(本記事は、松尾昭仁氏の著書『1万2000人を見てわかった! お金に困らない人、困る人』集英社の中から一部を抜粋・編集しています)

10年後 食えない人は、大衆店で大盤振る舞い 食える人は、高級店のランチをご馳走する

高級ランチ
(画像=Golubovy/Shutterstock.com)

ある仕事相手の食事会に出席したときのことです。主催者は数人の参加者を前に、こう自信たっぷりに言いました。

「今日は、僕のおごりなので好きなものを食べてください!」

ところが、そのお店は格安チェーンで知られる大衆居酒屋。お金のない学生時代であればうれしい話ですが、ある程度社会経験を重ねてきた私たちにとっては魅力的な提案ではありません。居酒屋のクオリティーが悪いわけではありませんが、格安ならではの味と量ですから、残念ながら「おいしい」とは言えません。しかも、まわりの席には賑やかな学生のグループがいて、ゆっくり話ができる環境でもありませんでした。結局、不快な思いをしてそのお店をあとにしました。

大人数で飲み食いをするなら、コストパフォーマンスを考えて大衆店で食事会を開くのは問題ないと思います。

しかし、少人数でじっくりと交流を深めたいのであれば、大衆店は避けたほうが無難です。

しかも、夜の居酒屋だとお酒が入っているので、あとで「話を覚えていない」ということや粗相を働くといった事態も考えられます。これから仕事を一緒にしたいという相手であれば、夜の飲み屋よりも、昼間のランチのほうが生産的な会話ができます。

お金に困らない人は、仕事で会食をするときに、ランチミーティングを積極的に活用します。

お酒が入らないから、じっくりと仕事の話ができ、親睦を深められるのです。だから具体的な次のビジネスにつながることも多い。

そして、お店選びにもこだわります。彼らが好むのは、落ち着いた感じの高級店です。高級店といえども、ランチの時間帯であれば、それほど高くはつきません。3000円程度はかかりますが、これからビジネスにつながるかもしれない大切な人と時間を過ごすのであれば必要経費といえます。

それなりの高級店であれば、まわりが騒がしくてじっくりと話ができないという事態は避けられ、食事そのものも楽しめます。また、ホスピタリティーも違います。たとえば、シティホテルに入っているレストランなどは、一流の接客を受けることができ、そのうえ待ち合わせにも便利です。スタッフの立ち居振る舞いを見ているだけでも学びがあるでしょう。

●「1000円のコーヒー」の世界を体験する

お金持ちの環境に身を置くことも大切なことです。

若いうちから高級店に通っていると、そういう環境が当たり前になり、物怖じしなくなります。来店しているお客様にはお金に困らない生活をしている人が多いでしょうから、観察しているだけでも刺激的です。

コーヒー1杯が1000円以上するようなお店を体験しておくと、「こんなカフェを普段使いできる人はどんな仕事をしているのか」という思考に変わっていきます。

150円の缶コーヒーしか知らない人は、思考の幅が制限され、150円のコーヒーにふさわしい人物から抜け出すことができないのです。

10年後 食えない人は、身の丈に合った郊外の家を選ぶ 食える人は、徒歩30分でも都心に住む

環境が人を変えます。

成績のよい仲間と付き合っている子どもは、彼らに引っ張られて成績がアップします。反対に、成績の悪い仲間と付き合っていれば、成績がダウンするのは避けられません。

同じように、住環境も人に大きな影響を与えます。

港区や千代田区をはじめ都心には高収入の人が住んでいるエリアがあります。そのような場所に住んでいる人は社会的にもビジネス的にも成功している場合が多く、店舗や教育機関も、高収入の人を対象にしたものが多くなります。

そういう環境に自ら身を置くことによって、まわりの成功者に引っ張られ、意識や思考が変わり、収入も上がっていくものです。

「年収は住む場所で決まる」と言っても過言ではないくらい、生活するエリアは重要です。

一般に、人は収入の高低に合わせて住む場所を選択します。収入が低いうちは身の丈に合った郊外を選ぶのがふつうです。

しかし、お金に困らない人生を手に入れたければ、今すぐにでも都心に住むことをおすすめします。

もちろん、家賃の相場は高いかもしれませんが、若い頃のひとり暮らしであれば、狭い部屋でも十分でしょう。主要な駅から離れれば家賃の相場もぐんと安くなります。

駅から近い郊外の広い部屋を借りるよりも、駅から徒歩30分かかっても都心に住んだほうが将来、お金に困らない生活が手に入りやすいのです。

都心に住めば、まわりの見る目も変わります。

「港区に住んでいるくらいだから、仕事もうまくいっているんだろう」と勝手に信頼してもらえます。

●区民センターでは宝石は売れない

イメージというものは、人の信用を大きく左右します。

1000万円の宝石は高級ホテルの展示会で販売されます。区民センターの一室で同じ宝石を売ろうと思っても、まず信用されないからです。

私のようなコンサルティングの仕事も同じことが言えます。

みすぼらしいヨレヨレの服を着ているコンサルタントから、何かを学ぼうという人はいません。そのため、私たちは「クライアントからどう見えるか」についても注意を払っています。

たとえば、弊社は西新宿の高層ビル街にセミナールームを借りています。郊外で起業セミナーや出版セミナーを開催しても、アクセスが悪いばかりか、「こんなところで開催している会社で大丈夫か?」と不安な気持ちにさせてしまうからです。

出張で新幹線移動するときも基本的にはグリーン車を利用します。

お金に困らない人になりたければ、少しくらい背伸びをしても理想とする環境を自ら整えることが重要なのです。

10年後 食えない人は、安売りに走ってしまう 食える人は、値上げが趣味になっている

「安くするので仕事をください」
「特別価格で提供するので商品・サービスを買ってください」

そう言って安売りに走ってしまう人は少なくありません。価格を下げれば売りやすくはなりますが、長い目で見れば商品やサービスの価値を落とすことになります。

お金を払う立場からすれば、「前回安くしてもらったから今回も……」と期待するので、あとで価格を上げようとしてもむずかしい。価格交渉をした途端に「じゃあ、他で買うから」と離れていってしまうのです。

目先の小さな利益を手にすることで、商品・サービスの価値を下げて、結果的に損をしてしまう。ビジネスの世界では、このようなケースがよく見られます。

お金に困らない人は、簡単には値引きをしません。むしろ値上げをします。

日本人のプロ野球選手の中で、初めて年俸1億円の大台を超えたのは、当時中日ドラゴンズの選手だった落合博満さんでした。それまでは王貞治さんや長嶋茂雄さん、山本浩二さんなど大スター選手でさえ1億円には到達していませんでした。「偉大な選手たちを差し置いて1億円ももらうなんてけしからん」というのが、当時の球界の雰囲気だったようです。

とはいえ、落合さんも三度の三冠王を獲得するなど実績では決して見劣りしていませんでした。そんな中で落合さんは「王・長嶋の時代とは違う。年俸が安ければ、優秀な人材が野球界に入ってこない」などと球団と粘り強く交渉をし、史上初めての1億円プレーヤーとなったのです。

あるテレビ番組で落合さんは、タレントのビートたけしさんから「野球は人気があるのに、なぜ選手の年俸がそんなに安いのか」と言われたのがきっかけで、年俸交渉に臨むことを決意したとか。一般のビジネスにおいても、価値に見合った料金を得ることが大切なのです。

ちなみに、落合さんは当時22歳で年俸5000万円をもらっていた西武ライオンズの清原和博選手に「おまえは5000万円の価値の選手なのか。自分の価値は自分で決めなければならない。満足したらそこで成長は止まってしまう」と発破をかけたといいます。

●値上げには根拠が必要

私が主催しているビジネス著者養成スクールも値上げを繰り返しています。最初は30万円の参加料金でスタートしたのですが、第23期を迎えた今の価格は85万円です。

もちろん、値上げには根拠があります。

当初オーディション審査に参加してくれる出版社の数はわずかに4社。出版に至る実績も今ほど多くはありませんでした。しかし、回数を重ね、参加してくれる出版社の数は30社以上に増え、実際に当スクールから出版に至ったケースは200冊を超えています(2018年8月現在)。

スクールを始めた当初よりも、格段にサービスの内容が濃くなり、その結果、商業出版の可能性が高くなったのですから、価値に見合った値上げだと思っています。ちなみに、自費出版をする場合は数百万円のコストがかかり、なおかつ本が書店に並ばないケースがほとんどです。そうした点からも、価格に見合う価値を提供していると自負しています。

「値上げが趣味です」。そう堂々と言い切れるくらいの人は、お金に困らない人生を歩めます。

10年後 食えない人は、ギリギリに到着して謝る 食える人は、早めに到着して座っている

第一印象に二度目はありません。良くも悪くも最初の出会いのイメージは、後々まで引きずるものです。

身なりが整っていなければ、「だらしない人」という印象を与えます。反対に身なりが整っていれば、「この人はちゃんとしている」というイメージを残すことができます。

「人は見た目だけではわからない」というのも事実ですが、ファースト・インプレッションは、その後のビジネスにも直結してくるので無視するのは賢明ではありません。

初対面のとき、待ち合わせに遅刻してしまったらどうでしょうか。どんな事情があったとしても相手には「時間にルーズでだらしない」「この人に仕事を任せて大丈夫だろうか」などネガティブなイメージを与えてしまいます。

「お待たせして申し訳ありません」と謝った時点で、暗黙のうちに上下関係は決まってしまうでしょう。

一度、相手に上位のポジションをとられてしまうと、それを逆転するのは簡単ではありません。第一印象に縛られ、対等に交渉を進めることができなくなります。

お金に困らない人は、待ち合わせのとき、早めに到着して相手を待ちます。特に第一印象を決める初対面の場では、細心の注意を払います。

早めに着くことは、心理的な余裕も生みます。待ち合わせ場所まで急いで、ギリギリに到着した結果、汗が止まらないまま商談スタート……。そんな状況では、心の余裕がなくなってしまいます。

●お金に困らない人は「インスタ映え」を意識する

最近では面識ができる前に、SNSやホームページで相手の情報を手に入れることができます。

これらの情報を見て、「この人と一緒に仕事をしたい」「この人とは関わらないほうがよさそうだ」と判断する人も少なくありません。

そういう意味では、ネット上での印象も重要度を増しています。お金に困らない人は、ホームページやSNSにアップする写真でイメージづくりをしているものです。「インスタ映え」する画像をアップするのも、ネット上での印象を大切にしているからです。

お金に困らない人は、初対面にとどまらず、不特定多数の人に対するイメージもコントロールしているものです。

1万2000人を見てわかった! お金に困らない人、困る人
松尾昭仁(まつお・あきひと)
起業コンサルタント。出版プロデューサー。日本心理カウンセラー協会正会員。ネクストサービス株式会社 代表取締役。高等教育機関、各種団体、民間企業より、講演・セミナー・研修、メディアからの取材も多い。 『コンサルタントになっていきなり年収650万円を稼ぐ法』など著書多数。

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