リクルートエージェント歴代トップ、売り上げ数十億円もの成績を残した営業ウーマン森本千賀子さんに、稼ぐためのスタンスを尋ねると「世のため、人のために働く圧倒的な利他精神があれば、収入はあとからついてくる」という。
圧倒的な利他精神は、先天的なものなのか、後天的に育まれたものなのか。利他を貫く上で直面する困難をどう乗り越えたのか。人を引き付けてやまない営業ウーマンの核を掘り下げた。(取材、構成・くすいともこ ZUU online編集部、DAILY ANDS編集長/写真・森口新太郎)
▼前回の記事はこちら
・誰でもできる 数十億円を生み出した仕事術【特集#1】
No.1営業ウーマンの「利他精神」を育んだ原体験
——「自分のために」から「他者のために」へと考え方が切り替わった、そのきっかけは何だったのでしょうか。
幼少期に弟が病気になったことでしょうか。私は滋賀県の生まれなのですが、両親は兼業農家で、平日は仕事、休日は農業と、とにかく忙しい家庭環境で育ったこともあり、弟とはとても仲良しでいつも一緒に遊んでいました。しかし突然、難病指定の腎臓の病気にかかって、小さい体に難病を抱えている弟を見て「姉として、何かしてあげられることはないか」と考えました。当時、私はまだ小学生。できることなんて実際はほとんどないので、無力を痛感するばかりでしたね。
そこで「現世に名を残した偉人たちはどんなことをしたのだろう」と思い、アインシュタイン、エジソン、キュリー夫人、野口英世、ヘレン・ケラー、マザー・テレサ……偉人たちの伝記を読み漁り、共通点を考えました。そしてたどり着いた答えは「時代を創ってきた人たちは、どの人も自分のためではなく、世のため人のために人生を捧げた」ということ。
私も真似をして実践してみよう。そうしたら、そのことが結果的に弟への恩送りになるかもしれない、と思ったんです。それがいつも胸のどこかでくすぶっていて、社会人として「組織の中の人間」になったときにストンと落ちてきました。そうか、これを実践できたら私でも会社に貢献できるんだなって。いろいろな思いの点が、線でつながった瞬間です。
順風満帆なキャリアの影にあった圧倒的な努力
——リクルート人材センター(現リクルートキャリア)へ入社後は、優秀な成績も収めて順風満帆に見えます。実際のところ、苦労なんてなかったのではないですか?