不動産投資を行う場合、事業的規模を目指すと税金の計算上さまざまな優遇を受けることが可能です。本稿では、事業的規模と判定される基準や注意点、判定された場合のメリットや青色申告の手続きについて解説します。

不動産投資,事業的規模
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目次

  1. 1.不動産投資における「事業的規模」とは
    1. 1-1.事業的規模はどのように判定されるか
    2. 1-2.事業的規模として認められる基準を解説
    3. 1-3.事業的規模にするための届け出4つ
  2. 2.不動産投資を事業的規模にする5つのメリットと3つのデメリット
    1. 2-1.事業的規模にするメリット5つ
    2. 2-2.事業的規模の3つのデメリット
  3. 3.「事業的規模」と「業務的規模」それぞれの税務上の取り扱い
    1. 3-1.事業専従者給与の取り扱い
    2. 3-2.青色申告特別控除の適用の取り扱い
    3. 3-3.固定資産の除去等の損失の取り扱い
    4. 3-4.回収不能になった賃料の取り扱い
    5. 3-5.延納利子税の必要経費算入の取り扱い
  4. 4.家賃収入が1,500万円以上でも事業的規模にならなかったケース
  5. 5.不動産所得の確定申告のやり方
  6. 不動産投資の事業的規模を目指そう
  7. 不動産投資の事業的規模に関するよくある質問
    1. Q.不動産所得の「事業的規模」と「事業所得」の違いは?
    2. Q.途中で事業的規模でなくなった場合に青色申告特別控除は受けられる?
    3. Q.e-Taxしないと青色申告特別控除はどうなる?

1.不動産投資における「事業的規模」とは

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不動産投資を行うにあたり、その投資が副業として行う税法上の「業務」にあたるのか、もしくは一定基準以上の不動産を所有して本格的に行う「事業的規模」にあたるのか、どちらに該当するのかが重要になってきます。ここでは事業的規模として認められるための要件と注意点について確認します。

1-1.事業的規模はどのように判定されるか

不動産投資が事業的規模にあたるかどうかは、対象となる事業収入で生計を立てているかで判定されます。サラリーマン大家が副収入を得るために区分所有マンションを経営するケースでは、主たる収入が給与で家賃は事業的規模を問わず不動産所得となります。なお、例外として家賃が雑所得と見られるケースは、短期的に運営しているような場合です。

不動産経営が事業的規模と判定されるには、次に述べる基準に該当する必要があります。

1-2.事業的規模として認められる基準を解説

不動産投資においては、たくさんの不動産を保有しているほうが税制上有利になります。なぜなら、事業的規模にすることでさまざまな控除や経費の算入が認められるからです。例えば後で紹介する所得税の青色申告を利用した場合、「業務」では特別控除額が10万円に対し、「事業的規模」では最大65万円(e-Taxで電子申告利用の場合)を控除することができます。

また「業務」では親族への給与を経費に計上できないのに対し、「事業的規模」では経費に算入することができるなど節税額にかなりの差が出ます。税法上有利な青色申告ですが、利用するためには以下の条件をクリアし「事業的規模」になる必要があります。

・5棟10室のルール
所得税基本通達26-9によると事業的規模の基準について以下のように規定されています。

「建物の貸付けが不動産所得を生ずべき事業として行われているかどうかは、社会通念上事業と称するに至る程度の規模で建物の貸し付けを行っているかどうかにより判定すべき」
引用:国税庁

事業的規模が認められる基準として一戸建て(貸家)であれば5棟以上、マンション・アパートなら10室以上所有していることが目安として示されています。

・駐車場
駐車場の事業的規模認定基準をクリアするためには、5台で1室換算のため50台以上の車を駐車できるスペースが必要になります。駐車場としてある程度大きな敷地が必要となるため、駐車場のみで事業的規模にするのはハードルが高いかもしれません。

・共有名義の場合
共有名義の場合は、自分の持ち分にかかわらず共有する物件全体の規模で判断されます。サブリースで不動産会社が一括して借り上げている場合も10室あれば10室として計算されるので安心です。基準を満たすか判断に迷う場合は、仲介している不動産会社や税理士に相談すればアドバイスしてくれるはずです。

・収益不動産を組み合わせる場合
収益不動産を複数所有している場合は、組み合わせて基準を満たすことも可能です。例えば駐車場は、上述したように5台でアパート1室分に相当するため、アパート9室と駐車場5台分を所有していれば10室の基準をクリアできることになります。また貸室2室で貸家1棟分に相当するため、区分所有マンション2室と一戸建て4棟を所有している場合も5棟の基準をクリアできます。

・空室がある場合
アパートを10室所有していても何室か空室になっているケースもあるかもしれません。空室については、そのままにしているか、入居者募集をかけているかで違ってきます。入居者募集をきちんと行っていればいずれ空室が解消される可能性が高いため、1室とカウントしてもよいでしょう。空室が出たらすぐに入居者募集を行うことが大事です。

1-3.事業的規模にするための届け出4つ

新規で不動産貸付を始めたときは、以下の4つのような届け出書や該当する申請書を提出する必要があります。

  • 個人事業の開業・廃業届出書
  • 所得税の青色申告承認申請書
  • 青色事業専従者給与に関する届出書
  • 所得税の減価償却資産の償却方法の届出書

・個人事業の開業・廃業届出書
事業的規模の不動産貸付を開業した日から1ヵ月以内に提出します。

・所得税の青色申告承認申請書
不動産貸付を開業した年から青色申告にしたい場合は、開業の日から2ヵ月以内(その年の1月15日以前に開業した場合は3月15日まで)に提出します。

・青色事業専従者給与に関する届出書
専業で従事する親族のうち一定の人に給与を支払う場合は、給与を必要経費に算入しようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後に開業した人や、新たに専従者がいることになった人は、開業の日や専従者がいることになった日から2ヵ月以内)に提出します。提出期限が土日祝日の場合は翌営業日が期限です。

・所得税の減価償却資産の償却方法の届出書
減価償却資産の償却方法を選択する人が届け出る書類で、開業した年の翌年3月15日までに提出します。届け出をしない場合は法定の償却方法である旧定額法または定額法が適用されます。定率法(初年度ほど多く次第に減少する)など他の方法を希望する場合は届け出る必要があります。

2.不動産投資を事業的規模にする5つのメリットと3つのデメリット

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不動産投資を事業的規模にした場合、メリットとデメリットがあります。それぞれについて詳しく確認していきましょう。

2-1.事業的規模にするメリット5つ

不動産投資で事業的規模にするメリットは主に以下の5つです。

  • 青色申告特別控除65万円が使える
  • 親族を従業員として給与を経費計上できる
  • 赤字を3年間繰り越せる
  • 取り壊し等の損失を全額経費にできる
  • 回収不能賃料を必要経費に算入できる

・青色申告特別控除65万円が使える
青色申告の最大のメリットは税制面で優遇されることです。なかでも青色申告の届け出を提出することで、青色申告特別控除として65万円を所得から差し引くことができるのは大きなメリットでしょう(2019年度分まで)。ただし青色申告の条件を満たすためには、「日々の取引を記帳する」「収入や経費の根拠書類を保管しておく」などが必要です。

ただし優遇される分、白色申告よりはチェックが厳しくなることを心得ておかなければなりません。また2020年度からは青色申告特別控除の金額が55万円に引き下げられています。今まで通り65万円の青色申告特別控除を受けるためには「電子帳簿保存」「e-taxによる電子申告」のどちらかを満たすことが必要です。

・親族を従業員として給与を経費計上できる
通常、外部の人を雇って給与を支払った場合、支払った給与は経費にすることができます。しかし配偶者など生計を一にする親族に支払う給与は、経費性があいまいなことから経費として認められていません。ただし事業的規模と認められれば、親族に支払った給与も専従者給与として経費に算入することができるようになります。

専従者給与には、いくつかの要件があり要件を満たさなければ経費として否認されてしまうため、注意しましょう。また専従者給与を経費にする場合、専従者の要件や給与の金額設定にも注意が必要です。専従者は、「生計を一にする配偶者やその他親族」「専従者が対象年度の12月31日時点で15歳以上」「対象年度を通じて6ヵ月を超える期間専従者として従事している」といった3つの要件を満たす必要があります。

他に本業がある場合は、専従者とは認められません。非常勤での勤務については取り扱いがあいまいです。専従者と認定されるには、勤務実態を証明する根拠を残しておくなど工夫する必要があります。また専従者給与を支払う場合は「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出しておきましょう。届け出には、専従者の氏名や生年月日、業務内容や給与の上限額なども記載しなければなりません。

業務内容と見合わない高額な給与だと経費として認められない可能性があるため、注意が必要です。

・赤字を3年間繰り越せる
青色申告では、赤字を繰り越せることも大きなメリットです。確定申告においては不動産所得を事業所得の赤字分に補てんする「損益通算」ができます。しかし損益通算しても損失がある場合は、翌年以後最大3年間にわたって繰り越しを行うことができます。

・取り壊し等の損失を全額経費にできる
取り壊し等の損失があった場合は、全額経費に計上し控除しきれない場合は3年間損失を繰り越すことができます。

・回収不能賃料を必要経費に算入できる
回収不能になった賃料を必要経費に算入できることも大きなメリットです。事業的規模に至らない不動産貸付で未回収家賃があっても回収予定である以上、賃料として毎年不動産収入に含めて申告しなければなりません。この場合、お金は入ってこないにもかかわらず収入に計上されてしまうため所得税がかかるという頭の痛い状況になります。

しかし事業的規模の不動産投資と認められた場合、回収不能と確定した時点で回収不能になった年度の必要経費として計上することが可能です。過去の年度に売上計上したものが回収不能になった場合は、収入に計上した年度までさかのぼり対象年度に収入がなかったものとして所得金額の計算をし直します。過去の分の修正申告をすることで、過払いしている所得税の還付を受けられる場合もあるでしょう。

2-2.事業的規模の3つのデメリット

不動産投資で事業的規模にする場合は、メリットだけでなくデメリットもあります。ここではデメリット2つについて確認していきます。

  • 個人事業税の支払いが発生する
  • 複式簿記が面倒
  • 配偶者控除や扶養控除が受けられない

・個人事業税の支払いが発生する
「個人事業税」は個人事業主のうち法定業種に対してかかる地方税です。「個人事業税」という言葉は普段あまり聞かないかもしれませんが、法定業種に該当する場合は所得税・住民税・消費税などとあわせて納めます。法定業種は第1~第3種事業に分類され全部で70業種です。法定業種によって3~5%の税率が定められており、不動産貸付業は第1種事業に該当し税率は5%になっています。

支払った個人事業税は「租税公課」という課目で経費として計上することが可能です。また年間の事業所得が290万円以下の場合、個人事業税は非課税となります。

・複式簿記が面倒
簿記には「単式」と「複式」の2種類がありますが、青色申告を利用するには複式簿記で記帳しなければなりません。「単式」ではリース代金1万円を現金で支払った場合、単に「パソコンリース代 10,000円」と記帳するだけなので簡単です。しかし「複式」では「パソコンリース代 10,000円/現金 10,000円」というように借方(左側)と貸方(右側)に分けて記帳する必要があります。

また確定申告時には「損益計算書」と「貸借対照表」の提出が必要なため、面倒に感じる人もいるでしょう。ただ最近では記帳用の会計ソフトもあるので、うまく活用すれば効率よく記帳していくことも可能です。

・配偶者控除や扶養控除が受けられない
家族に事業専従者給与を支払うと確定申告の際に配偶者控除や扶養控除を受けられなくなります。そのため給与として支払う額が配偶者控除や扶養控除の額を上回る場合に行うようにすることが必要です。

3.「事業的規模」と「業務的規模」それぞれの税務上の取り扱い

不動産経営が事業的規模か業務的規模(副業)かによって税務上の取り扱いが違ってきます。項目別に確認しましょう。

3-1.事業専従者給与の取り扱い

・事業的規模
青色申告を利用する場合は、先述したように「青色申告者と生計を一にする配偶者およびその他の親」「その年の12月31日現在で15歳以上」「その年を通じて6ヵ月以上勤務」の3つの条件を満たすと事業専従者給与として計上できます。白色申告の場合は、給与ではなく事業専従者控除を受けることが可能です。

・業務的規模
業務的規模の場合は、事業専従者給与は認められていないため必要経費として計上することはできません。

3-2.青色申告特別控除の適用の取り扱い

・事業的規模
複式簿記で記帳し、それに基づき作成した貸借対照表および損益計算書を添付することを条件に65万円または55万円の青色申告特別控除を受けることができます。65万円の控除を受けるにはe-Taxなどの電子申告を行うことが必要です。

・業務的規模
業務的規模で不動産所得のみの場合は、青色申告特別控除は10万円しか受けることができません。不動産所得以外に事業所得があり、そちらで要件を満たしている場合は65万円または55万円の青色申告特別控除を受けることができます。

3-3.固定資産の除去等の損失の取り扱い

・事業的規模
固定資産の取り壊しなどを行った場合、生じた損失を全額必要経費として算入することができます。算入した結果不動産所得が赤字になった場合は、損益通算および3年間の赤字繰り越しができるので利用するとよいでしょう。

・業務的規模
除去などの損失を差し引く前の不動産所得を限度として必要経費になります。そのため算入の結果不動産所得が赤字になることはありません。

いずれも災害による場合を除きます。

3-4.回収不能になった賃料の取り扱い

・事業的規模
賃料が回収不能になった場合は、「貸し倒れ損失」としてその年分の必要経費に算入できます。

・業務的規模
未収家賃が回収不能となった場合、不動産所得の計算上なかったものとみなされます。収入を計上した年度にさかのぼり、回収不能に対応している所得がなかったものとして所得金額を再計算することが必要です。そのため所得金額が赤字の場合は、なかったものとみなされる金額は生じないことになります。

3-5.延納利子税の必要経費算入の取り扱い

・事業的規模
所得税などの延納や法人税の申告書提出期限の延長が認められた場合は、利子税がかかります。また災害による延長も延納日数に応じて利子税がかかるため、注意が必要です。事業的規模の場合、延納利子税は、必要経費として算入できます。

・業務的規模
業務的規模の場合は、延納利子税を経費として算入することはできません。

4.家賃収入が1,500万円以上でも事業的規模にならなかったケース

家賃収入が年間1,500万円以上ある場合は、通常事業的規模と認められるケースが多い傾向です。しかし事業規模にならなかったケースもあります。1996年7月31日にあった国民不服審判所の判例を確認してみましょう。当該請求人は、賃借人1社に対する賃貸料収入が1,500万円のため「不動産所得を生ずべき事業」と判断し青色事業専従者給与を必要経費として算入の上申告しました。

ところが原処分庁が否認して更生したため、請求人がこれを不服として取り消しを求めて審査請求。事業的規模を巡る争いとなりました。貸付状況は、貸付先が1社のみで貸付面積も22.8平方メートルという小規模で請求人の役務も極めて少ない状況です。この状況を受けて国民不服審判所は「賃料収入がたとえ1,500万円以上でも社会通念上の事業的規模の貸付とは認められない」と指摘しました。

青色申告事業専従者給与の必要経費算入を否認した原処分は適法と判断されたのです。賃貸料の額が多くても事業的規模にはあたらないケースとして認識しておくべき判決といえます。

5.不動産所得の確定申告のやり方

不動産所得の確定申告は、以下の手順で行います。

1.申告方法を選択
「青色申告」と「白色申告」から選択します。青色申告は、記帳が面倒ですが節税効果が大きい点がメリットです。白色申告は、簡単な記帳で申告できて手間がかからないなどのメリットがあります。

2.必要書類をそろえる
選択した申告方法に応じて下表のような必要書類をそろえます。

必要な書類青色申告白色申告
確定申告書B
不動産所得用の所得税青色申告決算書
不動産所得用の収支内訳書
現金出納帳、および収入のわかるもの
賃借人の情報、契約状況のわかるもの
必要経費のわかるもの

3.決算書類を作成する
現金出納帳や請求書・領収書などをもとに所得税青色申告決算書または収支内訳書を作成します。家賃・礼金・更新料などの収入や必要経費のもれがないように記載し収支を確定させましょう。

4.国税庁のオンラインサービスを活用する
国税庁のオンラインサービスの「確定申告書等作成コーナー」を利用して所得税青色申告決算書または収支内訳書をもとに確定申告書Bを作成します。

5.確定申告書類を管轄税務署に提出する
確定申告書を含む必要書類を管轄の税務署に提出し確定申告を行います。提出方法は「税務署に持参」「郵送」「e-Taxによるオンライン申告」の3つから選択可能です。申告内容によって所得税を納付もしくは還付を受ければ完了となります。

不動産投資の事業的規模を目指そう

ここまで不動産投資を事業的規模にするためのポイントや注意点を見てきました。以下のポイントをしっかりと押さえたうえで、不動産投資の事業的規模を目指していきましょう。

  • 事業的規模として認められる基準の「5棟10室」とは、一戸建て(貸家)で5棟、マンション・アパートで10室の所有が必要
  • 駐車場単独では50台分以上とハードルが高いがそれぞれの合算も可能
  • 事業的規模になると「青色申告」を利用できる
  • 青色申告特別控除65万円(2019年度まで)を所得から引けるほか、親族の専従者給与を経費にしたり損失を3年間繰り越したりすることができる
  • 2020年度からは青色申告特別控除額が55万円に下がっている
  • 2020年度以降の申告で65万円の青色申告特別控除を受けるには「e-Taxで電子申告」「電子帳簿保存」のどちらかを満たす必要がある
  • 事業的規模となった場合は「個人事業税がかかる」「複式簿記が面倒」などのデメリットはあるが、メリットの大きさに比べれば、それほどの問題ではない

現時点で区分所有マンションを1室所有しているだけでは事業的規模としては認められません。しかし将来事業的規模にすることを目標にすれば、不動産投資初心者にとって経営の励みになるのではないでしょうか。

不動産投資の事業的規模に関するよくある質問

Q.不動産所得の「事業的規模」と「事業所得」の違いは?

事業的規模とは、不動産経営で所有している物件がアパート・マンションでおおむね10室以上、一戸建てでおおむね5棟以上の「5棟10室」ルールに適合した事業を指します。しかし事業的規模によって得られた収入だから事業所得となるわけではありません。通常アパートなどの場所だけを提供して得た所得が「不動産所得」となります。

しかし場所だけでなく食事まで提供していた場合は「事業所得」となり事業的規模と事業所得はイコールではない点に注意しましょう。

Q.途中で事業的規模でなくなった場合に青色申告特別控除は受けられる?

「年度の途中で事業的規模でなくなった」「逆に年度の途中から事業的規模になった」などどちらの場合でも青色申告特別控除(65万円または55万円)は受けられると考えられます。なぜなら1年のすべての期間で事業的規模でなくてはならないという規定がないからです。ただし複式簿記による帳簿など所定の書類を備え取引内容もきちんと記録していることが条件となります。

年度の途中で事業的規模でなくなった場合、次年度の控除額は事業的規模にならない限り10万円です。

Q.e-Taxしないと青色申告特別控除はどうなる?

e-Taxを利用して青色申告決算書を作成し確定申告した場合は、65万円の青色申告特別控除を受けられます。しかしe-Taxを利用しないで申告した場合は、控除額が55万円です。また複式簿記ではなく簡易な記帳で申告を行う場合は、10万円の控除しか受けることができません。上述したように業務的規模の不動産所得のみの場合は、複式簿記や簡易記帳などにかかわらず上限10万円の控除となります。

(提供:YANUSY

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