(本記事は、松尾昭仁氏の著書『1万2000人を見てわかった! お金に困らない人、困る人』集英社の中から一部を抜粋・編集しています)

10年後 食えない人は、「車」にお金をかける 食える人は、「歯」にお金をかける

(画像=garagestock/Shutterstock.com)

一般的に人は、第一印象に大きく影響を受けるものです。

初対面のときに、「この人は自分よりも上だ」「この人は自分よりも下だ」と勝手に格付けをするのが人間の性です。

お金に困らない人は、自分の魅せ方を知っています。自分を見て、まわりの人がどういう印象を受けるかに気を配っているのです。

20代の若者はともかく、40~50代になって安物のスーツや時計を身につけていれば、そこそこいい車に乗っていても、頼りにならない印象を与えてしまいます。

私の父親は建設会社を経営していますが、昔から高級外車のベンツに乗っています。箔をつけるためです。

父親曰く「社長が軽自動車に乗っていたら格好がつかないし、社員にも夢を与えられない」とのこと。多少見栄を張ってでも、見えるところにはお金を使う。それが、父のやり方だそうです。

反対に、見えないところでは、見栄を張らないのもお金に困らない人特有の思考です。お金持ちや成功している人に倹約家が多いのも、そのあらわれです。

人前では高価な服を身につける一方で、普段着は案外、地味というお金持ちも多くいます。

●歯を見ればセレブかどうかわかる

お金に困らない人は、目に見えないところではムダなお金を使いませんが、見えるところにはお金を投資しています。

たとえば、「歯」もそのひとつ。あるお金持ちは、「歯を見ればセレブかどうかわかる」と言います。

セレブな人に共通しているのは、歯並びが整っていて、白くキレイなことです。歯は顔の中でも特に目立つパーツです。

歯並びが悪かったり、金歯や銀歯が見えると、それだけで印象が悪くなってしまいます。

イメージが大切なテレビに出演している芸能人や専門家のほとんどは、歯がキレイにケアされているのもそのためです。

ルックス重視の女優やアイドルだけでなく、イモトアヤコさん、バナナマンの日村勇紀さん、ハリセンボンの箕輪はるかさんなど、お笑い芸人のみなさんも歯を直しています。

●人前に立つ仕事こそブランディングが重要

私自身、人前に立つ仕事ということもあり、以前から歯をキレイにしたいと思っていたのですが、昨年ようやく重い腰をあげて審美歯科に通いました。

新車の国産車1台分くらいの費用はかかりましたが、そのぶん相手に不快感を与えずに済みますし、何より、大きく口を開けて笑うことができるようになりました。

お金に困らない人は、人から見られているところにお金を使っています。つまり、ブランディングを意識しているのです。

10年後 食えない人は、「ここぞ」というときだけ勝負服 食える人は、いつも勝負服を身にまとっている

みなさんも、「勝負服」というものがあるでしょう。もちろん、異性にモテるための勝負服ではなく、ビジネスのここぞという場で着る服です。

大事な商談やプレゼンのときは、ブランド物のスーツとネクタイでビシッと決めるという人もいるかもしれません。

アップルコンピュータの創業者である故スティーブ・ジョブズ氏は、いつも黒のタートルネックを着て、デニムを穿いていました。服装を選ぶ時間が短縮でき、ムダな労力を使わずに済むために、毎日同じ服を着ていたと言われています。フェイスブックの創業者であるマーク・ザッカーバーグ氏も同様に、いつも同じような服装をしています。彼らは、「勝負服」が決まっていて、常にそれを身につけていたのです。

ビジネスでは、いつ勝負どころが訪れるかわかりません。チャンスは、往々にしてふいにやってくるものです。

だから、お金に困らない人は、毎日、勝負服を着ます。極端かもしれませんが、同じ勝負服を5着ほど買って、毎日身につけてもいいでしょう。服装を選ばなくて済む生活というのは、案外快適なものです。

勝負服を選ぶときの簡単なアドバイスをふたつ紹介しましょう。

ひとつは、ショップの店員に丸投げしてしまうこと。「予算10万円でコーディネートをお願いします」と言ってお任せするのです。ショップ店員はプロですから、客観的に似合う服をすすめてくれるはずです。

もうひとつは体のラインにフィットした服を選ぶこと。

「着るのがラクだから」と大きいサイズを選ぶ人がいますが、ダボッとした服はだらしない印象を与えます。体にフィットした服は、シンプルなデザインであっても清潔感やスマートさを演出します。

私自身、本当はMサイズがぴったりなのに、Lサイズの服を着ていたことがありました。しかし、当時を知る人には、野暮な印象に映っていたようです。

ショップの店員にすすめられてから、ジャストのMサイズを身につけるようになり、Lサイズの服はすべて処分しました。さらにはランニングによって体を絞り、Sサイズの服を身につけるようになってからは、「若くなった」「シャープになった」などとまわりから言われるようになりました。

●お金に困らない人の休日は「省エネモード」

お金に困らない人は、休日も「戦闘態勢」を完全に崩すことはありません。とくに経営者や自営業者などは、自分の働きが売上や収入に直結するため、完全にオフモードになることはほとんどありません。

家電製品にたとえれば、省エネモード。いつでも稼働できるように準備をしているものです。

友人の弁護士は、休日は家族サービスをしながらも、クライアントから連絡が入れば、家族のスキを見てすぐにメールを返信しています。

弁護士に連絡をしてくるということは、切羽詰まっている場合が多いので、土日を問わずすぐに対応することが信用につながるのです。すぐに結論を出せないような内容であれば、とりあえず「明日までに調べて連絡します」と返信しておけば、クライアントも安心するでしょう。

お金に困らない人は、休日に遊んでいても「これはビジネスになるのではないか」とアンテナを張っているものです。

たとえば、街を歩いていて行列ができている店舗があれば、「なぜ、この店は繁盛しているのか」と自分なりに仮説を立てる。そして、時間に余裕があるなら、自分も行列に並んで、実際に体験してみます。

一方で、お金に困る人は、残業や休日出勤などを極端に嫌います。体調管理や家族サービスも大事なことですが、完全にスイッチを切ってしまうと、そこから仕事モードに切り替えるのに、さらなるエネルギーが必要になるのです。

10年後 食えない人は、SNSで忙しい自慢 食える人は、ピンチでも優雅に振る舞う

お金に困る人は、SNSでネガティブな発言が目立ちます。

ひとつは、忙しい自慢。「仕事が終わらずに今日は徹夜です」「体力回復のために今からニンニク注射を打ってきます」。そのほか、「二日酔いで仕事がはかどりません」「会議に遅れてしまいました。反省しなければ」「今日もうんざりすることばかり」「うちの職場は嫌な人が多い」といった投稿もよく見られます。

こんなネガティブな発信をする人は、想像力が欠如しています。このような投稿を見た人は、いったいどう思うでしょうか?

「だらしない人だな」「こういう人とは関わりたくない」と感じるのが普通の感覚です。少なくとも、「こういう人と一緒に仕事がしたい!」とは思わないでしょう。

友人限定でSNSを公開している場合でも油断は禁物。いくら友人といえども、ネガティブな発言はどこから外に漏れるかわかりません。とくに誹謗中傷はご法度。拡散されやすいですし、「この人は平気で悪口を言う人なんだ」というマイナスイメージをもたれてしまいます。そういう人からはお金も離れていくものです。

とくに会社員がSNSで情報を発信するときは、細心の注意を払う必要があります。「誰にも見られていない」と思っていても、案外、人は他人のことが気になるもの。黙ってこっそりと見ている同僚がいる、と思っておいたほうがいいでしょう。

いくらポジティブな情報を発信したつもりでも、見る人によってはネガティブに受け取られることもあります。たとえば、休日に遊びに行ったことを報告すれば、「遊んでばかりいて、きちんと仕事をしていない」と受け取られ、また、「子どもが生まれたのを機にイクメンを目指します!」と書き込めば、「彼には重要なプロジェクトは任せられない」と判断されるおそれもあります。自分にとってはポジティブな内容でも、他人からはネガティブに受け取られる可能性もゼロではないのです。

●自分の価値を上げる情報だけをアップする

お金に困らない人は、ポジティブな情報だけを発信します。「仕事がうまくいかない」ではなく「仕事がうまくいっている」、「最近太った」ではなく「最近スリムになった」という情報を優先してアップしているのです。

私はフェイスブックで自主開催セミナーの様子を投稿したりしますが、毎回必ずアップするとはかぎりません。参加者が多く、盛況なときは「盛り上がっています!」と投稿しますが、参加者が少ないときは投稿を控えます。たとえ「参加者は少ないですが、今日も頑張っています!」と言っても、「あまり人気のないセミナーなんだな」と思われる可能性があるからです。

実際には、少人数でもセミナーから得られるノウハウは同じですし、むしろ講師が一人ひとりとコミュニケーションがとれる分、参加者はお得なのですが、主催者のブランディング上はマイナスになりかねません。

お金に困らない人は、自分の価値を上げる情報しかアップしません。「インスタ映え」という言葉が流行っていますが、お金に困らない人は、ずっと前からセルフブランディングのためにインスタ映えする情報を投稿してきたのです。

なお、お金に困らない人は、フェイスブックやツイッターはブランディングの一手段ととらえても、SNSを使って直接お金を稼ごうとはしません。

お金を稼いでいる人は、今でもメルマガを重要なメディアとして位置付けています。「メルマガは古い」というイメージをもつ人が多いかもしれませんが、こちらから見込み客に商品やサービスをプッシュしたいとき、メルマガほど効果的なツールはありません。

一方、SNSの場合、情報を見るかどうかは相手しだいですし、記事を投稿しても、どんどん情報が流れていってしまうので、見た人に何らかの行動を起こしてもらう目的には向いていません。また、プラットフォームを間借りしているだけなので、突然サービスがストップしたり記事が消去されたりする可能性もゼロではありません。

独自配信でリストをつくっておけば、メルマガは“財産”として大いに活用できます。「SNSはあくまでメルマガへの誘導ツール」と位置付けている起業家は今も多いのです。

10年後 食えない人は、好かれる話し方をする 食える人は、お金に換わる話し方をする

多くの人は基本的に「相手に嫌われたくない、好かれたい」と思いながら話をしているはずです。もちろん、人に嫌われてしまうことは避けるべきですが、好感のもてる話し方をしたからといって、お金に困らなくなるとはかぎりません。

いくら仲良くなっても、相手にお金を落としてもらわなければ仕事にならない。人に良く思われることも重要ですが、ビジネスの観点からいえば、その好印象がお金に換わらなければ意味がないのです。

お金に困らない人は、このようなアプローチをします。

ハンバーガーショップで商品を注文すると、必ずと言っていいほど店員は次のように話します。

「ご一緒にポテトもいかがですか?」
「お得なセットもご用意していますが、いかがですか?」

こう聞かれて「いりません」と即答する人も多いでしょうが、一定数の人は、「じゃあ、もらおうかな」とポテトをついで買いしたり、セットで注文したりします。その確率は10%ほどかもしれません。

それでも、何も言わなかったらゼロだったものが、このひと言で売上を増やすことができるのです。

確実に売上が上がるからこそ、ハンバーガーチェーンは「ご一緒にポテトもいかがですか?」「お得なセットもご用意していますが、いかがですか?」と尋ねることをマニュアル化して、店員に繰り返し言わせているのです。

売れ続ける営業マンやお店は、必ずこのような儲かるワードを使っています。

私がある和菓子店で買い物をしたときのこと。お世話になった方へのお土産として和菓子の詰め合わせを購入しようとしたところ、店員にこんなひと言を言われました。

「お客様、こちらの和菓子はバラ売りもしております。ご家族にもいかがでしょうか?」

おいしそうな和菓子でしたし、妻や子どもたちに買って帰れば喜んでもらえると思い、私は自宅用にもその和菓子を買うことにしました。

●押しの強さが相手のメリットになることもある

「ご一緒にポテトもいかがですか?」「ご家族にもいかがですか?」などと相手にすすめるのは、「押し売りのようでイヤだ」と思う人もいるかもしれません。

しかし、ついで買いをしたお客様は、必ずしも嫌な思いをしているとはかぎりません。むしろ喜ばれるケースも多くあります。

私も自宅用に和菓子を買って帰ったことで、家族に喜んでもらえて、「声をかけてもらってよかった」という気分になりました。

言葉巧みに騙して、不要な商品を売るのは言語道断。しかし、ニーズのあるお客様に良い商品をすすめるひと言は、決して悪い行為ではありません。

むしろ売り手にとっても、買い手にとってもメリットがあるならば、どんどん声をかけたほうがよいのではないでしょうか。

売る立場からすれば、「ご家族にもいかがですか?」といったひと言を付け加えることによって、お客様が必要性に気づいて、売り手も結果的に利益が出るのであれば、これを言葉にしない手はありません。なにしろ、たった「ひと言」なのですから。

お金に困っている人はこれから、好かれる話し方よりお金に換わる話し方を心がけるべきです。

松尾昭仁(まつお・あきひと)
起業コンサルタント。出版プロデューサー。日本心理カウンセラー協会正会員。ネクストサービス株式会社 代表取締役。高等教育機関、各種団体、民間企業より、講演・セミナー・研修、メディアからの取材も多い。 『コンサルタントになっていきなり年収650万円を稼ぐ法』など著書多数。

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