(本記事は、メンタリストDaiGoの著書『短期間で“よい習慣”が身につき、人生が思い通りになる! 超習慣術』ゴマブックスの中から一部を抜粋・編集しています)

効果が持続する「モニタリング」

持続
(画像=petrmalinak/Shutterstock.com)

3番目のテクニックは「モニタリング」と「インセンティブ」です。

モニタリングは「見られている、観察されているという感覚」です。

そしてインセンティブは「達成報酬」すなわち「ごほうび」です。

ハーバードビジネススクールでは2016年にベンガル国で3763人の子供を対象に、手を洗う習慣をつけさせる実験を行いました。対象家庭にレバーを押すと石鹸が出てくるソープディスペンサーを配り、石鹸で手を洗う回数を調査したのです。

この実験は、まさにモニタリング群とインセンティブ群に分けて経過が観察されました。

モニタリング群は、何回手を洗ったかを毎日チェック(配られたソープディスペンサーに、使われた回数が記録されるようになっていたわけですね)され、「先週より何回増えた、減った」「何時頃よく使っていた」というように、対象家庭に、定期的に手洗い習慣がどれくらい実行できているかどうかのリポートを届けるようにしました。つまり被験者に、「監視されている」という感覚を持たせるやり方です。

一方インセンティブ群に対しては、ちゃんと手を洗っていればおもちゃや食料品などのごほうびを与えます、というやり方をしました。いわばモノで釣る方法です。

あなたはどちらが効果的だったと予想しますか?

3カ月後に出た結果では、「モニタリング群のほうがインセンティブ群より23%も多く手を洗っている」ということが判明しました。つまり、長期的な視点で見ると、習慣を身につけるにはインセンティブよりもモニタリングのほうが効果が高かったわけです。

それだけではありません。実験を終えてモニタリングもインセンティブもやめたあとにどうなったかを調べてみると、さらに驚きの結果が出ました。

インセンティブ群は、実験が終わると見事なほど手を洗わなくなったのに対して、モニタリング群は手洗いの習慣を保ち続けていたのです。

この結果からわかるのは、私たちは、長期的な習慣をつけたいときにはモニタリングをとりいれたほうがいいということです。

いちばんいいのは家族など身近な人に「今日、僕が習慣ができたかどうか聞いてね」というふうに確認(監視)してもらうことですが、自分で「今日はやった」「何回やった」と記録をとるのでもいいですし、習慣ができたかどうかチェックするためのアプリもありますので、そういったものを利用してもいいでしょう。

ベンガル国の実験は3カ月でしたが、実際に、それくらいの期間モニタリングすると、モニタリングをやめたあとも習慣が続くという研究結果が出ています。延々と誰かにモニタリングを続けるのもたいへんですから、3カ月をめどにやってもらうといいでしょう。

以上のことからわかるように、インセンティブの効果を持続させるためには、一生ごほうびを与え続けなければならないのに対し、モニタリングでは一定期間続けて習慣化ができればそのあとも習慣が続きやすくなりますから、自分だけでなく、子供に何か習慣をつけさせたい場合もよい方法だと思います。

記録の力はすごい、と思います。

インセンティブを有効にする方法

ご褒美
(画像=Ammily CP/Shutterstock.com)

モニタリングVSインセンティブでは、モニタリングのほうが習慣化の効果が高い!とお伝えしましたが、ではインセンティブは使えないテクニックなのかといえば、そんなことはありません。ただし、インセンティブを使うときにはコツが必要です。

インセンティブを使ってモチベーションを高め、習慣化を加速するテクニックが、「インセンティブ・リマインダー」です。

文字どおり、インセンティブがあることを定期的に思い出させるやり方です、この効果が高いことはペンシルベニア大学の実験によって立証されています。

この実験は、2055人を2つのグループに分け、万歩計をつけて歩かせて、その歩数を比べる、というものでした。

グループAは、「一定歩数を歩くごとに25ドルがもらえる」というグループ。そしてグループBは、一定歩数を歩くごとに25ドルがもらえる」というのは同じなのですが、定期的にそのことが記されたメールが届くインセンティブ・リマインダー・グループです。

こうした報酬があることを簡単に忘れるはずはないので、それほどの違いはないように思われるかもしれませんが、実際は大きな違いが出ました。

14日が経過した時点で確認すると、定期的にメールが届くグループB、すなわちインセンティブ・リマインダー・グループのほうが、20%も多く歩いていたのです。

条件を忘れるはずがない14日間でこれだけの差がつくのは、ごほうびを定期的に確認するだけでもモチベーションが大きく違ってくる、からです。

●自分にごほうびをリマインドする方法

この研究結果も応用できます。

まず自分でインセンティブを設定します。「○○を達成したら○○」「その次に○○を達成したら○○」などと段階に応じたごほうびを決めます。

それぞれの目標が厳しい場合、達成までに時間が空いてしまう場合があります。そうすると、インセンティブを設定したことを忘れ、前に紹介した、インセンティブがなくなったら途端に手を洗わなくなってしまった子供たちと同じ状態になってしまいます。そこで、設定したインセンティブを定期的に思い出すシステムをつくっておくわけです。

私の場合も、最初、ニコニコ動画の会員10万人をめざしていたときはすごくモチベーションが上がりましたが、次の目標が20万人、その次が30万人、となると、目標が遠くなってモチベーションが落ちてしまいます。そこで、モチベーションが落ちないようなごほうびを設定し、しかもそれを定期的に思い出すようにするとよい、ということです。

その思い出し方ですが、スマホのリマインダーアプリなどを使えば、毎日、通知が届くように簡単に設定できますし、第2章で紹介した「コミットメント想起タイミング」とセットにして、毎朝、自分の目標とともにごほうびを読み上げるようにしてもいいでしょう。

ちょっとした工夫次第で、習慣強度は高められるのです。

短期間で“よい習慣”が身につき、人生が思い通りになる! 超習慣術
メンタリストDaiGo(だいご)
慶應義塾大学理工学部物理情報工学科卒業。人の心をつくることに興味を持ち、人工知能、記憶材料系マテリアルサイエンスを研究。英国発祥のメンタリズムを日本のメディアに初めて紹介し、日本唯一のメンタリストとして数百のTV番組に出演。現在は、企業のビジネスアドバイザーやプロダクト開発、作家としても活動中。また読書家として年間3000冊以上の書籍や学術論文を読み、ニコニコ動画、YouTubeで解説動画を配信。
会員数は、YouTube約146万人、ニコニコ有料チャンネル10万人を突破。開設以来驚異的な伸び率を更新し続けている。
近刊に、『最短の時間で最大の成果を手に入れる 超効率勉強法』(学研プラス)、『無理なく限界を突破するための心理学 突破力』(星雲社)ほか、ベストセラー多数。

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