(本記事は、メンタリストDaiGoの著書『短期間で“よい習慣”が身につき、人生が思い通りになる! 超習慣術』ゴマブックスの中から一部を抜粋・編集しています)

「いっしょにがんばる」がもっとも効果的な理由

夫婦やカップルであれば相手の、子供がいる方なら子供の悪い癖を直したい、と思ったことがある人もいると思います。

しかしこれは、大きく2つの理由によってうまくいかないことが多いです。

ひとつは、前にも言ったように、新しい習慣をつくるよりもすでにある習慣を消すほうがはるかに難しいということ。

もうひとつは、どんな人もプライドがあって、やっぱり他人に悪い癖を指摘されるのは嫌なものだからです。悪いところを認めたくないのが人間なのです。

ですから、他人の悪い癖を直したいときは、この2つの問題をどう解決するかがポイントになります。まずこのことを頭に入れておいてください。

●いい習慣にも悪い習慣にも、パートナーの存在が効く!

ではどうしたらよいでしょうか。

まず前提としていえるのは、いい習慣をつける場合も、悪い習慣をなくす場合も、パートナーの存在は大きな助けになるということです。

「友人サポート」や「コミュニティ」の大切さは解説しました。パートナーの存在がプラスに働くことはさまざまな研究からも判明しています。

ウエストチェスター大学が行った調査を見てみましょう。ジム通いを始めたばかりで、まだ習慣化できていない181人の男女を対象にした調査です。

「ごほうびを与える」「他の人と競わせる」「仲間をつくる」という3つのパターンの習慣化のテクニックによってグループ分けし、どのグループがもっともジム通いを習慣化できたかを検証しました。

具体的な方法はというと、「ごほうび」のグループは1回分の運動を週3回したらいくら、というようにお金を報酬とし、「他人と競わせた」グループは、参加者がそれぞれどれくらい運動しているかをお互いに比較できるようにしました。そして「仲間をつくる」のグループは、参加者どうしでペアを組ませ、いっしょにジムに行ってもらうようにしました。

すると、いちばん結果が良くなかったのがごほうびのグループで、二番目が競争させたグループ、いちばん結果が良かったのが仲間をつくるグループだったのです。

3週間くらいの短期的な実験ですが、ごほうびのグループは、この実験によりジムに通う回数は約2倍になりました。それまでは週1回以下だったのが、平均すれば週1.5回くらいになったのです。習慣化のなかでも運動習慣をつけるのとは難しいことなので優秀な数字です。しかし、3つのなかではこれがもっとも効果が低かったのです。

他の人と競ったグループはジムに通う日が週2回以上になったので、約2.5倍、そしてジムに仲間をつくったグループは、それ以前の約3倍になったのです。

つまり、「仲間をつくる」という方法は習慣化において最強だということです。この実験でユニークなのは、その後の追跡調査をしている点です。

実験を終えて4週間経つと、どのグループも実験前と同じくらいしかジムに行かな

くなっているのがわかりました。3週間でジムに通う習慣ができても、同じくらいの期間でその習慣はなくなってしまうということです。

ですが、ここからがこの実験のポイントですが、仲間をつくったり、他人と競い合うようにしていたグループが実験後にも「仲間との関係」を維持していたなら、結果は違っていたはずだということです。

ですから、習慣づくりをしたり悪癖を直したいと思ったら、仲間やパートナーといっしょに始めること

そして、その関係を維持しながら続けていくことが、習慣化、そして悪い習慣をやめるコツなのです。

●「自分も直すから、いっしょにやろう」と誘う

パートナーがいる利点は、”共にがんばれる”ということです。同じ目標でなくても、「お互いにそれぞれの目標をがんばる」ということでいいのです。

ただ単に「禁煙して!」と言ってしまったら相手は反発しますが、「私は間食をやめてダイエットをがんばりたいんだけど、誰かといっしょにチャレンジすると挫折しなくなるらしいから、あなたも何かいっしょにやってくれない?」

というように、お互いが別々に自分の目標を設定し、「いっしょにがんばろう!」と言うのは、超おすすめの誘い文句です。上から目線で「あなたのこの悪い癖を直しなさい!」というような言い方と違って、「協力してくれない?」と言えば、誰だって悪い気はしないはずです。相手のプライドを傷つけることがないからです。

しかも、自分から率先して相手に弱みを見せることで相手は安心し、自分にも悪い習慣があることを認めることができるようになるのです。

では、次項からパートナーの悪癖を直すための5つの具体的なテクニックを紹介していきますが、いま解説したような考え方やパートナーとの関係性を理解したうえで取り組むと、効果は全然違ってきます。

ぜひ、パートナーと共有していっしょにがんばってみてください。

手本を示して、まわりを“感染”させる

将来,児童手当,運用方法
(画像=Robert Kneschke/Shutterstock.com)

ここからは「他人の悪い癖を直すための5つのテクニック」を紹介していきます。これらは、2013年にテキサス大学が過去の研究などを検証しながらまとめたものです。

1つめは「手本を示す」です。

親が子供の悪い癖を直そうとするときなどにやりがちなのが「おまえのこういうところは良くない、直しなさい!」と一方的に叱りつけることです。そうすると、相手が子供でもやはり抵抗を示します。

ではどうしたらいいかというと、自分も何か悪い癖を直しているところを見せるのです。たとえば子供に「勉強しろ」と言うときには、親も何かしらの勉強をして、「勉強は楽しい」とか「勉強は役に立つ」ということを、身を以て子供に理解させるようにします。

よく、政治家やコメンテーターが自分のことを棚に上げて偉そうに批判ばかりしているのを見て、「お前が言うな!」とイラッとすることがあると思います。上から目線で批判的に言ってしまうとそれと同じことになってしまうので、そうならないように、自分も何かにチャレンジしながら、相手に言っていくわけです。

自分のどこを直せばいいかを、相手に聞く方法もあります。

「私のここは嫌だなあってところ、どこかない?」と聞いてみるわけです。「夜にポテチを食うのはやめたほうがいいんじゃない」とか、「すぐに怒るところかな」とか返されてもムッとせず、「じゃあ、わたしはそれを直すから、あなたはここを直して」と"共にがんばる"かたちをつくっていきます。

これがなぜ効果的なのかというと、人間は、「言って聞く」のではなく「見て聞く」生き物だからです。

誰かに言われたから自分を変えるのではなく、まわりの人間の行動を見て、自分の行動を規定しているのです。ですから、「あいつは言っても聞かない」というのは当たり前のことなのです。

他人の行動は、自分がどう行動するかの判断基準となります。だからこそ、他人の行動を変えたいなら、口で変えるのではなく、伝染させて感染させる、と考えるのがポイントです。

たとえば私の会社のスタッフは、日頃からよく筋トレをしまくっています。なぜかといえば、私が海外にいるときでも毎日筋トレを続けていたり、食事に気をつけているので、それがみんなに伝染していったからです。

いいことも悪いこともまわりに伝染します。ですから、誰かの行動を変えたいならまず自分の行動を変えていきましょう。

短期間で“よい習慣”が身につき、人生が思い通りになる! 超習慣術
メンタリストDaiGo(だいご)
慶應義塾大学理工学部物理情報工学科卒業。人の心をつくることに興味を持ち、人工知能、記憶材料系マテリアルサイエンスを研究。英国発祥のメンタリズムを日本のメディアに初めて紹介し、日本唯一のメンタリストとして数百のTV番組に出演。現在は、企業のビジネスアドバイザーやプロダクト開発、作家としても活動中。また読書家として年間3000冊以上の書籍や学術論文を読み、ニコニコ動画、YouTubeで解説動画を配信。
会員数は、YouTube約146万人、ニコニコ有料チャンネル10万人を突破。開設以来驚異的な伸び率を更新し続けている。
近刊に、『最短の時間で最大の成果を手に入れる 超効率勉強法』(学研プラス)、『無理なく限界を突破するための心理学 突破力』(星雲社)ほか、ベストセラー多数。

※画像をクリックするとAmazonに飛びます