BMW M235i・xドライブ・グランクーペ 価格:8SMT 665万円 試乗記
多彩な魅力を秘めた2シリーズに期待のニューカマー登場
2シリーズの1stモデルは、1シリーズクーペを前身とした2ドアモデルとして、2013年に誕生した。翌年にオープンバージョンが登場。2014年秋にはFFレイアウトを基本にしたスペースフルな5ドアが加わり、いまやスペシャルティモデルからファミリーモデルまでをラインアップした「大家族」に成長している。
2シリーズの特徴は、過去の歴史やしがらみにとらわれない自由な発想で開発された点にある。モデルに応じてデザインだけでなく、まったく異なるランニングコンポーネンツを採用。FRレイアウトのオーセンティックなBMW車の伝統を受け継ぐスペシャルティ系に対し、ファミリー系はBMWがプロデュースするMINIと主要メカニズムを共用する。
新型2シリーズ・グランクーペは、まさにそんな〝自由奔放さ”が際立つ1台。スペシャルティ指向ながら、メカニズムはFFレイアウトが基本。これまでの2シリーズとは生い立ちが異なるニューモデルだ。2019年末に開催されたロサンゼルス・モーターショーでワールドプレミアが行われ、今春から日本販売が開始された。
日本でも扱いやすいサイズ設定。キャビンは前席優先
試乗車は、日本仕様の頂点に立つM235i・xドライブ・グランクーペ。ベーシックな218i系が1.5リッター直3ターボ直噴ガソリン(140ps/220Nm)を7速DCTと組み合わせるのに対し、M235iは直噴のガソリン・ユニットの中でも、ハイスペックを誇る2リッター直4気筒ターボ(306ps/450Nm)を積む。トランスミッションは8速ステップAT。駆動方式は、グレード名の「xドライブ」が示すように、4WDである。
ボディサイズは全長×全幅×全高4540×1800×1430mm。現行3シリーズ(同4715×1825×1430mm)よりひと回り小さく、日本でも使いやすそうだ。ルックスはなかなかダイナミック。2670mmのホイールベースは2シリーズ・アクティブツアラーや新型1シリーズ、そしてMINIクラブマンと共通。だが、そうした事情を連想させないデザインにまとめ上げている。
大きさが際立つキドニーグリルや極端に短いリアデッキ処理は、「好き嫌い」が大きくわかれるかもしれない。 4ドアながら、そこはクーペを自称するモデル。室内は前席優先。天地の狭さゆえ後席乗降時は頭部の運びに気を遣う。フロントシート下への足入れ性も少々タイト。後席は大人2名に十分なスペースは確保されているものの、居住性は明らかに前席中心という印象だ。トランク容量は430リッター。広いとまではいえないが、後席シートバックには40対20対40分割の可倒機構が備わる。外観から想像する以上にユーティリティは高い。
パフォーマンスは「スポーツカー級」、0→100km/h加速は4.8秒でクリア!
動力性能は、十分に「スポーツカー級」と表現できる。0→100km/h加速は4.8秒でクリア。4WDシステムを備える都合上、車両重量は1590kgと決して軽いとはいえないが、重量のハンデは感じられない。
2リッターターボは気持ちのいいフィーリング。全力加速時のスピードもさることながら、日常シーンでもアクセルを踏み加えると即座に太いトルクを実感する。ターボチャージャーに凝ったツインスクロール式を採用した効果だろう。レッドラインが6000rpmという点はやや物足りないが、実際にはそれを軽々超えそうな勢いで、高回転域までストレスなく回ってくれる。低音が効いたスポーティなサウンドも魅力的である。
ハンドリングはBMWらしさを巧みに演出した。アンダーステアは目立たない。ただしタイトなターンを追い込んでいくと、予想よりも低いスピードで前輪からスキール音が聞こえ始める。FFレイアウト由来のフロントヘビーというバランスは隠せない。だがマイナス面をドライバーに実感させないのはさすがである。
高速クルージング時の高いフラット感は好印象。低い速度では路面凹凸がダイレクトに伝えられる傾向にある。これはランフラットタイヤを履く影響だろう。
M235i・xドライブの価格は665万円。いくつかのオプションを含んだ試乗車の価格は730万円を超えていた。とはいえ、「そのテザインにほれ込んだ」というのであれば、ベースグレード218iのスターティングプライスは370万円を下回る。スタイリッシュなBMWを求めるユーザーに、魅力的な選択肢が登場した。
BMW M235i・xドライブ・グランクーペ 主要諸元と主要装備
グレード=M235i xドライブ
価格=8SAT 665万円
全長×全幅×全高=4540×1800×1430mm
ホイールベース=2670mm
トレッド=フロント1560/リア1560mm
車重=1590kg
エンジン=1998cc直4DOHC16Vターボ(プレミアム仕様)
最高出力=225kW(306ps)/5000rpm
最大トルク=450Nm(45.9kgm)/1750~4500rpm
WLTCモード燃費=11.9_km/リッター(燃料タンク容量50リッター)
(市街地/郊外/高速道路=8.6/11.9/14.2km/リッター)
サスペンション =フロント:ストラット/リア:マルチリンク
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=225/40R18+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最小回転半径=5.4m
●主な燃費改善対策:無段階バルブリフト(バルブトロニック)/筒内直接噴射/吸排気無段階可変バルブタイミング(ダブルVANOS)/充電制御/アイドリングストップ/電動パワーステアリング
●主要装備:ドライビングアシスト(車線逸脱警告+レーンチェンジウォーニング+前車接近警告+衝突回避・被害軽減ブレーキ+後車衝突警告機能+クロストラフィックウォーニング+トラフィックサインアシスト)/パーキングアシスト(パークディスタンスコントロール+パーキングアシスト+Ⓡビューカメラ+後退時ステアリングアシスト機能+パークディスタンスコントロール)/BMWコネクテッドドライブ・プロフェッショナル/ランフラットタイヤ/Mスポーツサスペンション/Mスポーツブレーキ/Mエアロダイナミクスパッケージ/Mリアスポイラー/18インチMライトアロイホイール/BMWサービスインクルーシブプラス(3年間)/ドライブパフォーマンスコントロール/セリウムグレーメッシュキドニーグリル/自動防眩ドアミラー/コンフォートアクセス/LEDヘッドライト/レインセンサー&オートライト/BMWライブコクピット(10.25インチマルチディスプレイメーター+10.25インチコントロールディスプレイ)/2ゾーンオートAC/マルチファンクションMスポーツレザーステアリング/チルト&テレスコピックステアリング/自動防眩ルームミラー/スポーツシート/スルーローディングシステム(3分割りあシート)/イルミネーテッドボストン・インテリアトリム/スルーローディングシステム
●装着メーカオプション:ビジョンパッケージ(アダプティブLEDヘッドライト+ハイビームアシスタント+BMWヘッドアップディスプレイ)27万円/デビューパッケージ(Mスポーツシート+Mシートベルト+アダプティブサスペンション)11万円/Hi-Fiスピーカーシステム(205W・10スピーカー)5万円/電動パノラマガラスサンルーフ15万円
●ボディカラー:スナッパーロックブルー(op7万9000円)
※価格はすべて消費税込み リサイクル費用は1万9010円
(提供:CAR and DRIVER)