40代に差し掛かると、今までほとんど医者にかかったことがなかった健康な人でも、体力の衰えや体調の変化を感じ、民間の保険会社が提供する医療保険への加入を考え始めることも多いのではないでしょうか。医療保険にはさまざまな種類がありますが、自分がどんな保障を受けられるのかわかる、できるだけシンプルなものがおすすめです。今回は医療保険の種類と相場、そして医療保険を選ぶときに考えたい3つのポイントを紹介します。
医療保険の分類を知ろう
定期保険と終身保険
医療保険は保険期間で「定期保険」と「終身保険」の2つに大きく分けることができます。
定期保険はその名前の通り、保険期間が決まっており、一定の期間で保障が終わってしまうタイプの医療保険です。商品によっては保障期間が終了するときに契約を更新することもできます。保険料に関していえば、加入時は終身保険より割安ですが、更新をしていくとだんだんと高くなります。
一方、終身保険は保険期間が限定されておらず、途中で解約しない限り一生涯保障が続く医療保険になります。加入時は定期保険より割高ですが、更新などもなく保険料は変わりません。
更新のたびに保険料が高くなる定期保険は若いときに支出を抑えられるのでライフプランに合った商品といわれることもありますが、退職後収入がなくなったときに高額な保険料を払い続けるのは現実的ではありません。一生涯保障が欲しいなら終身保険を、子供が成人するまでや貯金が貯まるまでなど、ずっと一つの医療保険に加入する予定がないなら定期保険を選びましょう。
保険料は掛け捨てか積み立てか
保険商品には、毎月の保険料から積み立てが行われ、解約したときに解約返戻金、保険期間が終了したときに満期保険金などが支払われる商品があります。これを積立型医療保険といいます。
一方、掛け捨て型医療保険とは、解約したときや保障期間が終了したときにお金が戻らない保険のことです。
掛け捨て型医療保険の特徴とおすすめポイント
積立型に比べ保険料が安い
解約したときや保障期間を終えたときに受け取るお金は、そもそも自分で積み立てるお金なので、積立型の医療保険は掛け捨てに比べて保険料が高くなります。
掛け捨て型の保険はずっと健康ならお金を受け取ることがないので、損している気持ちになるかもしれませんが、保険はもともと皆でお金を出し合って、万が一のことがあった人がそのお金を使うというシステムです。健康であれば損をするものだと割り切るのも大切です。
保険の種類が豊富
医療保険は掛け捨て型の種類が豊富で、積立型の医療保険はそもそも商品数が少ないので、いろいろな保険会社の商品を比較したり、自分に合う商品を探したりするのが難しいこともあります。医療保険の一番の目的は病気やけがに対する保障です。返ってくるお金の有無より、自分に合った保障が受けられる保険を選びましょう。
掛け捨て医療保険の相場は?
40歳女性で入院給付日額が5,000円の特約をつけないシンプルな医療保険の場合、多くの保険会社では保険料は2,000円から4,000円程度に設定されているようです。
しかし、一口に掛け捨て医療保険といっても、その料金は保険会社によって異なりますし、加入する人の年齢や性別、健康状態、必要な給付金や特約によってそれこそ千差万別です。医療保険は上記の相場にこだわらず、自分に必要な保険を選ぶことが大切です。
医療保険を選ぶ際のポイント
入院給付金はどれぐらいあればいい?
入院1日につき受け取ることができるお金を入院給付金日額といいますが、大体の医療保険では入院給付金日額を5,000円か1万円に設定しています。例えば入金給付金日額が5,000円のタイプなら、10日間入院すると5万円の給付金を受け取れます。
基本的に会社員の方であれば、入院給付金日額は5,000円あれば安心です。というのも、日本には医療費が高額になったとき、一定の金額を超えた部分については払い戻しが受けられる「高額療養費制度」という健康保険の制度があるからです。この制度を利用すると、平均的な収入の方であれば自己負担額は1ヵ月8万円強におさまります。
例えば手術をして3週間入院をしても、その間の治療費が8万円程度ならば、入院給付金日額5,000円の21日分の10万5,000円で十分まかなえることがわかります。
保険料の支払い方法は短期と終身どちらがいい?
終身医療保険の支払い方法は、大きく分けて「終身払い」と「短期払い」の2つがあります。
終身払いは保険料の支払いを一生涯続けるタイプで、月々に払う保険料は安くなります。短期払いは60歳や65歳まで、または10年や15年など、一定期間で支払いを終わらせるタイプで、期間が短くなればなるほど保険料は高くなります。
終身払いは一生涯保険料を払う必要がありますが、保険料が安く、医療保険を後々乗り換える予定があるなら、それまでの払込保険料を安くできるというメリットがあります。今の医療保険にずっと加入するなら短期払いで、いずれ医療保険を変更するつもりなら終身払いがいいでしょう。
特約はどの程度つけるべきか?
医療保険にはがん特約や3大疾病特約、女性特有の病気に対する特約など、さまざまな特約があります。これらの特約は、自分の希望や家系的になりやすい病気があるのかによっても、つけるかどうか変わるのですが、大切なのはがんや3大疾病も病気の一つで、どの病気にかかろうと基本の入院給付金は受け取れる点です。
先進医療が必要な場合を除き、これら特別な病気になっても前述の高額療養費の払戻制度が使えなくなることはないので、特約は重複や過剰な保障にならないように検討しましょう。
医療保険はコストを考えつつ自分に合った保険を
40代になると自分の体調の変化を感じることが多くなりますが、そういう時期は健康状態を見直し、医療保険を考えるよいきっかけになります。ただし、過剰な保険料で日々の生活が苦しくなっては本末転倒です。コストを抑えつつ自分に合った保険を選びましょう。
文・松岡紀史(ファイナンシャル・プランナー、ライツワードFP事務所)/fuelle
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