかりやすいでしょう。例えば一家の大黒柱として家計を支えている人であれば配偶者や子どもなどの顔が思い浮かぶはずです。必要な金額は家族構成や家計の状況、貯金の有無などによって変わります。計算式としては以下の通りです。

・必要保障額=必要な生活資金-社会保険制度からの支給

必要な生活資金

毎月の生活資金がいくらかかっているかを算定することが必要です。また何歳まで生活資金を見込むかでも全体の金額は大きく変わります。例えば毎月20万円の生活費がかかっている場合、30年分なら20万円×12ヵ月×30年=7,200万円、20年なら20万円×12ヵ月×20年=4,800万円です。そのほかにも子どもがいる場合は教育費も考えておく必要があります。

例えば就学前の子どもがいる場合、幼稚園~大学まですべて公立(国立)で進学したとすると約1,000万円が必要です。さらに介護のための資金や老後の資金なども検討します。

社会保険制度からの支給

社会保険制度からは遺族年金の支給が考えられます。仮に平均月額報酬が25万円の会社員の夫と専業主婦の妻、2歳の子どもが1人いる家庭で見てみましょう。公的なものとして遺族厚生年金の目安は月額約11万7,000円(年額約140万円)です。仮に夫が会社員ではなく自営業者であれば遺族基礎年金として月額約8万3,000円(年額約100万円)が目安になります。

ただし遺族基礎年金は子どもが18歳になる年度の3月31日までの支給です。遺族厚生年金を30年受給した場合は11万7,000円×12ヵ月×30年=4,212万円となります。

必要保障額の目安

上記の家族の例で向こう30年の保障を検討する際は、(必要生活資金7,200万円+教育費1,000万円)-遺族厚生年金4,212万円=約3,988万円がざっくりした必要保障額です。ここに介護費や老後費など他のものを加えればさらに増えますし、子どもが増えればより保障額があがります。必要な保険としては、この例では不足する3,988万円をどういった保険でまかなうかを検討することが必要です。

加入する保険の一例

子どもの進学などを考慮すると家計負担の少ない収入保障保険や学資保険の加入も選択肢の一つです。生存保険は「自分(家族)が何歳の時点で、何にどれくらいのお金を残しておきたいか」によって決まります。世帯構成や保険の見直し時期によっても必要保障額は大きく変動します。しっかりとシミュレーションした結果、現在加入している保険の保障額まで必要なかったこともあるのです。

平均的な保障額や保険会社にすすめられた金額だけでなく自分の家族にとってどんなことにお金が必要になるかを考えると良いでしょう。

団体信用生命保険付きの不動産投資ローンを組んだときの見直し例

保障額や契約内容は「結婚した」「子どもが生まれた」「子どもの進路が決まった」「特殊な保険に加入した」などのライフイベント時に見直すことが効果的です。特殊な保険の例として挙げた団体信用生命保険は、住宅ローンのほか不動産投資ローンにつけるパターンもあります。不動産投資ローンは、自分が住むための家ではなく他人に貸して家賃収入を得るためのマンションなどを買うときに組むローンです。

加入した場合の見直し例を紹介します。
・世帯構成:35歳のAさん、妻、小学生の子ども2人
・50歳まで収入保障保険に加入(支払保障額は月5万円で保険料は月1,000円)
・老後のための貯蓄と学費の保障のため終身保険にも加入(保障額は1,000万円、払込期間は70歳までの30年間で毎月の保険料は約2万円)

購入した不動産は2,500万円で、そのほとんどを団体信用生命保険付きのローンでまかなっています。家賃収入は月10万円で経費は約2万円、ローンの返済額は9万円です。差し引き毎月1万円が持ち出し分です。Aさんが亡くなった場合は団体信用生命保険によって家族は返済負担のないマンションを手に入れることになります。

つまり毎月の家賃収入10万円-経費約2万円=毎月8万円が振り込まれるわけです。収入保障保険の保障内容に似ています。またローンがないため、いつでも売却することも選択可能です。売却価格は購入価格よりも下がったとしても、仮に2割減だとしても2000万の保障額を残せます。そのためAさんが加入している2つの生命保険は不要という考え方もできるでしょう。

不動産投資ローンの場合、完済すれば団体信用生命保険の効力はなくなりますが、家賃収入のほとんどが収入源になり老後の生活費を補うことができます。ただし築年数の経過分、家賃は下がるというリスクもあるでしょう。完済後の経費を差し引いた家賃収入が毎月6万円だとすると返済時に持ち出したとなった計360万円(1万円×12ヵ月×30年)は5年で回収できます。

Aさんは不動産投資ローンで実質的に1万円支払うことによって2万1,000円払っていた生命保険が不要になりました。解約することで毎月1万1,000円の保険料を削減できたのです。さらに老後資金として毎月6万円受け取れる個人年金保険に加入したことと同じ効果があります。

マンション経営で生命保険がいらなくなることがある

マンション経営におけるローンの団体信用生命保険は、定期保険と終身保険、生存保険のすべての要素を持ち払込額に比べて高い保障額を備えた保険です。そのため保険の見直しを検討する際には、一般的な保険商品や保険会社にすすめられた商品を加入するだけではなくマンション経営という選択肢を持っておくと既存の生命保険が不要になるケースがあることも押さえておきましょう。(提供:Dear Reicious Online

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