資産の筆頭ともいうべき「金融資本」。この資産を増やすために投資にチャレンジしたものの、失敗から自信を喪失して手を引いた……という人も多いのではないだろうか。
また、手堅い中長期の投資はしているものの、これでは資産を増やしたというにはやや心もとないという人もいるかもしれない。大きく資産を増やすにはある程度のリスクをとる必要があるだろう。
株式アナリストの飯村真由さんに、プロならではの視点から短期トレード向きの銘柄の選び方や相場を読むスキルの鍛え方を教えてもらった。(取材・藤堂真衣/写真・森口新太郎)
銘柄の好みは人それぞれ。あなたとっての「良い銘柄」とは?
——ズバリどんな銘柄を買えばいいのでしょうか?
その答えは間違いなく「株価が上昇していきそうな銘柄」であり、それはどの投資家にとっても共通していることでしょう。(信用取引で売りから入るパターンを除いた場合)
投資家さんにお会いすると「『良い銘柄』を教えてください!」と、よく聞かれます。しかし、この問いに対しては一概に答えることはできないのです。「良い銘柄」の定義は人それぞれ異なるからです。自分にとって「良い銘柄」とは何なのか、理想の投資スタンスについて考えることが重要です。
——どのように自分の投資に対する考えを整理すればいいのでしょうか?
投資で得られる利益は、「キャピタルゲイン=株式を売却することで得られる利益」と「インカムゲイン=株式を保有することで得られる配当や優待による利益」の2種類に分けられます。
リスク先行で大きなリターンを積極的に狙うキャピタルゲインを追求するというのが一般的な株式投資のイメージかもしれませんが、なるべくリスクを回避し安定的なリターンを好むインカムゲイン狙いの人も中にはいます。まず、あなたはどちらのタイプでしょうか?ということです。
そして、キャピタルゲインの追求においても、長期投資・中期投資・短期投資と保有期間に応じて投資スタンスのタイプが分けられます。期間の定義はさまざまですが、私は長期を1年以上の保有、中期を数ヵ月単位での売買、短期を1ヵ月以内の売買としています。
よりアグレッシブに自己資金の最大化を狙う投資家は、1週間程度の短期トレード、デイトレード(日計り取引)やスキャルピング(短時間で利益を確定しそれを何度も繰り返す取引手法)に至るまで、投資スタンスは実にさまざまです。
私は、数日~1ヵ月程度の短期トレード向けの銘柄を積極的に取り上げる一方、長期で数倍を狙うような成長株の推奨も行いますので、「『良い銘柄』を教えてください」と聞かれると「あなたにとっての『良い銘柄』とは何ですか?」という疑問が浮かんでしまうのです。
自分がイメージする理想の投資スタンスをかなえるものが、あなたにとっての『良い銘柄』ということだと思います。