格差社会に対する批判の中には、富裕層に対する妬みが露呈した発言も少なくない。だが、彼らは一括りに富裕層という言葉で捉えられているが、そう呼ばれている人たちの間にもかなりの格差が存在しているのが現実である。
富裕層にもピンとキリがあって、当然、保有している資産の規模もまるで異なる。そして、その財力によって手に入れられるものやできることが大きく変わってくるばかりか、金融機関の対応や、提供される商品・サービスの内容も異質のものとなってくる。
このシリーズの第1回では、元外資系銀行員で現在は富裕層向けの利用する側に回っている佐山哲哉氏(仮名)から赤裸々な話を聞いた。彼が口にした発言の一つが以下のような趣旨のものだ。
「万全の提案を得られているのは、ごく一部の限られた富裕層だけにすぎません。外資系銀行員時代の私にしても、特定の人にしか提案しなかったことがたくさんあります」
この記事を読んでいる人の中には、まさに目の前で急速に資産を増やしている最中で、まだ金融機関からは限定的なサービスしか提案されていないという人もいることだろう。また、ここまで読んで、次のように思った人もいるはずだ。
「上には上がいるわけであるし、自分が受けているサービスも実はすべてではなく、金融機関の人たちはまだ“隠し球”をたくさん持っているのではないか?」
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資産管理会社を設立することが、“選ばれた富裕層”となるための布石!
もしも、そういった人たちが自分の資産管理会社を持っていなかったとしたら、速やかに設立したほうがいい。実は、そうすることが金融機関からのアプローチを誘う“呼び水”となりうるのだ。
「そもそも法人として取引するだけでも、金融機関側は個人向けには用意していないさまざまなローン商品などを提供してくれます。しかも、その法人が自分の資産管理会社であると表明することで、提案も目に見えて増えるはずです」(佐山氏)
「資産管理会社が必要になるほど、大きなお金が動いているのではないか?」と金融機関が詮索する可能性があるのだ。会社の登記簿は誰もが閲覧できる反面、株式を上場していない限り、個々の会社の決算の中身は人目に晒されておらず、金融機関側が想像を膨らませてくれればしめたものだろう。
このように、資産管理会社の設立は“選ばれた富裕層”となるための布石ともなるわけだ。一方で、すでにその域に達している人はさらに意外な観点で資産管理会社を活用している模様で、佐山氏はこんな質問を投げかける。
「代々の資産家の御曹司が離婚した際に、財産の分割協議で揉めるという話は滅多に耳にしませんよね。それって、なぜだと思いますか?」