(本記事は、メンタリストDaiGoの著書『短期間で“よい習慣”が身につき、人生が思い通りになる! 超習慣術』ゴマブックスの中から一部を抜粋・編集しています)

習慣づくりの超基本!「20秒ルール」

(画像=『短期間で“よい習慣”が身につき、人生が思い通りになる! 超習慣術』※画像をクリックするとAmazonに飛びます)

1つめは、ご存じの方も多いのではないかと思われる「20秒ルール」です。

これはハーバード大学でポジティブ心理学講座を担当しているショーン・エイカーさんが「幸福優位7つの法則」の1つとして挙げているものです。

新しい習慣を身につけようとするときには、その行動を「やりやすいようにすること」がまず大切です。意志の力で「これをやる!」「これを続ける!」と考えただけではなかなか継続できないものだからです。

ですから、習慣化したい行動がある場合は、できるだけ面倒な部分を省いて、「気がついたらやっていた」というくらいに手間を減らしたやり方ができないか、と、常に考えるようにしてください。

それが「20秒ルール」です。

なぜ20秒ルールなのかというと、「やりたいと思っている習慣を、ふだんの状況より20秒早くできるようにする」ことが基本になるからです。

●毎朝のジム通いを習慣づけるためにした、意外なこととは?

ショーン・エイカーさんは、朝起きてすぐジムに行くことを習慣づけようとしたとき、清潔なトレーニングウェアを着て寝るようにしたそうです。さらにスニーカーなども用意しておくことで、起きてから家を出るまでの手間を20秒減らしました。それにより、朝、迷いなくジムに行くことを習慣化できたといいます。

日常生活のいろいろなシーンにおいて、この20秒ルールは使えます。

たとえば私の場合、ニコニコ動画やYouTubeの放送は基本的にiPhoneで撮ってそのまま放送するようにしています。

どうしてかといえば、カメラのセッティングなどにかかる手間と時間を減らしたいからです。これも長く放送を続けられている理由のひとつです。

20秒ルールはとても有効なテクニックですが、「20秒減らせた!」と満足していてはいけません。

20秒分の手間を減らせたなら、さらにもう20秒分の手間を減らす。それができたらまたさらに20秒分の手間を減らす。

こうして、極限まで手間を減らしていくのがポイントです。

このテクニックは、非常にシンプルでありながら、絶大な効果を発揮します。

たとえば、毎日、本を継続して読みたいと思うなら、夜に読み終わったあと、しおりを挟んで本棚にしまうのではなく、しおりは挟まずに、本を開いたままテーブルの上に置いておきます。それだけでは20秒にまではならないにしても、次に読むときに本棚から出す手間を省けるので、すぐにまた本を手に取ることができます。

もしヨガを習慣化したいのであれば、ヨガマットを畳まず、すぐにやれる場所に広げておきます。会社から帰宅したときにすぐに目に入って始められるよう、玄関前に敷いておいてもいいでしょう。

こうした心がけがあるかないかで、ひとつの行動を継続できるかが左右されます。

●やめたい場合は、手間を増やす

習慣化したいのではなく、「やめたいこと」がある場合は、ふだんの状況より20秒、時間がかかるようにします。

テレビを見すぎるのでそれをやめたいと考えたショーン・エイカーさんは、テレビのリモコンから電池を抜いておき、電池を入れるまでに0秒かかるところに電池を置くようにしたことでテレビ中毒が治ったといいます。

これも応用が利きます。

スマホを使いすぎて時間が惜しいというのであれば、本棚のいちばん上など、簡単には取れないような場所に置いておきます。そうすれば、いつも手元に置いておくのに比べて、スマホを手にする回数はずいぶん減ります。

スマホのなかに、つい時間を費やしてしまうのであまり使いたくないアプリ(ゲームなど)があるなら、その対策も打てます。何度もスワイプしないと出てこないようなフォルダの奥底にしまっておいて、そのアプリを開くまでに手間がかかるようにするのです。そうするだけでも、そのアプリに手をつける回数が減ります。

「20秒ルール」とはいっても20秒にこだわりすぎず、手間を減らす場合も増やす場合もワンステップ減らすか増やすところから始めればいいでしょう。そこをスタートラインとして、可能な限り、減らすか増やすかしていければいいのですから。

私の場合はいつも、仕事に関して「なんとかしてもうワンステップ、手間を減らせないか」「ラクにできないか」ということを考えています。

「ラクをする」というと悪いことのように捉える人もいるのですが、ラクにできるやり方ほど継続しやすいのですから、「ラクをする」ということは決して悪いことではなく、むしろいいことです

これは習慣化に限ったことではありません。会社の仕事だってそうです。

部下や後輩に「手間を惜しむな!」「ラクをするな!」と叱るべきではないのです。社員のモチベーションが低いと思うのなら、ムダなことをさせているのではないかと考えてみたほうがいいでしょう。

どんなことでも、効率化できれば業績や成果は上がっていくはずです。

挫折をふせぐ「マジックナンバー4」

(画像=Janis Kaugurs/Shutterstock.com)

2つめのテクニックは「マジックナンバー4」です。

4という数字は、習慣を身につけるうえでは非常に重要になるので、こうした呼び方をしています。

なぜ4が重要なのかというと、何かの習慣を身につけようとしたとき、「週4回以上行なえば習慣化しやすい」ということが判明しているからです。

徐々に増やしていくほうがいいのではないかと考えて、週2回、週3回といった頻度から始める人も多いのですが、そうするとかえって挫折しやすくなります。

やるのであれば最初から週4回という設定で始めるほうがいいのです。

たとえば筋トレ。いきなり週4回からというと、ハードすぎると感じるかもしれません。その場合は、週に行う回数を減らすのではなく、1回ごとのトレーニング内容を減らすようにしてください。つまり、60分の筋トレを週2回、ではなく、30分の筋トレを週4回行うわけです。

こうすることで、挫折をふせいで、習慣化しやすくなります。

ビクトリア大学ではトレーニングジムに入ったばかりの男女111人を対象にして、どういうパターンで通えばジム通いを継続できるかを調査しました。習慣づくりのなかでももっとも難しいといわれるひとつが運動習慣なので、興味深い研究です。

その結果わかったのが、「習慣づくりと相関しているのは頻度」ということでした。週3回までの頻度で通っていた人に比べて、週4回以上通っていた人は、習慣が身につく確率が非常に高かったのです。

どんなことでも中途半端にやるよりは、思いきって”盛って”しまったほうがいいということかもしれません。

●習慣化できるかどうかが決まる「6週目の罠」

では、挫折する人はどこで挫折するのでしょうか?

分岐点になるのは6週間です。

始めた頃に「いけるいける!」とうまくスタートダッシュできた人は6週間くらいは続けられます。実をいうとそれは、週2回や週3回の頻度で始めた場合も同じです。しかし、6週間をすぎたところから差が出てきます。

週4回通っていた人はそこから先も続けていきやすいのに対して、週2回や週3回だった人はそこからさぼりがちになっていくのです。

これが「6週目の罠」です。

こうした罠に陥らないようにするためには、8週間を目標に続けることです。そうすると、そこから先はさぼりにくくなるのもこの調査でわかっています。

8週間続けることは非常に重要です。ロンドン大学の研究結果もそれを裏づけています。

ロンドン大学では96人の学生を対象に、さまざまな行動を設定して、それを習慣化できるかどうかの調査を行いました。

それでわかったのは、簡単な行為であれば25日を超えたあたりで習慣化でき、難しい行為は50~60日続けられると習慣化しやすい、ということです。

どんな行動を習慣化するかによって、習慣化しやすいかどうかの違いが出てくるのは当然でしょう。

運動でいえば、ウォーキングのように負荷の低い運動であれば25日前後で習慣化できるのに対して、腹筋やスクワットなど、負荷の高い運動を習慣化する場合は50~60日くらいかかるわけです。

50~60日といえば、およそ8週間。

ハードだと思われることでも8週間やれば習慣化でき、その先は、続ければ続けるほど負担に感じなくなっていきます

ゴールがわからずに続けていくのはつらいものですが、目標があれば励みになります。途中で挫折しそうになったら、「8週間続ければ習慣化できる!」というように、先が見えていれば、続けていくモチベーションになります。

このとき知っておいてほしいのは、習慣化をしていくその過程において、1日や2日さぼったとしても、習慣の形成において悪影響はないということです。少しくらいさぼること自体には問題はないということですね。しかしさぼってしまったときに「オレはなんてダメなやつなんだ!」と自分を責める思考に陥るのはNGです。第4章の「セルフ・コンパッション」の解説で詳しくお話ししますが、そういうマイナス思考になると、挫折に直結してしまうのです。ですから、習慣づくりをするうえでは完璧主義になってはいけません

少しルーズになって、ときどきサボってしまう自分を許容できるくらいがちょうどいいということです。

しかしまずは、「週4回以上のペースで8週間続ける」というのがひとつの目安ですから、ぜひこの頻度と期間は意識しておいてください。

メンタリストDaiGo(だいご)
慶應義塾大学理工学部物理情報工学科卒業。人の心をつくることに興味を持ち、人工知能、記憶材料系マテリアルサイエンスを研究。英国発祥のメンタリズムを日本のメディアに初めて紹介し、日本唯一のメンタリストとして数百のTV番組に出演。現在は、企業のビジネスアドバイザーやプロダクト開発、作家としても活動中。また読書家として年間3000冊以上の書籍や学術論文を読み、ニコニコ動画、YouTubeで解説動画を配信。
会員数は、YouTube約146万人、ニコニコ有料チャンネル10万人を突破。開設以来驚異的な伸び率を更新し続けている。
近刊に、『最短の時間で最大の成果を手に入れる 超効率勉強法』(学研プラス)、『無理なく限界を突破するための心理学 突破力』(星雲社)ほか、ベストセラー多数。

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