コンビニ大手のファミリーマートは2月、早期退職優遇制度の実施結果を発表した。募集人数の約800人を上回る1,100人以上の応募があり、結果的に1,025人が希望退職することになった。なぜ今、ファミリーマートは人員削減に努めているのか。その狙いに迫ろう。

希望退職の募集約800人に対して1,111人の応募

ファミリーマート
(画像=Rodrigo Reyes Marin/Shutterstock.com)

ファミリーマートは2月3日から5日間、希望退職者を募集した。対象は原則40歳以上の社員で、募集人数は約800人。これは、ファミリーマートの全社員数の約1割にあたる。退職者に対しては退職金を割り増しすることと、希望者に対しては再就職のためのサポートを行うことも発表していた。

合計1,111人から希望退職の応募があり、結果的に正社員924人、非正規社員101人の計1,025人が退職することになった。退職者の多くは、店舗を巡回して指導を行う業務の担当者だという。すべての希望者が退職に至らなかったのは、退職することで日常業務の継続に大きな影響を与える可能性がある社員などが含まれていたからだ。

2019年11月に希望退職者の募集を発表していたファミリーマートだが、人員削減の狙いは何だろうか。

人員整理は構造改革への第一歩 80億円の経費削減効果を見込む

人員削減は、ファミリーマートの構造改革に向けた取り組みの柱だ。

小売業界では、経営環境が年々厳しくなっている。少子高齢化や人口減、EC(電子商取引)サービスの台頭のほか、人件費の高騰も顕著だ。その中で持続的に強固な経営基盤を維持していくためには、組織のスリム化と業務効率化が不可欠であると判断し、ファミリーマートは今回の早期退職希望者の募集に踏み切った。

今回の募集によって、年間約80億円の経費が削減できるとされているが、浮いた経費でフランチャイズチェーン(FC)加盟店を支援していくようだ。このままFC加盟店の経営環境の悪化に歯止めがかからなければ、ファミリーマート本体の存続に黄信号が灯る。

「時短営業の実施」と「加盟店支援制度の拡充」の2軸で加盟店支援 

ファミリーマートは、加盟店支援の具体案も発表している。それは、「時短営業の実施」と「加盟店支援制度の拡充」だ。

時短営業については「働き方改革」の一環として実施し、長時間労働などによるFC加盟店オーナーの負担を軽減することを狙う。FC加盟店が時短営業を希望した場合、本部と事前協議を行った上で、最終的に加盟店側が実施するかどうかを決定できる。

時短営業の実施に伴い、「24時間営業分担金」についても制度の修正を発表している。これまで24時間営業分担金は、24時間営業店舗を対象に一律で支給されていたが、週1回時短営業をする店舗に対しても、日割り計算によって支給することに決めた。

加盟店支援制度の拡充では、廃棄ロスを減らすためのサポートなどを行う。これらの支援に充てる金額は、年間約100億円。1店舗あたりの年間支援金額は約70万円になるという。

人は去っても店舗は残る FC店舗の経営には懸念も残る?

ファミリーマートは人員削減や加盟店支援のほかにも、新たな出店店舗の厳選や不採算店舗の閉店、キャッシュレス化を含む設備投資などを積極的に行っている。このような取り組みが実を結べば、競争が激しいコンビニ業界でも競争力を高めていけるだろう。

とはいえ、今回の大幅な人員削減には懸念が残る。人は去っても店舗は残る。日々のオペレーションや店舗経営が悪化していかないよう、本部側は常に気を配っていく必要がありそうだ。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)/MONEY TIMES

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