ジャガーFタイプRクーペ 価格:8SAT 1590万円 試乗記
ハンサムなフロントマスク採用。ジャガーらしさをアピール!
デビューから丸6年、各部が改良されたジャガーFタイプの国際試乗会に参加した。Fタイプは、「スポーツカーメーカー」がルーツというジャガーのヒストリーを強くアピールする2シータースポーツ。2011年のコンセプトモデル、C-X16を経て13年にワールドデビューを飾った。
ピュアスポーツカーを手がけるのは、英国の名門にとって約40年ぶり。Fタイプという名称は、名車として評価が高いEタイプ(1961~75年)にオマージュを抱いての命名だった。
最新モデルは、ボディの骨格構造や、搭載するパワーパックは従来型を踏襲。「これこそが新型のアピールポイント」と即座に理解できるのが、新しいフロントマスクだ。新型はヘッドライトを横長のスリムな形状に変更し、フロントフェイスを一新。遠目にも「新型」とわかる、ハンサムデザインが採用された。
大胆な変貌ぶりは、賛否が分かれそう。「以前のデザインのほうが好きだったのに......」という意見があるかもしれない。とはいえ、Fタイプのターゲットユーザーは、世界でも限られた「スポーツカーマニア」だ。改良を機に「ホット客」の従来型ユーザーに、乗り換えを促すという期待も含まれているようにも思える。
新型の魅力は見た目だけではない。コネクティビティや運転支援システムは、最新機能にアップデート。時代の要請に対応した改良は万全だ。
Fタイプの主力はV8モデル。Rクーペは575psの強心臓
ポルトガルで開催された試乗会で、スーパーチャージャー付きの 5リッター・V8(450ps/575ps)を積むクーペとコンバーチブル、2リッターのターボ付き4気筒(300ps)を搭載したクーペに乗った。組み合わされるトランスミッションはいずれも8速ステップAT。MTの設定はアナウンスされていない。
300ps/400Nmのスペックを発する4気筒モデルも、パフォーマンスは優秀。絶対的な加速力に、何の不満もない。0→100km/h加速は5.7秒でクリア。ノーズが軽いため、ハンドリングの軽やかさはV8モデルを上回るほどだ。
けれども、サウンドをはじめとするフィーリング面まで含めると、やはり魅力が大きいのはV8モデル。450ps/580Nm仕様のコンバーチブルには、抜けるような青空という「比類なきオプション」が加わる。
走りのダイナミズムが圧巻だったのは、575ps/700Nmという圧倒的なパワーを4輪で大地に叩きつける4WDシステムを備えたRクーペだった。
Fタイプは孤高のスポーツ。運動能力は超一級品
全幅がワイドなボディ(全長×全幅×全高4470×1923×1311mm)をポルトガルのタイトなワインディングロードで、自在に振り回せた。これは完成度の高いハンドリング性能があってこそだ。
フルアクセルを与えても簡単にはテールハッピーの姿勢にならず、ドライバーの狙ったラインを正確にトレースする。運動能力は超一級品だ。
Rクーペの0→100km/h加速は3.7秒、トップスピードは300km/hに達する。パフォーマンスだけでなく、サウンドも大きな魅力。アフターバーンのアピールは従来型ほど派手ではないものの、「ピュアスポーツカー」そのものの官能性は格別だ。
Fタイプは、ポルシェやフェラーリとは異なる個性を放つ、ジャガーらしい、孤高の2シーターモデルである。
ジャガーFタイプ・Rクーペ主要諸元
価格=8SAT 1590万円
全長×全幅×全高=4470×1923×1311mm
ホイールベース=2622mm
車重=1743kg
乗車定員=2名
エンジン=5000cc・V8DOHC32Vスーパーチャージャー(プレミアム仕様)
最高出力=423kW(575ps)/6500rpm
最大トルク=700Nm(71.4kgm)/3500~5000rpm
サスペンション=前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ=フロント:255/35ZR20/リア:295/30ZR20
駆動方式=4WD
最高速度km/h=300km/h
0→100km/h加速=3.7秒
デビュー●2020年1月 ※価格を除きスペックは欧州仕様
(提供:CAR and DRIVER)